なぜ紙で指を切るとあんなに痛いのか?
本や紙きれで指を切ってしまうという経験は誰にでもあるものですが、紙の切れ味と同時に、その痛さに驚かされることがあります。なぜ、紙で指を切るとこんなに痛いのかをBBCが考察しています。
BBC - Future - Why paper cuts hurt so much
http://www.bbc.com/future/story/20160902-why-paper-cuts-hurt-so-much
「紙で指を切るとなぜあんなに痛いのか?」という原因をまじめに検証した研究はまずありません。この理由について、BBCのジョンソン・G・ゴールドマン氏は、被験者にあの忌々しい痛みを意図的に体験させるという行為が一種の拷問のようなものであり、研究者・被験者がともに尻込みしてしまうからであろう、と大胆な予想をしています。
指を紙で切ったときの痛みの謎に関する研究自体はありませんが、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のヘイリー・ゴールドバッハ医師によると、この謎は人体解剖学の知識で説明することができるそうです。ゴールドバッハ医師によると、人間の指先にはたくさんの神経があり、痛みを感じる多くの受容体があるとのこと。人間が物の形を触ることで判断するように進化し、繊細な作業ができるようになったのは、指先に集まる多くの神経のおかげで、その反面、指先に傷を負うと、脳に常に刺激が送られることになり、他の部位に比べて痛みを感じるというわけです。
さらに、紙の端の形状にも原因があると言えるとのこと。紙の端を顕微鏡で拡大するとまるでカミソリのように鋭利な断面をしており、この形状のせいで神経のない皮膚の最上層部分を超えて神経のある指先内部に到達してしまうため、痛みを感じるそうです。なお、Google検索を行うと、「紙に付着している細菌によって痛みが倍加している」という説があるそうですが、紙で傷を負った後、細菌が広がるスピードからは指を切った直後に始まる痛みを説明できないので、この説は妥当ではないとゴールドマン氏は考えています。
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