核融合発電につながる高温プラズマ生成にコスタリカの核融合炉「SCR1」が成功
コスタリカの技術研究所(TEC)が2016年6月29日に高温プラズマの生成に成功したことを発表しました。この技術は、将来のクリーンエネルギーとして期待される核融合の利用に必要なもので、コスタリカはラテンアメリカで初めてこの域に達した国となりました。
TEC hace la primera descarga de plasma en un dispositivo único en Latinoamérica | Hoy en el TEC
http://tecdigital.tec.ac.cr/servicios/hoyeneltec/?q=content/tec-hace-la-primera-descarga-de-plasma-en-un-dispositivo-unico-en-latinoamerica
Costa Rica makes nuclear fusion history with plasma dischargeThe Tico Times
http://www.ticotimes.net/2016/06/30/costa-rica-celebrates-first-shot-plasma-latin-america
2015年11月にドイツのマックス・プランク研究所にある核融合炉・ヴェンデルシュタイン 7-X(ジーベン・イクス)がヘリウムプラズマの生成に成功、さらに2016年2月には同じくヴェンデルシュタイン 7-Xが水素プラズマの生成に成功しています。
しかし、プラズマの生成を行うためには超高温・超高真空という条件を満たすために、莫大な予算を投じた巨大施設が必要となります。プラズマを閉じ込めるための装置のうち、ヘリカル型のものはステラレータと呼ばれ、TECによればアメリカ(ウィスコンシン大学「HSX」)、日本(核融合科学研究所「LHD」)、スペイン(CIEMAT研究所「TJ-II」)、オーストラリア(国立研究所「H-1NF」)、ドイツ(ヴェンデルシュタイン 7-X)の5カ国しか所有しておらず、コスタリカは6カ国目のステラレータ所有国だとのこと。
TECは「コスタリカ・ステラレータ1」(SCR1)をカルタゴ州にある施設の敷地内に設置。6年間で50万ドル(約5130万円)の予算を用いて研究を進め、このたび4.5秒間のプラズマ生成に成功しました。
SCR1でのプラズマ生成を示したムービーはこんな感じ。
SCR1 - YouTube
TECの研究者イヴァン・ヴァルガス氏によると、将来的には1gの燃料からSCR1で生成されるエネルギー量は最大で2万6000キロワット時にもなり、80軒の家の電力を1ヶ月まかなえるようになるとのことです。
・関連記事
核融合炉「ヴェンデルシュタイン 7-X」で水素プラズマ生成に成功、実用化は2025年ごろか - GIGAZINE
新型核融合炉「ヴェンデルシュタイン 7-X」初起動、ヘリウムプラズマの生成に成功 - GIGAZINE
安価でコンパクトな核融合反応器をMITが考案し、10年以内の実用化に期待 - GIGAZINE
従来の核融合炉の10倍のエネルギーを生み出し原発よりもはるかに安全な核融合炉をロッキードが開発中 - GIGAZINE
日本が開発中の超伝導用磁石で10万Aの超大電流を達成、核融合炉実現に一歩近づく - GIGAZINE
自作の核融合炉で実験に成功した世界最年少の原子物理学者は13歳 - GIGAZINE
火星ヘ30日で行けるようになる核融合エンジンの研究をNASAが支援 - GIGAZINE
・関連コンテンツ