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技術が進化し機械化が進んだとしても労働者が仕事を奪われることはない

By Pascal

さまざまな作業が機械化されて生産性が高まる一方で、合理化に伴う「人減らし」によって職を失う人がいるという事実は、現代社会の失業問題の根本的な原因だと言われており、テクノロジーの進化が人間から職を奪っていると公言する学者がいるほどです。しかし、これに真っ向反論し、技術進化に伴う機械化は職を奪うものではなく雇用を破壊していないという見解が出されています。

Stop Saying Robots Are Destroying Jobs—They Aren't | MIT Technology Review
http://www.technologyreview.com/view/519016/stop-saying-robots-are-destroying-jobs-they-arent/

つい最近マサチューセッツ工科大学(MIT)のデービッド・ロットマン技術調査員は「技術はどのように雇用を破壊しているか」というタイトルの論文を書きました。このタイトル自体が伸び悩む雇用は機械化が原因であるというよくある見解を示すものです。しかし、アメリカの経済学者でシンクタンク情報技術イノベーション財団代表のロバート・デービッド・アトキンソン氏はこの一般的な見解を完全に否定しています。彼によれば「テクノロジー(技術革新)は巨視的に見れば決して雇用を破壊するものではなかったし、それは今後も変わることがない」とのことです。


アトキンソン氏は、「機械化によって労働者が職を奪われる」という見解の多くはMITの経済学者エリック・ブリンジョルフソン博士とアンドリュー・マカフィー博士の共著「機械との競争」を論拠としているものの、そもそもこの本で結論を導き出すための根拠としているデータの分析が誤っている、と主張しています。

「機械との競争」では、2000年代以降、技術革新に伴う機械化によって生産性がどんどん高まったのに対して雇用は突然しぼんでしまったという統計データを「経済成長と雇用喪失に関連性がないことを示すものである」としています。しかしこの理解は正しくないとアトキンソン氏は言います。アトキンソン氏の主張は、データは「生産性と雇用には関連性がないことを示すものである」というもの。

こちらがアメリカにおける生産性と雇用の関係を示すグラフ。


アトキンソン氏は自身の主張を、経済成長率が同じ2%である2つの国をモデルとして説明しています。2つの国というのは日本をモデルにしたA国、アメリカをモデルにしたB国で、A国では生産人口が減り退職する人が多いので労働力は減退しているが失業率は低く、一方、B国は生産人口や移民が増えたために労働力は成長しているが失業率が高い、という状況です。つまり、日本とアメリカの現状を見れば、雇用率の高低にかかわらず高い生産性は実現可能であり、「機械化が進み生産性が高まることと雇用が減ることは関連性がない」ことが明らかだと主張しています。

アトキンソン氏は、2000年以降雇用の伸びが鈍ったのは、ベビーブーム世代が引退したことと女性の社会進出が高まったことという人口統計的な問題であると断じています。そして、失業率が極めて低かった2000年から2008年の生産性は年率2.8%で伸びていたのに対して、2008年から2012年の生産性は年率たった1.8%であることを指摘した上で「機械化による生産性の向上は失業問題とは関係がない」と結論づけています。

By Daniel Foster

アトキンソン氏は、「機械との競争」でブリンジョルフソン博士とマカフィー博士は機械が労働者に置き換わるときに生じる効果を単なる人減らしという一面的な事実として捉えていることがミスの原因だと指摘します。アトキンソン氏によると、労働者が機械に取って代わられるときには違う効果が生じるとします。それは、機械化によって節減できた費用は経済全体に還元される、というもの。例えば、機械化によって商品価格が下がり購買力が高まること、企業が高収益を出し他の商品サービスが生み出されやすくなること、残された労働者へ高い賃金が支払われるようになること、などの経済効果が発生し、需要が刺激される結果、他の会社がより多くの労働者を確保する流れになり、結果として単なる人減らしにはならないということです。

短い期間では機械化による生産性の向上は失業率に影響するという研究結果があると同時に、長期的には生産性の向上は就業状況にほとんど影響を与えないか良い影響を与えることが多くの研究から明らかだとアトキンソン氏は指摘します。

アトキンソン氏によれば、「機械化によって労働者が職を奪われる」という見解の"信者"は、「インターネットのようなテクノロジーは多くのルーティンワークを自動化しており多くの労働者は職を奪われる」と主張しているものの、この主張は、情報技術が進歩したとしても人との直接的な関わり合いが必要な職種(例えば老人ホームや警察や消防)や人間の作業が必要なサービス業(例えば管理人サービス)などがあることを見過ごしており、やはり正しいとは言えないとのことです。

アトキンソン氏は、仮に奇跡的に生産性が1年で5%向上したとしても(アメリカでの史上最高の生産性向上率は3%)、それは、国民全体の所得が5%増えて、みながよりレストランで食事をするようになり、より多くの休暇を取り、車や家を買い、教育にお金をかけ、3Dテレビを買うという現象が起こることを意味するだけだとします。そして、この"幸せな世界"では、商品やサービスを提供するためにやはり労働者は必要で有り、たとえ商品の生産やサービスが機械によって自動化されたとしても、生産性の向上により生み出されたお金で他の商品やサービスを利用するようになり、それに伴って仕事は新たに創出されると説きます。

By Brian Talbot

アトキンソン氏は、機械化によって生産性が高まると経済が潤い新たなサービスへの需要が高まる結果、雇用の機会が創出され、また、機械が取って代わることのできないサービスがあるので大丈夫だと主張します。しかし、まったく人間と同じ働きをすることができるロボットが登場すると話はがらっと変わりそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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