Amazonの無人飛行機を使った配送サービスの前に立ちふさがる航空規制とは
Amazonは、注文してから30分以内に自宅まで商品を届ける配送サービス「Amazon Prime Air」を2015年に実用化すべく、開発を進めていますが、8枚の回転翼を持つ無人飛行機(ドローン)を利用するこのサービスの前に、アメリカの航空規制が立ちはだかっています。
It was illegal for Amazon to shoot that drone video in the U.S., so it went abroad
http://www.washingtonpost.com/blogs/the-switch/wp/2013/12/10/it-was-illegal-for-amazon-to-shoot-that-drone-video-in-the-united-states-so-it-went-abroad/
Amazon Prime Airについては、すでにコンセプトムービーが公開されていますが、このムービーはアメリカの国外で撮影されています。
その理由は、アメリカでは連邦航空局(FAA)がドローンに関して厳しい規制を行っていて、民間企業がドローンを飛ばすことができないためです。「東ヨーロッパの小国などはAmazonにとってより良い選択肢になりうる」と語ったのはDC Area Drone User Groupを率いるティモシー・ロイター氏。「Amazonがコンセプトムービーを国外で撮影した」という事実そのものが、アメリカ政府のドローンに対する対応の遅さを示しています。
FAAが公開している、アメリカ空域へのドローン取り入れの基準や規制緩和に関するロードマップと、その計画案によると、FAAはドローンがアメリカの空を飛び回ることができるように調整中ですが、「2015年までに小さなサイズのドローンがアメリカ国内の空を飛べるようになる」というのはかなり厳しい状況です。また、民間企業がドローンを飛ばせるようになるのは2015年よりもさらに遅れるとみられており、2015年にAmazon Prime Airのサービスを開始するというAmazonの予定は、現在のところかなり厳しいものになっています。なお、現行ルール下でドローンを国内で飛ばすことができるのは、遊びで飛ばす人たちと、FAAから特別な認可を受けた場合のみ。
アメリカではFAAの厳しい規制により、ドローンを使った配送サービスのテストすらなかなか行えない状況ですが、オーストラリアでは世界初のドローンによる宅配便サービスがスタートしようとしていたり、ドイツでもドローンを使った配達実験が行われていたりします。
German firm testing drones to deliver goods | GlobeNews
http://globenews.co.nz/2013/12/german-firm-testing-drones-deliver-goods/
ドイツの宅配業者ドイツポストは、宅配が困難な場所へ素早く物を配達しなくてはいけない場合に、ドローンが有効に使えるのでは、ということでドローンの飛行テストを開始しています。テストの内容は、小さなドローンにいくつかの薬を積み、ボンの町にある薬屋からライン川の対岸まで薬を空輸するというもの。地元の航空当局からフライト許可を得ており、約3kgまでの荷物輸送が認められました。
ドイツポストの広報担当者であるThomas Kutsch氏によると「このフライトはまだ実験段階のようなもので、実際にドローンを使った配達を始める具体的な予定はない」とのこと。
・関連記事
Amazonが無人飛行機で自宅前まで注文から30分でお届けしてくれる「Amazon Prime Air」がよくわかるまとめ - GIGAZINE
世界初のドローン(無人航空機)による宅配便サービス「Zookal.com」 - GIGAZINE
誰でも簡単にHDムービーが空撮できてiPhone/iPadがコントローラーになる「AR Drone 2」で太陽の塔を撮影してみた - GIGAZINE
上空からHDムービーの撮影ができるクアッドコプター型ラジコン「AR Drone 2」ムービー&フォトレビュー - GIGAZINE
無人機があなたを暗殺しに来てもすぐに察知して知らせてくれるデバイス「DroneShield」 - GIGAZINE
空飛ぶ無人機の監視運用によって全国初の逮捕者が出る - GIGAZINE
マルチコプターで刑務所の塀の向こうにタバコを届けようとする事件が発生、4名が逮捕される - GIGAZINE
・関連コンテンツ