取材

ガンダムNTの音づくりをヨナ役の榎木淳弥さんがイケボでじっくり解説してくれるAnimeJapan 2019の「Production Works Gallery」


AnimeJapanでは個別の作品に関する展示だけではなく「アニメ制作」にまつわる展示ブースも存在します。たとえばAnimeJapan 2015では「ガンダム Gのレコンギスタ」を題材にアニメーション制作の流れを追いかける「Production Works Street」ブースが設置されました。今回のAnimeJapan 2019では「機動戦士ガンダムNT」を題材に、「アニメノオト」と題して、主人公のヨナ・バシュタを演じる榎木淳弥さんの音声解説を聞きながら「アニメの音作り」が学べる「Production Works Gallery」ブースが設置されていました。

Production Works Gallery|AnimeJapan 2019
https://www.anime-japan.jp/main/pwg/

Production Works Galleryブースに到着。


入り口には音声ガイド貸出窓口が設置されていました。


誰でも窓口で音声ガイドを借りられます。


ヘッドホンを装着し、説明パネルに対応した番号の音声を再生すると……


主人公ヨナ・バシュタを担当した榎木淳弥さんの素敵な声でガンダムNTの音づくりに関する解説を聞くことができます。


音響制作は「主題歌・挿入歌・オープニング/エンディングテーマ制作」「劇伴」「音響効果(SE、効果音)」「セリフの収録」「ダビング」の5つの工程に分かれています。


ガンダムNTの制作フローはこんな感じ。まずは吉沢俊一監督と小形尚弘プロデューサーによる総合的な打ち合わせを経て、「作画」「音楽制作」「声優によるアフレコ」と細かく作業を分類していくようです。それぞれが完成した後に、「ダビング」作業によって集約されてアニメが完成するわけです。


劇伴曲を担当したのは音楽家の澤野弘之さん。ガンダムNTの楽曲は「エレクトロニック・ダンス・ミュージック」をコンセプトに、プログラミングを駆使したデジタルサウンドによる楽曲を制作したそうです。中でも、劇中歌「Vigilante」やエンディングテーマの「narrative」は「エレクトロニック・ダンス・ミュージック」のコンセプトの集大成といえる曲になっているとのこと。


音楽制作に並行して、声優によるアフレコ作業も行われます。ガンダムNTの音響監督である木村絵里子さんは、前作・ガンダムUCから引き続いての担当。アフレコは木村さんのディレクションのもと進められていきます。オーディションでは木村さん、小形プロデューサーなどのリストアップした候補者を吉沢監督が確認した上で選定が行われました。なお、パネルにはキャラクターの特徴や心情をメモした手紙を吉沢監督が用意してキャストに渡されたと書かれているのですが、音声解説によると、なぜか榎木さんの手元には届かなかったそうです。


アフレコの解説パネルの横には、実際の台本の一部が置かれていました。


音響監督の仕事はアフレコを監督するだけではなく、制作された劇伴を各カットに貼り合わせる「選曲」の作業をすることもあります。ガンダムNTでは木村さんは選曲作業に初挑戦。文字通りの「音響監督」を務めたわけです。


ガンダムNTのアフレコには脚本の福井晴敏さんも同席し、ニュアンスのすりあわせは即座に行われたとのこと。ヨナ役の榎木さんにとって印象深かったポイントは、ヒロインのリタ・ベルナルの名前を呼ぶシーン。何度もリタと呼ぶのですが、それぞれのシーンにおいてどういった気持ちを込めるかを意識して演じ分けたそうです。


「音響効果」は「SE」や「効果音」とも呼ばれ、ガンダム独特の起動音やビームライフルの発射音、地球や宇宙の環境音など、世界観を形作る音です。ガンダムNTでは脚本の福井さんのアイデアによって、80年代のアニメ「蒼き流星SPTレイズナー」に登場する特殊防衛プログラムの「V-MAX」の発動音をフェネクスの機動音に使用し、Ⅱネオ・ジオングが放つ波動音には「伝説巨神イデオン」の主役機である「イデオン」の武器「イデオンソード」の音を当てているそうです。


「ダビング」は音響製作工程の締めくくりで、劇伴・主題歌・アフレコなど収録したすべての音を調整し、映像に当てはめる工程です。ガンダムNTのダビングでは、吉沢監督の発案による「引き算の論理」を採用。緊迫したシーンや重要なシーンであえて音量を下げたり音自体を消したりして、メリハリをつける手法を多数活用しました。ガンダムNTのダビングでは、土壇場で楽曲の使用箇所を入れ替え、映像の尺を伸ばすことになったそう。通例ならアテレコは「映像に音楽を合わせる」だけですが、「音楽に映像を合わせた」箇所もあったガンダムNTは異例中の異例だとか。


ブースの終わりにはシアタールームが設置されており、中では無音の映像にセリフ、セリフと効果音、セリフと効果音と劇伴を順に音を足していくというムービーが公開されていました。実際に見ると「声がつくと全然違う!」「うわっ、効果音がつくとさらに全く違う!」「やっぱり劇伴がないとアニメじゃない!」と段階的に実感でき、「音」の重要性がわかるムービーになっていました。

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in 取材,   アニメ, Posted by darkhorse_log

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