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SSDにデータを書込みまくり再起不能に追い込む耐久試験で分かった信頼性に関する真実とは?


2013年からTech Reportが継続していた「SSD耐久試験」は、SSD主要6モデルに特別なプログラムを使って尋常ではない量のデータを書き込みまくって再起不能まで追い込むというもので、耐久性に不安を持たれがちなSSDの信頼性を判断するのに大いに役立つデータとして注目を集めています。そして、最後まで生き残ったモデルもついに息の根を止められ、1年半にわたって続けられたSSD耐久試験が完全に終了。そこからSSDの信頼性に関するおそるべき事実が明らかになっています。

The SSD Endurance Experiment: They're all dead - The Tech Report - Page 1
http://techreport.com/review/27909/the-ssd-endurance-experiment-theyre-all-dead

◆これまでのテスト経過
SSD耐久試験の詳細な内容については以下の記事で確認可能。Corsair「Neutron GTX 240GB」、Samsung「840 250GB」、Kingston「HyperX 3K 240GB」、Intel「335 240GB」、Samsung「840 Pro 256GB」のうち、2014年6月までにIntel 335、Kingston HyperX 3K(圧縮機能なし)、Samsung 840が使用不能状態に追い込まれました。

Intel・SamsungなどのSSDがどれぐらいの寿命なのか長期間の耐久テストで判明 - GIGAZINE


1PB(1000TB)オーバーというデータの書き換えに耐えてきたCorsair Neutron GTXが、ついに1.2PBで絶命。SSD耐久サバイバルはSamsung 840 ProとKingston HyperX 3K(圧縮機能あり)の2機種によるマッチレースに突入。そのときの様子は以下の記事で確認できます。

SSDの耐久実験で書き込み150万GBの壁を越えた機種はどれか? - GIGAZINE


生き残った2機種はまったくゆずることなく2PBの大台を突破。終わりのない闘いになるかに見えました。

SSDに2PB(200万ギガバイト)書き込みまくると性能はどれくらい落ちるのか? - GIGAZINE


◆王座決定
次に抹殺されたのは「Kingston HyperX 3K」。Intel 335シリーズと同様にSandForce製チップ搭載で、強力な圧縮機能が効果を発揮していましたが2.1PBで息絶えました。しかし、「HyperX 3Kは2014年のクリスマスシーズンに起きた停電の後、アクセスできなくなり死亡が確認された」とのことなので、停電というアクシデントのせいで長寿を全うできなかった可能性はなきにしもあらずな点には注意が必要です。


最終的にKingston HyperX 3Kは2.1PBの書き込み(うす紫)に成功。しかし、圧縮機能によって実際に書き込んだのは約1.5PB分(赤)です。


赤色のグラフは専用ソフトの表示する寿命の目安。900TB以降ほとんど平行状態をキープ。しかし、うす紫色のグラフの通り、2PB以降、セクタ再配置できないエラーが急激に増加していることが分かります。


消去エラー(濃い紫)も2PB以降急上昇していた模様。


というわけで、最後まで生き残ったのは「Samsung 840 Pro(256GB)」。メモリメーカーとして高い信頼性で知られるSamsungが、1年半におよんだ激戦を制してついに王座を射止めました。


王座は決まりましたが、Tech ReportはSamsung 840 Proの息の根を止めるべく実験を続行。そして、2015年2月にSamsung 840 Proが認識されなくなり、ついに息絶えたとのこと。Samsung 840 Proのセクタ再配置不能エラー発生の様子はこんな感じ。書き込み量に応じて一定のペースでエラーが増えていたようです。


特定のメモリセルに書き込みが集中しないようにメモリ全体に書き込みを分散させることで長寿命化を実現するウェアレベリング機能(黄)は600TBの時点でほぼ効いていない状態に。しかし、書き込み可能のブロック(赤)はたっぷり残っており、2.4PBの絶滅時にも20%程度、余力を残していたことが判明しています。


◆まとめ
以上のとおり、1年以上の長きに渡って継続されたSSD耐久試験が終了して、全6モデルが通常利用ではとうてい書き込みできないほど大量のデータ書き換えが可能であることが判明しました。なお、すべてのモデルがメーカーの公称値以上の書き込みを実現したことも明らかになっています。また、余力を十分残しつつもエラー発生の可能性を検知すると、ストップをかけて最も早く脱落したIntel 335でさえ、毎日10GBのデータ書き換えを行っても7万日つまり約190年もつという計算になるため、SSDの書き換え寿命を心配する必要はほとんどないことは確実です。


さらに、SSDの信頼性だけでなく驚異的な耐久性(性能キープ)も明らかになっています。これはすべてのモデルのデータ書き込み量(横軸)とシーケンシャルリード(4MB)の速度(縦軸)との関係を示したグラフ。ほぼ、すべてのモデルが死亡するまで高い読み込み速度を維持しています。


シーケンシャルライト(4MB)はこんな感じ。書き込み速度も維持できています。


「体感速度」に大きく影響するランダムリード(4KB)も同じく速度を維持。


ランダムライト(4KB)も見事に性能を維持していることが明らかになっています。


データ書き込み速度の平均値はこんな感じ。おおむね平均速度も維持していますが、Corsair Neutron GTXは死ぬ間際に速度が一気に低下していたり、Samsung 840 Proの速度のバラツキ幅が大きかったりとモデルごとに特徴があるようです。


Tech Reportがテストした主要SSDはすべてユーザーの予想を大きく超える信頼性と耐久性を発揮したことが明らかになりました。また、どのSSDも書き込み不能状態に陥るまでにエラー発生が高まるという予兆が見られ、SSDのモニターソフトでそれを通知してくれることも分かりました。今回のSSD耐久試験から、SSDの耐久性・信頼性はまったく疑うことのないレベルまで進化していると結論づけてよさそうです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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