ハードウェア

ジョブズがマッキントッシュのGUIデザインのもとにした伝説のXeroxマシン「Alto」がついに起動成功


以前から伝説のXeroxマシン「Alto」を復元する試みが行われていましたが、復元を行っているコンピューターエンジニアのKen Shirriff氏のブログで、ついにAltoの復元が成功したと報告されました。数カ月にわたって復元作業が行われていたAltoは、まだまだいくつかのバグがハードウェア上にあるものの、Shirriff氏らのチームはいくつかのプログラムを動かすことにも成功しています。

Restoring a vintage Xerox Alto day 8: it boots!
http://www.righto.com/2016/09/restoring-ycs-xerox-alto-day-8-it-boots.html

起動したAltoはこんな感じ。


Altoを起動させるまでには紆余曲折がありました。まず、ゴミの山の中からかつて使っていたブートディスクを発見したものの、使用が不可能な状態になっていることが判明。そこで、シアトルにあるLiving Computer Museumから「Digital RK05K-11」というヴィンテージのブートディスクを借りることから始められたとのこと。


これがそのブートディスク。14インチ(約35cm)のディスクですが、容量は2.5メガバイトほどです。これをAltoに読み込ませてみたところ、すぐにディスクが回転しはじめ読み込みが始まる様子を見せたものの、リセットボタンをいくら押しても何も起こりませんでした。


それ以前のテストで読み込みが正常に行われることはわかっていたので、チームは「Living Computer Museumが使っていたドライブと自分たちが使っているドライブはアライメントが異なるのでは」と考え始めます。そして、チームはプロセッサー・バスを追跡するため、Altoのバックプレーンにプローブ端末を接続して調査を開始。マイクロコードやバスがどうなっているのかをモニタリングしました。


ロジックアナライザを使ってマイクロコードを観察したところ、ディスクはメモリへと正常に読み込まれていましたが、データがブートセクターと合致していないことが判明。

Diablo Systems社のディスクドライブのカバーを外してみるとこんな感じ。


以下のGIFアニメーションは起動時ではなく読み込みテストの様子ですが、ヴィンテージのディスクドライブが正しく動いていることがわかります。


ディスクアームの動きとロジックアナライザーの示す内容から、Altoが起動できない原因を特定したチームはデバッグを行い、見事Altoの復元に成功したわけです。起動後のAltoの画面は以下のような感じ。


いくつかのプログラムの実行にも成功。


キーボード・テスト・プログラムでは画面上にキーボードのイラストが現れ、実際にキーが押された時に、どのキーが押されたのかを表示しました。


マウスで操作することが前提のGUIも表示されています。


しかし、文書作成プログラム「Bravo」やお絵かきプログラム「Draw」を使ってみようとしたところ、クラッシュしてしまったとのこと。以下の画像にはデバッガーの「Swat」が表示されています。ハードウェア上の問題はまだ残っているようで、今後もデバッグ作業は続けていくとブログにはつづられています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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