黄金比や万有引力まで考慮されたペプシコーラの知られざるデザイン戦略
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by [jonrev]
今や世界中で売られているペプシコーラは2008年に100万ドルのデザイン料を払ってロゴを刷新したことで知られています。「旧ロゴからあまり変わっていないんじゃ……」と思ってしまうようなデザインの変化なのですが、実は「BREATHTAKING(あっと言わせる)」という戦略によって黄金比や万有引力まで考慮し、綿密に計算されたデザインになっているとのことです。
(PDFファイル)BREATHTAKING Design Strategy
https://people.mozilla.org/~faaborg/files/20090521-firefoxIconQA/pepsi_gravitational_field.pdf
今ではすっかりなじんだシンプルなペプシのロゴですが、これは2008年に発表されたもの。2005年から2008年までは、やや装飾が多く派手なロゴが使われていました。また、円を占める赤・白・青の部分の形もやや変化しています。
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まず以下の画像は、CONVENTION(慣習)からINNOVATION(革新)に向けて、ペプシコーラの歴史と風土、つまりDNAをもってしてどのように進むかを示しています。
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ペプシコーラのDNAに対しての投資は、未来での革新を約束するもの。
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そのために2008年当時はリソースを再構築する位置にあったわけです。
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ということで、さまざまなデザインの再構築が行われました。ペプシコーラは過去に何度もロゴやボトルのデザインを改良してきており、「真の革新は過去の軌跡から導き出される」ことから、デザインの歴史を再確認しつつ新しいデザインを作っていったようです。
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BREATHTAKING戦略は過去5000年のデザインの英知に基づきます。紀元前3000年から2008年までに残された「美的デザイン」の財産をまとめたのが以下の図。
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左から、古代インドの学問「ヴァーストゥ・シャーストラ」、宇宙の運動は全てミュージックの語源となった「ムシカ」によって説明できるとする「ムシカ・マンダラ」、世界で最も美しいとされる比率「黄金比」、森羅万象を陰・陽の2つに分類する「陰陽」、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた「ウィトルウィウス的人体図」、図形や空間の性質について研究する「幾何学」、裏表が存在しない図形「メビウスの帯」、人体の寸法と黄金比から作った建造物の基準寸法の数列「モデュロール」、そして最後はペプシコーラになっています。
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ペプシコーラのボトルの変化は以下のような感じ。1898年に発売されたペプシコーラはずんぐりした瓶に入っていましたが、そこからスリムになったり、やや太くなったりしつつ、最後は現在のペットボトルの形に落ち着いています。
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歴代の中でも優れていたボトルのエッセンスを残しつつ、新しいボトルをデザインする必要があったわけです。
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続いて、ロゴマークの変遷。ペプシコーラのロゴマークは幾何学の美しさに基づいているとのことで、まずは1898年のロゴマークから見てみます。上にあるのがロゴマークで、下はその中からフォルムを抜き出したもの。大まかなロゴの形が計算された楕円によって形作られています。
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完全にフォルムだけを抜き出すとこんな感じで、かなり複雑な形状。
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1905年のロゴも、やはりいくつもの円が重ねられて、複雑なデザインです。
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1906年
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1929年
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1930年
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1962年。ここにきて急にデザインがシンプルで明白なものに。
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1971年
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1991年
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1998年はこんな感じで、幾何学をベースにしつつ、よりシンプルなデザインへと進化してきたことが見て取れます。
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人間は「1:1.618」という比率を美しく感じる、という「黄金比」はデザイン史における最大の都市伝説であるとする見解もありますが、建築・絵画・自然物など多くのものに黄金比が見られるのも事実。パルテノン神殿やモナ・リザや……
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書籍のフォーマット、オウムガイの内側のらせんなど。
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ペプシコーラの新しいロゴも黄金比に基づいてデザインされました。左側は正方形を使って黄金長方形を描いていくプロセスで、右側がペプシコーラのロゴのベースである円を使って黄金比に基づいた新ロゴを描いていくプロセス。
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黄金比である「a:b=1.618:1」をペプシコーラのベースである円に適用していくと、こんな感じで小さな円がたくさんできます。
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横並びにさせるとこう。
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こんな感じで、黄金長方形にすっぽりと収まります。
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これらの円を使ってデザインされたのが新ロゴだというわけです。
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さらに、ペプシコーラのロゴには動力まで関わっているとのこと。ダイナモ理論によると、地球は内部の流体運動によって大規模な磁場を生成しています。
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北極にあるS極と南極にあるN極によって磁界が発生していますが、ペプシコーラのロゴにも同じことが言え、エネルギーフィールドが存在するようデザインされているそうです。
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地球の磁界は太陽熱や風の動きに影響しますが、一方で、ペプシコーラのロゴは人の「感情」に働きかけます。
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また、ロゴのデザインは動きと見え方によって人の感情さえ表現することが可能。
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だんだんロゴがキャラクターの顔に見えてきました。
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さらに、2Dのロゴを3Dへと変換することで、別の動きを見せることもできます。
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また、色は科学に基づき、人の感情に作用するよう選ばれています。「冷たい」というイメージの色はペプシコーラに、「冷たくフレッシュ」というイメージの色はペプシマックス、エネルギーのバランスを強調する黄色っぽいカラーはカフェインフリーのペプシ、「冷たい・リッチ・フレッシュ」にあたるシルバーカラーはダイエットペプシ、「冷たい・軽い・フレッシュ」という明るいシルバーはカフェインフリーのダイエットペプシへと適用されました。
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ここまで来るとよくわからなくなってきますが、新ロゴにはお客さんを引きつける「引力」という意味も込められています。
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こうして膨張する宇宙のようにペプシコーラの世界も広がっていくというわけです。
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なお、ペプシコーラの新ロゴの意味を1つの図でわかりやすく示した人もいます。
blow at life: Pepsi Logo - a response
http://blowatlife.blogspot.jp/2009/02/pepsi-logo-response.html
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in デザイン, Posted by darkhorse_log
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