1ヶ月で約1億8000万円を仮想通貨で稼ぎ出す巨大施設に潜入、知られざるその実態とは?
仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」では数万台のコンピューターを導入してマイニング作業が行われることもあるそうで、日に日にその規模は拡大しています。ビットコインマイニング施設を6つも所有する中国のとあるグループは、ひと月に150万ドル(約1億8000万円)を稼ぎ出しているそうで、その謎を解き明かすべくMotherboardが施設に潜入し、施設で働く技術者やマネージャーにインタビューを行っています。
Inside the Chinese Bitcoin Mine That's Making $1.5M a Month | Motherboard
http://motherboard.vice.com/read/chinas-biggest-secret-bitcoin-mine
Life Inside a Secret Chinese Bitcoin Mine - YouTube
Motherboardが訪れた施設は、とあるグループが保有する6つのビットコインマイニング施設の内の1つ。2014年10月にMotherboardが取材を行った際は、6つの施設合計で月に4050ビットコインを生成することに成功しており、これは当時のレートで150万ドル(約1億8000万円)相当になります。
ビットコインマイニング施設があるのは中国遼寧省の大連市。
案内してくれるのはビットコインマイニング施設のマネージャーを務めるJin Xinさん。大連市に施設を設けた理由は「空気など環境に関する条件が比較的良かったから」とXinさんはコメントしています。
ビットコインマイニング施設の外観はこんな感じ。とても時代を先取る仮想通貨をせっせと採掘している施設には見えません。しかし、Xinさんいわく「この施設がこの辺りでは1番のビットコインマイニング施設」とのこと。施設は3階建てで、ここの2階部分でビットコインマイニングが行われているそうです。
2階のビットコインマイニングが行われているフロアはこんな感じ。大量のケーブルが床の上に伸びており、奥には複数のラックが並んでいます。
Xinさんはこの施設のマネージャーとして人員・設備・電源など施設を運営するのに必要なさまざまなものを管理しているそうで、友人と共同で他にも5つのビットコインマイニング施設を運営しているそうです。
ビットコインマイニングは難易度の高い数学パズルを解いてその報酬に25ビットコイン(1ビットコイン200ドル換算で約59万円)を得る、というもの。Xinさんの背後に並ぶ無数のコンピューターは、全てビットコインマイニングのためだけに用意されたもので、最もビットコインマイニングが順調に行えていた頃は、1日に100ビットコインをゲットできる日もあったそうです。しかし、現在ではマイニング専用端末などの出現でマイニング数が大きく落ち込んでいるとのこと。
電気の使用量は1250kWhで、月々の電気代は8万ドル(約950万円)にものぼるそう。
この施設ひとつで、現在1日当たり20~25ビットコインを採掘しているそうです。なお、施設には3000台のマイニング専用コンピューターが存在しており、6つのマイニング施設を合わせれば1秒間に8ペタハッシュの計算処理が可能。なお、これは2014年10月の段階ではビットコインネットワーク全体の3%を占めるパワーであった、とのこと。
マイニング専用のコンピューターを電源につなげ、インターネットに接続して計算を行いビットコイン生成に取り組む、という非常に分かりやすい施設です。
「私はビットコインが通貨の未来の形だと信じています」とXinさん。
ビットコインは誕生したばかりの仮想通貨であるため、まだまだ価格が安定していません。しかし、「時代の流れは仮想通貨にあり、現在の実物通貨社会は仮想通貨の発展と共に終わりに向かっていく」とXinさんは仮想通貨の成長に期待を寄せています。
フロアの片隅に無造作に置かれた無数のコンピューターを発見。これらは壊れて使えなくなってしまったものや「使わなくなった」もので、その数は約900台。
「使わなくなった」理由は消費電力が大きい割に低ハッシュレートであったためで、現在はより髙いハッシュレートのコンピューターを使用してビットコインマイニングを行っているとのこと。ただし、使用しなくなったもののパーツはリサイクルしているそうです。
ただし、その他パーツはただのゴミになってしまいます。
「何か問題が発生すると、ハッシュレートが低くなり、専用の装置が赤く光る」と語るのは施設で働く技術者のXia Yuさん。
端末が熱暴走しないように施設の至る所に送風機が設置されており、これにより室内は強風が吹き荒れています。コンピューターを放熱するのに送風機は非常に役立つそうですが、それでも夏の数ヶ月間は施設内の温度が華氏100度(摂氏37.78度)を超えるほどに暑くなるようです。なお、ムービーを視聴すると施設内で稼働している送風機によるけたたましい音が聞こえます。
マイニング施設の技術者たちは住み込みで働いており、月に4、5日だけ家に帰るという生活を送ることで、他産業の工場勤務などよりもはるかに高額なサラリーを受け取ることが可能。
施設内のコンピューターがマイニング作業を続けられなくなる場合、大抵は「電気機器」「電力供給」「インターネット」「コンピューター」のいずれかに問題が発生しているそうです。
施設で働く技術者たちはこういったトラブルを解決し、施設全体として少しでも高いハッシュレートを維持し続けられるように保守点検を繰り返します。
技術者たちが休憩する部屋がこれ。あまりに殺風景ですがここが技術者たちの安らぎの場です。
マイニング施設で働く技術者の仕事は、基本的にはマシンの稼働状態をモニタリングすることなので、非常に退屈なものだそうです。
しかし、コンピューターは24時間稼働し続けるので、必ず施設内に技術者をとどめておく必要があります。常に技術者を配置することで、施設のマシンにトラブルが起きてもすぐにそれに対処できるようになっているわけですが、トラブルといっても大抵の場合は簡単に直せるようなものばかりで、「仕事量で考えると他の仕事よりも軽いものばかり」とYuさんは語ります。
なので、普段は施設内をモニターしながらお茶を飲んだり……
ゲームをしたりタバコを吸ったりして暇をつぶしているそうです。
Motherboardに「あなたは今がビットコインを買ったりこれに投資したりするのに良いタイミングだと思いますか?」と質問され、Xinさんは「私の意見としてはイエスです」と回答しています。
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