取材

日本の飲料メーカーが強すぎて「スプライト」が見当たらないガラパゴス状態


「スプライトがない!」と自動販売機を見てうろたえました。海外でコカ・コーラ、スプライト、ファンタの3つは王道だったからです。どこの国のどんな場所にもスプライトはありました。レモンと水しぶきのデザインは世界共通で、日本もそうだと思っていました。でも、違いました。炭酸飲料だけでなく、お茶も、コーヒーも、果汁飲料も、オレンジジュースも売らないといけない日本市場のコカ・コーラ社は大変みたいです。「ハジケルジャクソン」というキャラまで作っています。日本の飲料市場では熾烈な競争が繰り広げられていました。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。現在、一時帰国しています。世界一周の中、コカ・コーラを飲むのに飽きたらスプライトを飲んでいました。スプライトといえばクールなイメージでコークに次ぐ2番手、世界各国で共通したデザインでした。……ただし、日本を除いて。

ノルウェーのスプライト。


こちらはスペイン。


ジンバブエも同じです。


ナミビアだって。


アメリカのバーガーのサイズを日本のものと比較したときでも、スプライトは共通のデザインでした。


そして、こちらが日本のスプライト。明らかに違います。


海外が刺激的でクールなデザインなのに対し、日本のスプライトはレトロ調で落ち着いていました。


他の国のスプライトでも違ったデザインがあるかもしれないと思ってインターネットで調べて見ました。でも、みな一緒ですね。こんなに違っているのは日本だけでした。

・アメリカ合衆国(http://www.thecoca-colacompany.com/?WT.cl=1&WT.mm=top-left-menu2-tccc-red)


・ドイツ(http://www.coca-cola-gmbh.de/markenvielfalt/index.do?brand=sprite)


・ロシア(http://www.coca-colarussia.ru/brands/Sprite.html)


・ブラジル(http://www.cocacolabrasil.com.br/conteudos.asp?item=3&secao=36&conteudo=106)


・南アフリカ(http://www.cocacola.co.za/product_sprite.aspx)


・中国(http://www.coca-cola.com.cn/#/prodrink)


・インドネシア(http://coca-colaamatil.co.id/products/index/45.107/sprite)


・日本(http://www.cocacola.co.jp/products/lineup/sprite01.html)


このような感じです。日本だけ仲間はずれ、日本だけガラパゴスです。こうした中、自動販売機の取扱が微妙になっていました。コカ・コーラやファンタは必ずあるのに、スプライトは常に販売されているわけではないのです……。

スプライトの缶が一つだけ置いてあります。ただし……


隣にもう一つ自販機があります。コカ・コーラやファンタの扱いと比べてみるとその差は一目瞭然です。


こちらはまったく見当たりません。


そして、こちらにもない。


このスプライトを自販機で見かけない現象は、近年にパッケージをリニューアルしたのが理由でしょう。リニューアルまでの間に、販売されていない期間があったそうです。その間に「ファンタ ゼロ サイダー」という透明のファンタがあったことはまったく知りませんでした。このスプライトのリニューアルと同時に、シトラス風味の炭酸飲料「メローイエロー」が復刻さています。レモンライム風味のスプライトと同系統な気もするのですが。日本には三ツ矢サイダーやキリンレモンもありますよ。

Wikipediaの「スプライト」の項目によると、リニューアルまではこのような流れとなっています。

2008年当時では関東の一部など販売されていない地域も存在していた。また日本コカ・コーラでは「ファンタ」のシリーズ品として「ファンタ ゼロサイダー」を発売し、スプライトが売られていない地域では、この「ファンタ ゼロサイダー」が事実上の後継商品として位置付けられていた。
2009年、CCCMC切替以降製造中止。2010年以降のリニューアルまで在庫のみの販売。
2011年7月、日本国内初登場時の緑のガラス瓶をモチーフにしたラベルデザインとロゴマークにリニューアルし販売再開。このリニューアル時に保存料不使用になった。


気になるのは製造中止の前年に「ハジケルジャクソン」という大々的なプロモーションがあったことです。当時は公式サイトがあったのですが、現在では見つかりません。大人の事情で黒歴史になってしまいました。当時は「刺激、刺激」と言っていたのに、現在では「さわやかダイレクト」になっていますよ。リニューアルされたパッケージデザインは、いたってシンプルです。ただ、スプライトの特徴であるレモン、そしてハジケルジャクソンは消えてしまいました。


◆激戦を繰り広げる日本の飲料業界
世界中でコカ・コーラ社の存在は圧倒的でした。特にアフリカでは選択肢がありません。それに比べると日本の飲料業界の競争は目をみはるものがあります。日本でも飲料業界におけるコカ・コーラ社はトップメーカーですが、マーケットシェアは約3割しかありません。

日本でペプシコーラを販売しているサントリー。


カルピスの買収や、栄養ドリンク「モンスター」の投入など近年の動きが激しいアサヒ飲料。


お茶のイメージが強い伊藤園。


最近、サッポロの子会社となったポッカ。


自販機が強いダイドードリンコ。


ボス、ワンダといった缶コーヒーとともに並んでいるUCCも上島珈琲という飲料メーカーです。


チャリダーマンの地元の福岡にはサンコーという飲料メーカーがありました。


他にも日本にはサンガリア、チェリオ、ネスレべバレジ、JT、大塚製薬といった飲料メーカーが存在しています。そうした飲料メーカーによっては強いブランド力をもった商品がたくさん生み出されました。これもまた、飲料業界の激しい競争に一役買っていました。

日本のオレンジジュースを代表する「ポンジュース」


お茶のトップシェアを握る「おーい、お茶」


爽やかな夏のイメージが記憶に残る「ポカリスエット」


サントリーで販売されている「ニチレイアセロラドリンク」


不二家の「ネクター」


サッポロ飲料の「リボンシトロン」


海外では手に入らなかった「カルピス」


CMが話題となったJTの「桃の天然水」


ヨーグルト風味の炭酸飲料、南日本酪農協同「スコール」


強い商品がたくさんありました。こうして、コカ・コーラ社の製品は入っていないのにラインナップが強力な自動販売機ができあがるわけです。


こちらで一人のコカ・コーラはさぞかし不安でしょうね。


そして、この自動販売機が価格競争まで繰り広げています。日本は恐ろしい国です。大阪の100円自動販売機は知っていましたが……


地元の福岡でも100円自動販売機が増えていました。


ここまで激しい競争を繰り広げる日本の飲料業界。日本のスプライトが世界と同等のブランド力を手に入れるには、しばらく時間がかかりそうです。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材,   , Posted by logc_nt

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