フシアリは集団で行動すると思わぬ力を発揮する

By Marufish

南半球に生息するフシアリというアリは、集団になると、液体状や固体状など異なる状態に変化する特異な性質を持っていることを示すムービーを、先月、ジョージア工科大学のデービッド・フー博士たちの研究チームが全米物理学協会の会合で示しました。このフシアリの不思議な特性についてのムービーがニューヨークタイムズによって公開されています。

Ants That Can Flow Like a Fluid, or Move Like a Solid - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2013/12/17/science/ants-that-can-flow-like-a-fluid-or-move-like-a-solid.html



黒い物体が漏斗から押し出されてきます。

流動性の高い液体のように漏斗から落下しているのはフシアリの集団です。

ニューヨークタイムズのジェームズ・ゴーマン記者は、「フシアリが液体状になったり固体状になったりする特異な性質を持つことを科学者が発見しました」と話します。

液体状にもなるフシアリの集団は、写真右のように固体状にもなります。

固体状のフシアリをビーカーから取り出すと……

フシアリの集団は塊のまま。

上からたたくと……

塊はまるでゴムのように平べったい状態に形を変えていきます。

フシアリの集団を水に浮かべると……

やはり塊の状態を維持し、押さえつけても浮いてきます。

こちらは、空中で架橋構造をとるフシアリの様子。

「フシアリは、地面に亀裂があれば何匹かが犠牲になって、まるでコンクリートのように亀裂を埋めてしまうのです」と話すゴーマン記者。

集団になることで不思議な力を発揮するフシアリの様子は、以下のムービーでも確認できます。

Ants ATTACK! - YouTube


液体が持つ表面張力は……

一匹のフシアリにとっては大敵です。

水滴に取り込まれたフシアリは、表面張力に抗えず脱出不可能となり最後には死んでしまいます。

しかし、集団化するとフシアリは大きな力を持つようになります。

フシアリの集団を上から落とすと……

このように、徐々に広がってきます。

これは、シャーレを広がる液体と同じ。

フシアリの動きと液体の動きを重ねてみても、広がり方はぴったり重なります。集団化するとフシアリは液体のような振る舞いをするのです。

また、フシアリの集団を液体の上に落とすと架橋構造をとり、誰かが橋の上を伝ってつかまることができる物体を探す役目を果たします。

デコボコしたところに放たれると……

凹みの部分に集団で橋を架け、その上を他のフシアリは移動します。

漏斗から出されると、粘性の高い液体のような動きを見せ……

固体状の塊も、すぐにフシアリが拡散していき平たくなってしまいます。

まるでパン生地が自重でぺちゃんこになるかのようです。

液体状にも固体状にもなるフシアリをみつけたら、今までとは違って愛着がわくかもしれませんね。