取材

ガンダムでアニメの作り方フローがわかるAnimeJapan 2015の「Production Works Street」


今放送中だったりこれから放送が始まるアニメの情報を得ることができる展示の多かったAnimeJapan 2015ですが、中にはアニメそのものの作り方を細かく説明した「Production Works Street」というブースも設けられていて、ここでは「ガンダム Gのレコンギスタ」を題材に、どうやって作品が作られていったのかをわかりやすく知ることができました。

ガンダム Gのレコンギスタ
http://www.g-reco.net/

これがブース全景


入口でカット袋を抱えて制作進行になったらしいベルリ・ゼナムが待ち構えています。


まずは「適職 YES or NO チャート」。いくつかの設問に答えるだけで、自分がアニメ制作の中でどの職に向いているのかがわかります。


そして、こちらがアニメができるまでの制作フローチャート。左端の方にある企画から右端のフォーマット編集・納品まで、道がいくつにも分かれ、いろんなチェックを通ってきています。


一歩目は「企画」。百式プロデューサーとスモープロデューサー、アカツキプロデューサーが激論を交わしています……。プロデューサーと一口に言っても、テレビ局の人、ビデオメーカーの人、代理店の人などなど、いろいろなプロデューサーがいて、それぞれに考えがあるわけです。


これが企画会議の場。後ろの白板にざっくりと「Gのレコンギスタ」の勢力図と話の流れが書かれています。改めて書かれると、単に三つ巴で激突しているだけです。ここからシナリオが生み出されます。


そのシナリオをもとに「絵コンテ」が作られます。この話数を絵コンテを担当したのは演出のシャイニングガンダムさん、ノリすぎて30分のはずが6時間分になってしまったようです。


ブースには富野総監督のデスクが設けられていました。


机の上には第1話の絵コンテが置かれていました。


絵コンテと前後して、「キャラクターデザイン」が作られます。デザイナーのガンダムエクシアさんが要望を受けて作ったデザインにガンダム監督はピンと来なかったらしく、何度も何度もトライ&エラーを繰り返すことに……。


ガンダム Gのレコンギスタでキャラクターデザインを担当したのは「OVERMANキングゲイナー」「交響詩篇エウレカセブン」などで知られる吉田健一さん。吉田さんはガンダムを見てアニメーターという仕事があることを知ってこの仕事を志したとのこと。


お隣は「背景」。美術監督のジオさんがバリバリと仕事をしています。


Gのレコンギスタの美術担当は佐藤歩さん。高校では油絵を専攻、美大に行くかどうか悩んでいたところに絵を描く仕事の中に「アニメの背景」というものがあると知り、この業界に入ったそうです。


「CG」では、担当のGセイバーがすべてのCGを作ってくれていて、さらには自分もCGだと衝撃の暴露。これは夢……?


そして「原画」へ。手間のかかるカットを大物アニメーターのネオ・ジオングさんが担当するようです。


Gのレコンギスタで原画を担当した片山学さんは、進路を決めるタイミングでやりたい仕事はこれだと気がついたとのこと。


ネオ・ジオングさんが描いたものではありませんが、原画展示もあります。


第23話、ノレドとラライヤがスプレーをかけあった後のシーン。


原画を元にして中割り動画を作る「動画」。サイコガンダムのMA形態からMS形態への変形も、ティエレンさんの腕をもってすれば見事なアニメになった……ようです。


Gのレコンギスタで動画を担当した甲斐肇さんは小学生の時にガンダムにはまってメカを描き始め、中学生の時には自分でもアニメでメカを描きたいと思ったとのこと。この先目指していることはメカデザインだそうです。


「仕上げ」はほとんどがデジタル彩色になっていて、絵の具で彩色する環境は失われているそうです。伝説の仕上げ・メタスさんも、絵の具のカビには勝てません。


色彩設計は水田信子さん。絵の上達を目指したデザイン専門学校でちっとも上達せずに焦っているところでアルバイトの話があり、そのまま仕事になってしまったのだとか。


デジタルへの移行で「撮影」はこれまでのカメラ撮影ではできなかったことも可能に。撮影監督のターンXさんは無茶としか思えないことを何でもアフターエフェクトでこなしてくれますが、スケジュールの延期だけは……。


できたフィルムの各カットの尺を調整するのが「編集」。編集・GP-02Aさんのアトミックバズーカ一発でフィルムが別物に。


映像に音声・効果音・背景楽曲をつける「音響」。音響監督のフラットさんが、声優のミーアザクさん・ノーベルガンダムさん・ファルシアさんにディレクション中。


編集済みのフィルムと音とを合わせるのが「ビデオ編集」、これが終わればいよいよ完成です。さっそくプロデューサーたちがガンダム監督の次の作品について議論を始めました。


ということで、「Gのレコンギスタ」も完成にこぎ着けた、というわけです。


フィルムは完成しても、そこからさらにBD・DVDやプラモデル、各種グッズなど、商品展開が続いていきます。ここで見たのはあくまで「ガンダム Gのレコンギスタ」だけの話で、これと似たようなことが何十本もの作品で行われているんですね……。


©創通・サンライズ・MBS

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in 取材,   アニメ, Posted by logc_nt

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