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「Windows 95」を使ってインターネット上で初めて彼女を作った時の話

By Kamal Zharif Kamaludin

現在のインターネット社会を構成する原動力となったのが、1995年にMicrosoftがリリースした「Windows 95」です。2015年には発売開始から20年が経過したわけですが、発売当時10代のティーンエイジャーであったArs TechnicaのライターSam Machkovechさんが、自身がどのように「Windows 95」とふれあい、そして初めての彼女を作ったのかを明かしています。

I met my first girlfriend through Windows 95: An Internet love story | Ars Technica
http://arstechnica.com/the-multiverse/2015/09/i-met-my-first-girlfriend-online-a-1996-love-story/

Machkovechさんは父親の仕事の都合で6歳までに3度も引っ越しを繰り返したそうで、最終的にテキサス郊外の小学校に通うことになります。このテキサスという町には、名前から連想するようなカウボーイや馬などはおらず、代わりに医者・弁護士・歯科医などの裕福な家庭が暮らす場所だったそうです。Machkovechさんが住んでいたのはテキサス郊外で4番目に良い場所で、ここで5年間を過ごします。この地域は富と保守的な考えが支配する場所で、「自分の性格には合わなかった」とMachkovechさん。


この地域で「場違い感」を感じながら高等学校にまで通ったMachkovechさんですが、友人を作らずに漫画やゲームの世界にひたすら逃げていたせいか、高校生の頃は「非常に友情に飢えていた」そうです。当時のMachkovechさんの家にはタイプライターが置いてあったそうで、そこから学校でコンピューターを使うようになり、お昼などのひとりぼっちになってしまう時間はコンピューター室で時間をつぶすようになり、さらに孤立していったとのこと。当時のコンピューター室では、BASICを勉強したりBoloをプレイしたりしていたそうです。

そんな1996年、Machkovechさんの父親は新しくカスタムビルドの「Windows 95」搭載コンピューターを家庭用に購入します。これを黙々といじくり倒していたMachkovechさんは、試行錯誤しながらBIOSセッティングなどコンピューターに関する知識をメキメキと付けていき、自分の力でUSロボティクス製のモデムを問題なくコンピューターに組み込むことに成功します。しかし、インターネットに接続するにはクレジットカードが必要で、当時学生だったMachkovechさんにとっては望むべくもない状況。Machkovechさんは、近所のコンピューターショップから「インターネットサービスプロバイダ(ISP)が行っているベータテスト」の存在を教えてもらい、ショップ店員の助けを借りてダイヤルアップ接続によるインターネット環境を見事に手に入れたそうです。

By Marcin Wichary

そして家のコンピューターを使ってインターネット接続が可能になったMachkovechさんは、Internet Explorer 3.0(IE 3.0)を使ってインターネットの世界に飛び込み、IE 3.0にバンドルされていた「Comic Chat」というチャットソフトを使うようになります。このソフトは漫画によく似たインターフェースで、ユーザーはあらかじめ決められたキャラクターとなってチャットルーム内でチャットできる仕組みになっていました。このソフトに登場するキャラクターたちは、ユーザーがクエスチョンマークなどを使用する度に表情を変化させたそうです。


その他、当時の主要なISPであったAOLが提供するチャットや、BBSなども存在しました。しかし、ISPの提供するサービスは同じISPを利用しているユーザー間でしか使えなかったほか、ペアレンタルコントロールによる機能制限を受ける場合などがあったため、結局はWindows 95に搭載されていたInternet Explorer内蔵のチャット機能である「Comic Chat」が爆発的な人気を博すようになります。なお、Machkovechさんは「Comic Chat」では「Sammy(サミー)」というハンドルネームを使用していたとのこと。


そんな「Comic Chat」を通して知り合い、初めてデートした相手が「ヴィヴィアン」と名乗る女の子でした。2人は当時のインターネットの世界で知り合ったわけですが、現在も交流があるそうです。ただし、ここ数年で話をしたのは2015年8月にSkypeを使ってビデオ電話した際が5年ぶりの会話だったそうで、ヴィヴィアンは「私たちが15歳だった頃にSkypeがあったらどうなっていたかしら?今のティーンエイジャーはビデオチャットを使って恐ろしいことをしたりするけれど、20年前にこういったものがあったとすれば、私たちも全く同じようなことをしていたかもしれない」と語ったそうです。

「Comic Chat」のチャットルームには本当にさまざまな人がいたそうで、チアリーダーから反社会的なメタルフリークやモルモン教徒、SF好きのカナダ人女性など、世界中の少年少女と出会うことができたそうです。Machkovechさんが使用していたチャットルームには特に厳格なルールなどはなく、自由過ぎるために時おり年長者のユーザーに怒られることもあったそうです。そんなチャットルームで話しをするうちに、2人は複数の共通点をみつけ、個別でメッセージの交換を行う「whisper」機能などを使ってお互いの写真を交換したり電話をしたりするようになります。Machkovechさんはテキサス州、ヴィヴィアンはアーカンソー州とそれぞれアメリカ南部に住んでいたのですが、当時の2人は「自分たちは他の南部の人たちとは違う」という共通意識のもとに仲を深めていった、とMachkovechさん。

そしてすぐに2人は深い仲になるのですが、Machkovechさんによるとこのような関係は当時のインターネットの中ですら珍しいものではありませんでした。ただし、「全国平均よりはかなり早かったかも」とのことで、ヴィヴィアンは「私たちはパイオニアだったんだわ、サム」とMachkovechさんにSkypeのチャットを送ってきたことがあるそうです。また、ヴィヴィアンは当時を振り返って、彼女がオンライン上にボーイフレンドを作っていることを知っている友達から、多くの好奇のまなざしを向けられたことを思い返しており、Machkovechさん自身も同様の経験をしたことを明かしています。

By Kayla Kandzorra

2人は何度も長距離電話で会話していたため、電話料金などから母親に何かを隠していることがバレたそうです。その後、2人は2月のある朝にオクラホマシティにある「ラ・キンタ」というホテルの駐車上で初めて会い、激しくキスを交わしたそうです。この時、2人は遠く離れた場所に住んでいたため、オクラホマシティまで母親に車で連れて行ってもらったそうで、「僕らが過去に類を見ないほど世にも奇妙なキスをするだけのために、僕らはお互いの母親を長距離移動に付き合わせることになってしまったんです」とMachkovechさん。また、当時を振り返りながらMachkovechさんは「ただ、そういったこと(キスを見られること)は全く問題ではありませんでした。僕らは恋に盲目になっていたんです」とコメント。


しかし、2人が現実世界で顔を合わせてから約1か月後に事態は暗転します。なんと、ヴィヴィアンがMachkovechさんに何も告げずに自殺しようとしたのです。なお、ヴィヴィアンは幸い大事には至らず、1ヶ月の入院で済んだとのこと。ただし、この時Machkovechさんの母親はうつ病とアルコール依存症に悩まされており、Machkovechさん自身もヴィヴィアンさんを裏切って他の女の子と関係を持ってしまったそうです。そして結局、Machkovechさんとヴィヴィアンの関係は終わりを迎え、そのことがきっかけになったかのように、Machkovechさんの両親は離婚して家庭環境もバラバラになってしまったそうです。

そんなヴィヴィアンさんと2015年の8月に5年ぶりにSkypeを使って会話をしたMachkovechさんは、話をするまで自分の思春期に起きたインターネット上での出来事は自分にとっても悪い出来事であった、と考えていたそうです。しかし、ヴィヴィアンと直接話をし、過去を思い返してみると、自分がとても貴重な瞬間を経験してきたと思えるようになったとのこと。また、ヴィヴィアンは、自身の経験が子育ての役に立つ日がくる、と考えているそうです。

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in メモ, Posted by logu_ii

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