サイエンス

睡眠不足が続くとどんな悪影響が起きるのか?

by Tambako The Jaguar

アメリカでは成人の30%、未成年の66%が睡眠不足の状態にあると考えられています。睡眠不足が続くと一体どんな悪影響が出るのか、神経科学者のクローディア・アギーレさんが明らかにしています。

What would happen if you didn’t sleep? - Claudia Aguirre - YouTube


睡眠のことを考えるときに役立つ1つの挑戦が、1965年に17歳の高校生ランディ・ガードナーさんが行った、11日(264時間12分)という最長不眠記録への挑戦です。この挑戦はスタンフォード大学のウィリアム・デメント教授が立ち会ったことで、ギネス認定の世界記録として認められていて、現在は不眠記録の登録を受け付けていないことから、越えることのできない記録でもあります。


ガードナーさんの挑戦の記録によると、2日目には眠気と倦怠感が訪れて、ものがぼやけて見えるようになり……


ものを立体的に捉える能力も鈍り、距離感が取れなくなったそうです。


3日目になると気分の変化があり、落ち込んだりイライラしたりするように。


さらに不眠が続くと記憶力や集中力が低下。最後の方には幻覚が見えるように。


幸いにもガードナーさんは後遺症もなく健康でいられましたが、睡眠不足は体調の悪化や病気の原因になりえるほか、最悪のケースだと死を招くこともありえます。


では、なぜ我々は眠らなければならないのでしょうか。


成人なら1日に7~8時間、未成年なら1日に10時間は睡眠が必要だと考えられています。


体から「疲れた」というサインが届いたり、外が暗くなったり、休むためのシグナルはいろいろ。そしてアデノシンやメラトニンが分泌されることで、呼吸が深くなって心拍がゆっくりになり、眠気を感じるようになります。


そして、眠っている間に体はリラックスして、DNAがリフレッシュされ……


目覚めを迎える、というわけです。


しかし調べによると、アメリカでは成人の30%、未成年の66%が睡眠不足の状態にあります。


睡眠不足は集中力、記憶力、気分、反応速度など、いろいろなものに悪影響を与えます。


2014年には、サッカーのW杯を見続けるために48時間起きていた人が亡くなるという事故も起きています。


睡眠時間が6時間未満の人は、7~8時間寝ている人に比べて脳卒中のリスクが4.5倍に高まるという研究結果もあります。


中には眠ることができない「Fatal Familial Insomnia(致死性家族性不眠症)」という病気もあります。


疲れてくると、アデノシンはアデノシン受容体と結びついて、脳の働きを遅くします。


カフェインを摂ると疲労を感じなくなるのは、カフェインが優先的にアデノシン受容体と結びつくために、アデノシンとアデノシン受容体が結びつかなくなるから。


とはいえ、頭の中には老廃物がたくさん残った状態です。


そこで眠っている間に活躍するのが……


脳の老廃物を除去する「Glympahicシステム」と呼ばれるものです。


脳細胞内に脳脊髄液を流し、老廃物を洗い流すシステムです。


タンパク質などが洗い流されれば……


頭がスッキリするというわけです。日々を健康に過ごすためにも、十分な睡眠を取るようにしましょう。

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in サイエンス,   動画, Posted by logc_nt

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