空中浮遊して指定した動きを繰り返す「ZeroN」
フィクションの世界では物体が浮遊するのはわりとメジャーな現象ですが、これを現実でも可能にしたのが「ZeroN」です。まるで物の上に置いているのと同じような感覚で球体を空中に固定したり、コンピューターが浮遊する球体の位置を記憶し指示した動きを繰り返したりと、空中で自由自在に動かすことが可能です。
ZeroN - Jinha Lee MIT Media Lab
http://www.leejinha.com/zeron
実際にZeroNを使っているムービーは以下から。
ZeroN - Levitated Interaction Element on Vimeo
以下にあるのは何の変哲もない銀色の球体に見えます。
これをステージの上にもっていき、手を離すと……
ふわっ
糸で吊られたりしているわけではないのですが、球体は空中に留まったままです。
ZeroNを作ったのはMITメディアラボのJinha Leeさん。
宙に浮かぶ球体を捕まえて、
ぐいーっと向こうに押しやっても……
どのように動かされたのかを記憶しているので、手で動かした通りの軌跡を辿って戻ってきます。
続いては、先ほどの球体とは別に先端に「M1」と書かれた球のついたボールをステージ上に配置。
すると、球体がM1の周りを回り始めました。M1を太陽に見立てて回る地球のような感じ。
今度はM2というポールを追加。
すると、公転の軌道が変化してM2の方へ移動。
映像を両者に投影すると、まるで衛星のようです。
この球体がカメラになったというイメージで3D映像を作ったり編集したりすることもできます。ステージ上に置かれているのは枠組みだけですが、映像では壁や屋根のように枠の間が埋まっています。
ZeroNの仕組みとして、実はステージ上部に磁気浮上装置としてソレノイド(電磁コイル)が仕込んであって、球体は電磁力によって浮かぶ仕組みになっています。
さらに詳細な説明は「(PDFファイル)ZeroN: Mid-Air Tangible Interaction Enabled by Computer Controlled Magnetic Levitation」に掲載されています。ステージの横にあるカメラを使って手の動きを、ステージの下に設置されたカメラを使って影の大きさから球体の浮遊している高さを把握します。そしてコンピューターで磁気浮上装置を操作して、仮想の「無重力空間」内で球体をふわふわ浮かすことが可能というわけです。
球体は手で動かすことも可能。このとき機械側で新しい支持ポイント(球体を浮上させたままにするためのコイルの位置)を計算して、球体が落ちないようにしてくれます。
ユーザーが球体を持っているのか離しているのかはKinectカメラで検知しています。
コンコン、と横から棒でつついてみても、横にずれたり下に落ちたりすることはありません。
80重力グラムの力で引っ張ってもその場を動きません。
センサーはこんな感じで手の動きを感知します。
ZeroNを使えば浮遊卓球で遊ぶこともできます。
重力を無視した空中浮遊は人類の夢ですが、ZeroNならその不思議な現象を体験できるというわけです。
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