ジョジョOP映像で知られる神風動画のオリジナル作品「GASOLINE MASK」始動
アニメーション制作会社の神風動画はこれまでにいろいろな作品を手がけていますが、その中でも広く知られているのはテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」のオープニング映像や、最近の「ドラゴンクエスト」シリーズのオープニング映像やPV、OVA「FREEDOM」のオープニング・エンディング映像などです。これらに共通するのは、約90秒という短い映像であるということ。これ以上の長さを作れないわけではないのですが、なぜか90秒前後の作品が多い……ということで、マチ★アソビ Vol.13の中で、「90秒の壁を越えろ!神風式ジバラフィルム始動」と題したイベントが開催されました。
神風動画
http://www.kamikazedouga.co.jp/
マチ★アソビ - 90秒の壁を越えろ!神風式ジバラフィルム始動-IGNITION-
http://www.machiasobi.com/events/kamikaze.html
イベントに登壇したのは神風動画の宮下さん(左)、吉邉さん(中央)、水崎さん(右)。
イベントタイトルは「90秒の壁を越えろ!神風式ジバラフィルム始動-IGNITION-」。
このイベントの開始時、「神風動画を知っている?」と質問したところ、知っていると答えたのはだいたい25%ほど。そこで「タイトルを見れば25%よりも増えるかも」ということで、「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」オープニング映像をはじめとしたこれまでの仕事履歴を説明。これにより「知っている」率は100%に。
神風動画は作品のオープニングやエンディングの制作に携わることが多く、ジョジョの他にガッチャマンクラウズ(オープニング)、そにアニ(8話エンディング)、TERRAFORMERS(テレビアニメ版エンディング)、さらにEXILEやBaseBallBearのミュージックビデオなどなど、いろんなものを作っています。
さらに、オリジナル作品の「アマナツ」。
これはトレイラーをYouTubeで見ることができます。
神風動画オリジナル「アマナツ」トレイラー - YouTube
映像をこうやって見ると「これ知ってる!」というものがちらほら混ざっているのですが、神風動画制作だとは知られておらず「これも作っていたんだ!」と言われることが多いとのこと。
仕事をジャンル別で分けるとこんな感じ。アニメ・CM系はやはり直近の「ジョジョ」オープニングが印象深いです。
ゲーム系だと「ドラゴンクエスト」シリーズや「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」、「魔法使いと黒猫のウィズ」などに携わっています。「ドラゴンクエスト9」では鳥山明さんが使い始めたペインターの質感をそのまま再現することに挑戦、当時1ユーザーだったという吉邉さんが「鳥山ファンとしては、こんなにも鳥山明の絵を再現したものは見たことがないです」と映像を絶賛しました。3Dなのにすべて影は手描きしており、アウトラインや色はCGモデルながら明るい面・暗い面というのは全フレームブラシで加工したもので、何のためにCGを使ったのかという無駄な作業でありながらも、それゆえに込められたものがある、と水崎さん。
ここで、出だしは個人制作だったという神風動画の初期作品が流されました。
コンセプトは「CGを使ってセル画みたいなことはできないか」
大友克洋さんのAKIRAのようなものを目指して、水崎さんがバイト2人を雇って作ったとのこと。セル画だとこうした密度のある絵はしんどいという空気が当時生まれていて、セル画の代わりになるものとして、CGで作りつつセル画のような雰囲気に落とし込んでみようと3人で作ったそうです。
タイトルは「ガソリンマスク」。キャラクターはやってみたいけれど表情の芝居は難しいからマスクをさせよう、ということでマスクを被っています。また、バイクに乗っているのは「バイクに乗っていればあまり芝居をしなくて済むから」。これで水崎さんはどっぷりとこの道にハマることに。
これは最近の作品「未来光子播磨サクラ」
未来光子 播磨サクラ - YouTube
公開当時、ネットで大きな話題になった作品です。もともと、兵庫県にある大型放射光施設Spring-8をアピールしたいということで、擬人化したキャラクター・サクラをモチーフに作られています。オープニング映像っぽい仕上がりですが、挿入されているスタッフ名は偽名がずらり。
往年のアニメのOPっぽい雰囲気を再現しまくった「播磨サクラ」がすさまじいクオリティ
……と、こういった流れはあくまでも前振り。今回の目的は「脱!オープニング屋計画」で、イベントタイトルの「90秒の壁を越えろ!」もオープニングやエンディングを作るだけのところから抜け出すという決意の表れ。
そのためのゲストとして、スタジオカラーのCGIプロデューサー 瓶子修一さんが登場(写真左から2人目)。
瓶子さんの所属するスタジオカラーといえば「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」を作っている会社であり、2014年6月には3Dアニメーターの募集告知をYouTubeのムービーで行ったことも話題になりました。
スタジオカラー 3Dアニメーター募集告知ムービー - YouTube
しかし、実はこのやり方はそれより前に神風動画が行っていたもの。瓶子さんはこの映像を見て「動画でやるのっていいな」と思って、自分のところでも始めたそうで、水崎さんはこれを「血のにじむ思いで耕したところに種をまかれちゃう」と表現しましたが、それでも、自分の目の付け所が正解だったんだと考えるようにしているそうです。
神風動画2012年求人について About 2012 Kamikazedouga Recruitment Information - YouTube
神風動画2013年求人について-CGモデラーとは?- - YouTube
神風動画2014年求人について - YouTube
そんな神風動画ですが、近頃は短編にもどかしさを感じるようになり、そろそろ短編以外も……と考えて、今回のマチ★アソビには初公開のティザーを持ってきていました。
映像の一部はこんな感じ
タイトルは「GASOLINE MASK」
最後に出たメッセージ「妥協は死」は神風動画の社訓。
「短編ばっかりやってきた人たちだけれど、飛び出そうとしているよ」という決意表明のティザーであり、こうして多くの人の前に出すことでもう逃げられないというプレッシャーの役割も果たすものになっています。なお、この映像を見ていた瓶子さんは「全部しっかり見て、コピーしよう」と、お持ち帰りを狙っていました。
こうして明らかになったのが「ジバラフィルム」。自分たちのお金で作ることで、演出やプロモーションも思い通りにできるし、公開方法もスポンサーや関係各社の縛りなく行える、というわけです。
つまり、プロモーションはジバラなので、このイベントに来た人や、この記事を見た人が頼り。
なお、作品名が初期作品のものと同じですが、これは「15年前の『ガソリンマスク』にケリをつけにいく」ということだそうです。メインデザイナーは桟敷大祐さん。
15年前の「ガソリンマスク」制作のときに水崎さんが雇ったバイトの1人で、アカデミー賞の短編アニメ部門にノミネートされたアニメ映画「九十九」でキャラクターデザインを担当しています。「九十九」は大友克洋さんらのオムニバス映画「SHORT PEACE」の中の1本として2013年7月20日に公開されました。
なお、水崎さんが雇ったもう1人のバイトというのが、「九十九」の森田修平監督。それを聞いた宮下さんは「大きく羽ばたいたなぁ」と感心していました。
水崎さんは「GASOLINE MASK」について、じわじわ制作を進めて、その進捗をマチ★アソビで報告できれば……と次回以降の参加についても前向きな発言をしていました。「神風動画の作品といえば?」と言われたときに「ジョジョのオープニング」や「ドラクエのムービー」ではなく「GASOLINE MASK」と言われるぐらいの作品になるかもしれないので、これからの進捗からは目が離せません。
GASOLINE MASKの公式サイトはこちら。当初、サイトは“電導性バクテリア”の影響でノイズまみれになっていてトレーラームービーが再生できない状況でしたが、多くの人がGASOLINE MASKの情報拡散をしたことで、今は普通にムービーを見ることができます。
GASOLINE MASK
http://gasolinemask.com/
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