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SSDに2PB(200万ギガバイト)書き込みまくると性能はどれくらい落ちるのか?


SSD主要6モデルに特別なプログラムを使って尋常ではない量のデータを書き込みまくって再起不能まで追い込む耐久比較実験を、The Tech Reportが絶賛敢行中です。実験ではすでにIntel「335」、Corsair「Neutron GTX」、Samsung「840」を葬り去ってきました。最後まで残ったSamsung「840 Pro」とKingston「HyperX 3K」は2PB(200万GB)の大台を突破してもなお健在。2PBという超大容量の書き込みに耐えたと言うこと自体が、驚異的なのですが、2PBの書き込みによってSSDのパフォーマンス(速度)はどのように悪化するのかについて興味深いデータが明らかになりました。

The SSD Endurance Experiment: Two freaking petabytes - The Tech Report - Page 1
http://techreport.com/review/27436/the-ssd-endurance-experiment-two-freaking-petabytes

1.5PB(150万GB)の大台の書き込みに耐えたのはSamsungの840 Pro(256GB)と、KingstonのHyperX 3K(240GB、圧縮機能ON)でした。大方の予想を覆して、IntelやCorsairのSSDを抑えてこの2機種が生き残ったこれまでの実験の様子は以下の記事で確認できます。

SSDの耐久実験で書き込み150万GBの壁を越えた機種はどれか? - GIGAZINE


◆生き残った2機種の状態
耐久実験はついに、2PB(200万GB)の書き込みに到達。2PBを超えた2機種のセルの健康状態はこんな感じになっています。

・840 Pro
これは、2PBまで840 Proに発生した不良セクタの再割り当てを示すグラフ。600TBを書き込んだ時点から急速に不良セクタが生じていることが分かります。


オレンジ色のグラフは残された予備フラッシュの量を表しており、2PBを到達時点でも約40%のセルが不良セクタによる障害を回避するために残されており、このペースだとおそらく3PBまでは残りそうです。ただし、分散してセルに書き換えを行うウェアレベリング(黄色)については500TBでほぼ限界に到達している模様。なお、すでに死亡した廉価モデル「840」と違って訂正不能な重大エラーは発生しておらず、SamsungのSSDの健康状態をチェックするソフトMagicianはなお「健康」という心強い評価を下してくれているとのこと。


・HyperX 3K
これは、すでに死亡した圧縮機能なしで書き込み続けたHyperX 3K(濃い紫色)と圧縮機能ありで書き込み続けたHyperX 3K(赤色)を示すグラフ。圧縮機能あり状態では2PBのデータ書き込みに対して1.4PBの圧縮データに変換されているとのこと。もっとも、非圧縮モデルが700TBで死亡したことを考えると、1.1PBの書き込みで死亡してもおかしくないことから、圧縮によって書き込みデータ量が減っている以外にも長生きする要因がありそうです。


SMART上ではSSDの寿命(赤色)は10%強で横ばい。数値上ではまだまだ生きながらえることになります。


ただし、セクタの再割り当て(紫色)や消去失敗(茶色)は1.2PB以降一気に上昇していることが確認できます。なお、これらのエラーの大半は修復プログラムによって回復されましたが、2つのエラーだけは訂正されず。そのため、The Tech Reportは「生きながらえているがバックアップをとっておくべき状態」と評価しています。


◆2PB書き込んでいくまでのパフォーマンス変化
これは、SSDのシーケンシャルリード(4MB)の速度が書き込み量とともにどう変化するかを測定したグラフ。驚くべきことに、生き残った840 Pro(黄色)とHyperX 3K(圧縮機能ON)(赤色)は速度がまったく落ちていません。


シーケンシャルライト(4MB)はこんな感じ。840 Pro(黄色)は若干、速度にばらつきがあるものの著しい速度低下はなし。HyperX 3K(圧縮機能ON)(赤色)についてはまったくパフォーマンスダウンが確認できません。


ランダムリード(4KB)や……


ランダムライト(4KB)の結果も同じく、ほとんどパフォーマンスダウンはなし。840 ProとHyperX 3K(圧縮機能ON)おそるべし。


The Tech Reportによると、HyperX 3K(圧縮機能ON)の書き込み性能は終始安定しているのに対して、840 Proはわずかながら書き込み性能悪化の兆候がみられるとのこと。ただし、訂正不能な重大なエラーを840 Proは発生させていないことは特筆すべきことです。

SSD耐久比較試験は840 ProとHyperX 3K(圧縮機能ON)が2PBの大台を突破してもなお健在で継続中。この2PBの書き換えOKという数字は毎日10GBという大量のデータ書き換えをコンスタントに行っても500年以上もつ計算になるわけで、通常利用にはまったく心配がないほどの高い耐久性を持つことは明らかです。


The Tech Reportも正直ここまで生きながらえるモデルがあることは想定外だったとのことですが、2台のSSDが生き残っている以上、どちらかが死ぬその日まで過酷な耐久試験はなお続いていきます。

・つづき
SSDにデータを書込みまくり再起不能に追い込む耐久試験で分かった信頼性に関する真実とは? - GIGAZINE

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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