「もしコーヒーのコマーシャルが正直な内容を伝えてしまったら?」を描く少し過激なCM風ムービー
立ちこめる香ばしい香りと、口に含んだ時の苦みやコク、そして後に残る香りの余韻という風に、コーヒーは香りと味を楽しむことができる飲み物で、さまざまな場所でその部分を強調したCMを見かけます。いずれもコーヒーの魅力を伝えるための「演出」が加えられた内容になっているわけですが、実際の中身を包み隠さず伝えてしまったらどうなるのか、という少し過激なCM風動画「If Coffee Commercials Were Honest - Honest Ads」が公開されています。
If Coffee Commercials Were Honest - Honest Ads - YouTube
「なんて美しい日でしょう。まったく『完璧な1日』と呼びたいところですが……」
「しかし、何かが足りません。そんなところに妻が持ってきたのが……」
「カップに注がれたコーヒー」
「どんな素晴らしい朝のひとときも、中毒性のある物質が入ったコーヒー抜きには語れない、そうでしょ?」と、なかなかに過激なナレーションで始まる映像。
声の主は突如画面に登場したロジャーさん。「これから私が、中毒物質が入った温かくて黒い飲み物についてお話ししましょう」
今からお話しするのは、ヴェルヴェットのようにスムーズな豆と……
沸かしたお湯で淹れた飲み物の話
南アフリカや東南アジア地域でとれた実の種を取り出して作る飲み物のことです。
ローストされて茶色に輝くコーヒー豆。これらの豆は実は……
世界で最も広く消費されている中枢神経を興奮させる物質、「カフェイン」を世界中に提供しています。
脳の構造を変化させてしまう物質は多くの国で違法とされていたり、少なくとも政府によって厳しく規制されているものですが、この小さな豆だけは完全に適法です。
コーヒーだけは、誰はばかることなく多くの人が毎日のように愉しんでいる飲み物で、何の規制も行われない上に、文化的に見てもまったく忌避されるところがないのです。
ああなんていい香りでしょう。ここにフレーバーや甘味料を加えることで、「この香りがいいんだよね」なんていう風に言えるようにして、実はカフェインの中毒になっていることから目をそらせるようにするのが待ちきれませんね。
とここで男性が「そんなことはない、僕は好きですよ、シュガー2杯とヘーゼルナッツ風味のクリーマーを入れた味が」と主張。「僕はコーヒー中毒者なんかじゃありません」
と、こんなことを言ってる人のおかげで、コーヒー農家が栽培を続けることができてるんです。しかも、その恩恵にあずかれるのは農家だけではなく……
コーヒーショップの人たち、すなわち、高い値段をつけて中毒性のあるスラッジを販売する業者も、コーヒージャンキーが支えているのです……となかなかに過激な持論を展開するロジャーさん。
パンプキンフレーバーもありますよ。もし、シケたタバコや熱々のアスファルトみたいな香りを放つコーヒーよりもそちらの方がお好みなら?
「じゃあそれにするわっ」
オッケー、じゃあ11ドル(約1100円)になります。そして……カップにあなたの名前を書いてあげましょう。
こうすることで、あなたは法で規制されていない向精神薬が入った飲み物を提供する行為を店員に強いることになっているのです。
また、あなたよりもはるかに貧しい人たちが、極めて低い賃金で合法の中毒性物質を栽培させられていることを知ると、もうコーヒーを飲もうとは思わなくなるでしょう。
エチオピアやグアテマラといった地域では、貧しいながらも幸せそうに働く人たちがいます。
このような風景に付け加えることで、イメージをよくする言葉があります。例えば「オーガニック(Organic)」や……
人々が共に働く「共同(Cooperative)」
経済と環境が在り続けられる「持続可能(Sustainable)」
そして、これらの人を助ける「倫理的な(Ethical)」や「倫理(Ethics)」といったキーワードなど。
コーヒー豆が取引される「先物取引市場」の詳細や複雑さを語ってあなたをウンザリさせることは簡単です。または……
「見て!この豆袋には『フェアトレード』って文字が入ってるよ!」などと言うだけでもOK。
そうすることで、「私たちの幸せな瞬間が、誰かの不幸によって成り立っているわけではない」と、もっともらしく否定することができるようになります。
「あなたを毎晩眠れなくしているのは、このお湯とローストした豆から出る化学物質が脳に作用することで、中枢神経が刺激されているのが原因だというわけです」と和やかに断言してしまうロジャーさん。すると……
「どうしてこんなことをするんだ!なぜ僕たちにこんなことを教えるんだ!」と急に憤り出す男性。
あらあら、コーヒーを飲んでないからかんしゃくを起こしたんだねぇ。
コーヒーが入ったカップを手渡されて……
ふっと落ち着いた男性
「一杯のコーヒーで和かで温かい人柄に戻ったねぇ」と、なぜかヒリつくセリフでムービーは終了するという内容でした。
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