「Apple II」や「IBM 5100」といった名機の中で世界最初のPCは何なのか?
長い歴史の中で登場したPCの保管を目的とするBlinkenlights Archaeological Institute(BAI)が、個人使用を主として市場に登場したPCの中で世界初と言えるのが一体どの機種なのか調査し、その結果を公開しています。
Personal Computer Milestones
http://www.blinkenlights.com/pc.shtml
Blinkenlights Archaeological Instituteは、
・アナログ計算機ではなく「デジタル」計算機であること
・大部分が自動式であること
・一般使用者でもプログラミング可能であること
・民生品として入手できたりキットが公開されていたりといったことで、入手が容易であること
・一般的な人が運べるぐらいの小ささであること
・高価すぎないこと
・特殊な訓練を受けていなくても使えるような、シンプルなものであること
という7つの要件を満たしたものを「パーソナルコンピューター(PC)」として定義、調査を行いました。
◆01:IBM PC(IBM)
By Mike Licht
BAIが最初の候補に挙げたのは「IBM PC」。正式名称は「IBM Personal Computer 5150」で、1981年に発売されました。長らくIT企業のトップを走っていたIBMが最初に発売したPCですが、「世界最初のPC」ではありません。
◆02:Apple II(Apple)
By Luc Legay
Apple IIは1977年にAppleが発売したPC。世界で初めて個人向けに完成品として大量生産・大量販売されたPCですが、BAIが定義するPCではApple II以前に登場したのがまだまだあります。
◆03:IBM 5100(IBM)
IBM 5100が発売されたのはIBM PCの6年前となる1975年。IBM初のデスクトップ型ポータブルコンピュータで、100KBのROM・64KBのRAMを搭載していましたが、PCと呼ぶには高価な値段設定で一般レベルで普及はしなかったそうで、BAIの定義するPCには当てはまらず。
◆04:Altair 8800(MITS)
By Ed Uthman
Altair 8800はアメリカのMITSが1974年に一般消費者向けに発売したコンピュータで、世界で初めてMicrosoftのソフトウェアを起動することが可能でした。BAIによると世界で最初のPCとしてAltair 8800が挙げられることがありますが、それはMicrosoft愛好家が犯しがちな間違いとのこと。
◆05:Mark-8(Radio Electoronics)
次にBAIが挙げたのは世界で初めて8ビットマイクロプロセッサIntel 8008を使用しているコンピュータとして1974年に登場したMark-8。ユーザーが自由に組み立てられるコンピュータとして雑誌に紹介されたこともあり、愛好家の間で大きな話題を呼びました。
◆06:HP-65(HP)
By Daniel Sancho
世界初の携帯可能なプログラム可能電卓として1973年にHPが発売したのがHP-65です。電卓にも関わらずプログラムを格納できる磁気カードを搭載していて、ゲームもプレイ可能でした。だんだんと発売時期をさかのぼりつつ世界初のPCに近づきつつありますが、HP-65よりも前の時期に発売されたPCは多く存在します。
◆07:Alto(Xerox)
By Michael Hicks
Altoは1973年にゼロックスのパロアルト研究所で開発されたコンピュータの試作機で、専門分野での使用を目的としたコンピュータが多く開発された当時に個人が使用することを目的として作られた数少ないコンピュータです。スティーブ・ジョブズに影響を与えLisaやMacintoshを開発させるきっかけとなったことで後生に名を残す名機ですが、世界初のPCということではありません。
◆08:Micral(Micral)
By Brian Hicks
世界初の商用PCとして登場したMicralはフランスで1973年に発売が開始されました。しかしながら、1750ドル(約52万円)という値段がネックになり一般レベルで流通せず、BAIの定義からは外れることに。
◆09:SIM4-01(Intel)
CPUにマイクロプロセッサを使用した世界初のマイクロコンピュータとして1971年に発売が開始されたのがIntelのSIM4-01ですが、世界初のPCということではないとのこと。
◆10:9830A(HP)
9830AはROMにベーシック言語を内蔵し初のデスクトップオールインワンコンピュータとして1972年に登場。ただし、HPは9830Aをエンジニアや科学者に優先的に販売したので、愛好家の間でもあまり知られていないそうです。
◆11:Kenbak-1(Kenbak)
By Kathryn Greenhill
アメリカにあるコンピュータ歴史博物館で世界最初のPCとして紹介されているのがKenbakのKenbak-1です。1971年に登場したKenbak-1は値段が高すぎずサイズもコンパクトでしたが、販売台数はたったの40台で、記事執筆現在では現存するのが10台とされています。
◆12:Kitchen Computer DDP-516ベース(Honeywell)
By Scott Beale
主婦が料理のレシピを保存していつでも読めるように、という名目で1969年に登場したKitchen Computerですが、値段がなんと約1万ドル(約650万円)で重さが45キログラムもあり、とても一般家庭の主婦が使いこなせる代物ではありませんでした。
◆13:PDP-8(DEC)
By Carlo Nardone
世界で初めて商業的に成功した12ビットミニコンピュータのPDP-8は1965年に登場。大きさが小型の冷蔵庫ほどもあり、また、値段も愛好家が購入できるほどではなかったとのこと。
◆14:Minivac 601(Scientific Development Corporation)
By Alessandro Grussu
Scientific Development Corporationが1961年に教育向けに販売を開始したのがMinivac 601です。コンピュータ市場の初期に登場したPCですが、世界で最初というわけではありません。
◆15:Simon(Berkeley Enterprises)
発売時期をさかのぼりながら多くの候補が挙げられた中で、BAIが定義する世界最初のPCはBerkeley Enterprisesが1950年に発売を開始したSimonでした。GUIの先駆けとなるSketchpadを発明し、コンピュータグラフィックス、バーチャルリアリティの先駆者アイバン・サザランド氏が使用していたことでも知られています。
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