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最高の教育環境を最高の人材へ提供する「ミネルヴァ・プロジェクト」とは?


「ミネルヴァ・プロジェクト」はこれまでの概念を覆す大学によって高等教育の再発明を目指すプロジェクトです。合格率わずか2.8%という名門校のハーバード大学やイェール大学よりはるかに厳しい門扉をくぐると、生徒たちは1年ごとに海外の学生寮を転々としながらオンラインで授業を受講します。世界を主導できる素質を持つ人材を教育するため、生徒が世界状況の変化を肌で感ながら従来とは全く異なる教育が受けられる「ミネルヴァ・スクール」の詳細や、設立の経緯が綴られています。

Is the Minerva Project the future of higher education?
http://kernelmag.dailydot.com/issue-sections/headline-story/9993/what-is-minerva-project/


ミネルヴァ・スクールのアイデアを発案したのは、「ミネルヴァ・プロジェクト」のCEOであるベン・ネルソン氏。ネルソン氏の両親は2人とも科学者で、姉妹の1人は金融の博士号を持つというサラブレット家系の生まれです。自身はペンシルバニア大学でビジネスについてや、高等教育の歴史と哲学について学びました。
そんなネルソン氏が在学時に気づいたのは、大学が特定の目的のために設立されていること。ネルソン氏いわく「大学は世界を主導するリーダーを教育する仕上げの場として作られている」とのことで、単に化学現象などについての講義を受ける場所ではない、という考えに至りました。

しかし、このような理念を実現している大学はなかったため、ネルソン氏は学生自治会に入会して教育環境の向上を目指しました。個人指導課目で多くの生徒の興味を引いていた「食物心理学」や「都市計画における人種差別の影響」といった、卒業単位に含まれない科目を大学側に承認させるよう活動しましたが、ほとんど成果は出せなかったとのこと。


大学を卒業したネルソン氏はに実業界に入り、写真共有サービス「Snapfish」をヒューレット・パッカードに3億ドル(約373億円)で売却するなどの手腕を発揮。しかし、ネルソン氏がチリ国内を7日間で1500km運転して30カ所のワイナリーを巡るという旅に出たことで、再び教育分野の道へ進むきっかけが訪れます。チリの旅について、スペイン語を話せないネルソン氏は「観光インフラはなく、旅は非常に危険で大惨事でした」と語っています。しかし、アルゼンチン人のソムリエを雇ったことで、アルゼンチン人による詳しい説明を受けられるようになり、チリの卓越したワイン生産設備の舞台裏をアルゼンチン人の目線で学び取ることができました。外国の状況を深く学ぶという体験は、ネルソン氏の教育分野への関心に再度火を付けることになりました。

帰国後、ネルソン氏は従来の名門大学に欠けている効果的な教育コンセプトの実現を目指し始めました。ネルソン氏は「従来の大学を説得して巡るより、私自身が大学を設立する方が簡単だろうと考えました。それが効果的なコンセプトなら対外に示すことで、他の大学も『これ以外に方法はない』という考えに至るでしょう」と話しており、新しく大学を設立。ネルソン氏の経験や、学生時代からの理念を実現した「ミネルヴァ・スクール」が誕生したわけです。


以下の画像はミネルヴァ・スクールの実際の授業の様子をキャプチャしたところ。


複数の生徒が1人の教授のオンライン講義をPCを通じて受け、教授は生徒に向けて質問を画面に表示することができます。ちなみに、ミネルヴァ・スクールでは卒業まで一度も教授と直接顔を合わせないこともあるそうです。


「ミネルヴァ・スクール」は意図して入学者の敷居を高くしているわけではないそうですが、ネルソン氏の目標はアイビー・リーグ合格者の中でも上位の成績を持つ最高の中の最高の学生を教育すること。将来、世界的なリーダーとなる人材や、世界的な主要機関を作ったり、運営したりできるポテンシャルを持つ人材に対して、一般的な大学生活経験の代わりに最高の教育環境と、世界を旅する経験を与えたいとネルソン氏は考えています。入学した生徒は1年目にアメリカ・サンフランシスコ、2年目にドイツ・ベルリンまたはアルゼンチン・ブエノスアイレス、3年目は韓国・ソウルまたはインド・バンガロール、4年目にトルコ・イスタンブールまたはイギリス・ロンドンの学生寮で学生生活を送ります。


以下が4年間のカリキュラムで、1年目は学生の基礎となる能力を学習。2年目に自分の専攻を決定し、「批判的思考」にちなんだ学習や研究を行うことができます。3年目は在学中のコアとなるプロジェクトを開始し、「創造性」を育みます。最終年となる4年目、これまで学んできた専攻学科と、進めてきたプロジェクトを完了させ、「効果的なコミュニケーション」「効果的な相互交流」の能力にフォーカスするとのことです。


ミネルヴァ・スクールはこれまで教育機関ではあまりいい評判のない「営利大学」に分類されますが、授業料は1年あたりわずか約1万ドル(約124万円)ほど。1年の入学者数は20人ほどで、学内ではオンライン授業を受けるため、最先端技術の学習環境が整っています。生徒たちはアメリカで最も選択的な学部課程プログラムにより、一般的な大学とはまるで異なる教育が受けられるようになっています。

なお、ミネルヴァ・スクールに通う学生のムービーがYouTubeで公開されており、同級生への自己紹介や、授業風景の様子を見ることができます。

Gabriella: Dream School - YouTube

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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