「イスラム国(ISIS)」の活動拠点は一体どこにあるのかをGoogle Earthで丸裸にする方法

内戦状態のシリアを制圧し独立したイスラム国家の樹立を一方的に宣言し世界を驚かせる「イスラム国(ISIS)」の活動の様子を、インターネットに公開された情報を使って解析することで「丸裸」にしようとする試みが行われています。

bellingcat - Gun Safety, Self Defense, and Road Marches – Finding an ISIS Training Camp
https://bellingcat.com/resources/case-studies/2014/08/22/gun-safety-self-defense-and-road-marches-finding-an-isis-training-camp/

反米・反イスラエルのテロ組織アルカイダから派生した武装組織「Islamic State in Iraq and al-Sham(ISIS)」は、2014年6月29日にシリアとイラク北部にまたがる地域で突如として「イスラム国」の樹立を宣言し、現在、イラクの首都バグダッドに向けて進撃中です。

豊富な資金と武力を背景に勢力を拡大するISISは、2014年8月24日にアメリカ人ジャーナリストのジェームス・フォーリ氏の首を切断する公開処刑の映像を全世界に向けて発信するなど、日に日に勢いを増しています。この公開処刑はシリア内戦に関与するアメリカの空爆に対する報復行為と見られていますが、アメリカは空爆の続行を決定するなど、事態は泥沼化の様相を呈しています。

そのイスラム原理主義組織ISISの掃討に向けて、Google Earthのデータやインターネットに散らばる情報を活用して活動拠点を突き止めるという手法が明らかにされています。

これは、ISISの公式TwitterがISISの活動の様子を投稿したもの。銃を持つ黒い覆面の集団が写された写真が投稿されています。ISISは活動に関する情報をインターネットやTVなどの各種メディアを通じて発表しているため、これら公開された写真を解析することでISISの拠点を探るのが今回の「手法」というわけです。

これは2014年7月に撮影された格闘技訓練の写真。赤い矢印に橋が写っているのが見えます。

この写真でも大きな河の向こうに橋が見えます。

この写真にも橋。

これらの写真に写る橋をGoogle Earthを解析したデータと突き合わせると、イラク・モースルのチグリス川にかかる橋であることが判明。

これは武装訓練の卒業式の写真(左)。写真の左上には橋の向こうに大きな建築物が写り込んでいます。

この建築物(赤枠)も見つかりました。なお、この衛星写真にはカメラマークで撮影場所まで特定されています。、

この訓練写真には道路の架橋と右側に木が写り込んでいます。

別の写真も同じ場所であると推測できます。

黄緑の矢印で示されたのが先ほどの道路の架橋で、衛星写真左上の広いスペースが撮影場所だと特定されています。

次にGoogleの写真共有サービスPanoramioを活用してみます。左がISISが公開している写真で、右がPanoramioに投稿された写真。赤枠・黄枠で示された特徴的な物体が一致していることが分かります。

橋の側面に書かれた文字が完全一致。

Panoramioの別の写真と同じ街頭も発見。

看板も同じもの。

これは鉄塔が同じもの。

この衛星写真の赤い矢印の部分には大きな鉄塔の影が写っています。これらの影から新しい建造物が作られたことが手に取るように分かるとのこと。

衛星写真は建造物を建築中の様子もバッチリ捉えています。

衛星写真を解析することで、訓練で約3キロメートルを移動したことも丸わかり。

新型商用衛星「WorldView-3」が打ち上げられたことでGoogleの衛星写真はさらに解像度が高まることは確実なので、ISISの行動はネット経由で誰でもやろうと思えばより詳細に分析できることになりそうです。