サイエンス

環境がよくなると女性の脳は男性以上にブーストする

by Cyril Rana

食べ物や生活習慣によって脳の働きをブーストさせる方法が存在しますが、新たな研究で、女性の脳は男性の脳以上に社会環境に左右されやすく、女性がよい社会環境にあれば男性の能力をしのぐほど脳がブーストすることが分かりました。

The changing face of cognitive gender differences in Europe
http://www.pnas.org/content/111/32/11673.abstract

Women's brains got a huge boost from better living conditions | The Verge
http://www.theverge.com/2014/7/28/5945501/womens-brains-got-a-huge-boost-from-better-living-conditions

「生活環境のレベルが向上すれば、男性・女性ともに脳の認識能力が向上します。しかし、女性のそれは男性以上です」と語るのはスウェーデンのカロリンスカ研究所に在籍する心理学者であり、研究を行った1人であるAgneta Herlitzさん。これまでの環境が人の認識能力に影響するという研究結果は発表されていましたが、今回の研究で能力の向上に男女差があること、そして男女間で認識パターンの違いがあることが明らかにされました。

by Hartwig HKD

研究には1923年から1957年までに生まれたヨーロッパ13カ国に住む3万人の人々の認識脳力に関するデータが使われました。これらのデータによって被験者の認識能力、つまり、数学的素養・ある瞬間の出来事を思い出す能力・特定カテゴリに属する物の名前をできる限り多く挙げる能力などを分析し、分析結果を少子化率・子どもの死亡率・教育レベル・平均寿命・被験者が25歳の時における各国のGDPなどと比較しました。なお、医療に関する情報は今回用いられていません。

結果、ヨーロッパ13カ国の女性は「ある瞬間の出来事を思い出す能力」について男性よりも好成績であること、また、社会環境がよくなると、「特定カテゴリに属する物の名前をできる限り多く挙げる能力」の男女差が小さくなることが判明しました。

「なぜ社会環境が改善されると、ある種の女性の認識能力が男性のそれを上回るのか」ということは不明ですが、研究者は「女性は一般的に悪い扱いを受けるものであり、スタートのレベルが低いからこそ、環境が向上することで能力が飛躍的にブーストするのだろう」と見ています。

by Great Beyond

一方で、数学的素養について女性の能力向上は男性以下であり、全てのカテゴリにおいて女性の能力が男性をしのぐわけではない、とHerlitzさんは指摘しています。これはもともと男性が女性よりも数学的な熟達を得意としていることが理由であると考えられていますが、生物学的要因と環境要因を区別するのは非常に難しく、能力の向上に関しても2つの要因のいずれもが関係しているとのこと。

アメリカ心理学協会の元会長であるDiane HalpernさんもHerlitzさんの見方に同意を示しており、The Vergeのメールに対して「認識能力の発達は生来的なものと、後発的な要因の双方が影響します。さらに言えば生物学的な要因と、個人差、社会、文化的な要因など多様なものが相互に影響しあっています」と返しました。このため、Herlitzさんは研究結果を説明する際に「社会的・文化的な性のあり方」を示す「ジェンダー」ではなく生物学的意味合いを含む「セックス(性)」という言葉を使用しています。

また研究では、高齢者における男女平等と認識能力に関係があることを明らかにしており、これまで高齢者の男女平等と認識能力を関係させた研究というのは存在しなかったため、今回の研究は非常にユニークなものであるとグリフィス大学の心理学者David Reillyさんはコメントしました。

by Interior_Photos

しかし、ウィスコンシン大学マディソン校の心理学者Janet Hydeさんは「研究のデータに医療に関する事実が含まれていないことや、1945年以前に生まれた人と1945年以後に生まれた人のデータを比較する方法には疑問が残ります。第二次世界大戦中の人々は飢餓や爆撃を経験しており、PTSDを引き起こしやすい状況にありました」と語っており、これらの経験が人生後半に及ぼす影響を考えると、世代ごとの比較が有意味なものではない可能性を指摘しました。

これに対してHalpernさんは「第二次世界大戦というイベントは重要なものですが、研究に使われたサンプルの数は非常に大きく、それぞれの被験者がランダムに選ばれたことを考えると、研究の結果は科学的根拠があると言える」としています。

いくつかの理由により「能力に男女差がある」という事実が受け入れられるのは難しく、今回の研究が多くの問題を提起し論争の的になる可能性があることを、Herlitzさんらは認識しています。しかし「問題の提起こそが研究者や論文の行うべきことである」とHerlitzさんは語りました。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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