取材

テレビはここまで進化する、145インチスーパーハイビジョンディスプレイからSFさながらの研究までNHKの本気がわかる展示の数々


放送技術全般にわたる日本で唯一の研究所として、放送の進歩発展に関わる調査・研究をしている「放送技術研究所」、通称「技研」が、その研究の成果を一般に公開するイベント「技研公開2012」を行っているので、現場に行って未来のテレビにはどんな技術が使われることになるのかを見てくることにしました。

東京都世田谷区砧にある「技研」のビル。


開場と同時に人気ブースには人が殺到して大混雑。


全体の展示を通して、NHKの本気が最も感じられたのは「スーパーハイビジョン」関連のブース。撮影機材から放送、視聴の仕組みまで幅広いエリアで実用直前までこぎつけた研究の成果が発表されており「近いうちにテレビはここまで進化するのか……!」という実感が得られる内容でした。

◆ロードマップ

2020年にはスーパーハイビジョンを、2030年には立体テレビを実現させるべく研究中とのこと。


総画素数3300万画素、22.2チャンネルの3次元音響で映像を視聴するスーパーハイビジョンは8年後の試験放送に向けて準備が進められているそうです。


さらにその先にはホログラフィーによる立体表示を取り入れた放送の実現まで目指しているという、SFさながらの研究も行われています。


◆ディスプレイ

NHK技研公開2012 (5/24-27) | 展示項目

高画質なスーパーハイビジョン用ディスプレイの実現を目指してプラズマディスプレイの超高精細化と大画面を進めている、という研究ではスーパーハイビジョン映像に対応したプラズマディスプレイ用信号処理の研究成果として、145インチ(7680×4320ドット)画面でスーパーハイビジョンの映像が上映されています。


「映像」であることを忘れるほど高精細な画面に見入る人々。


画面の一部を拡大するとこんな感じ。クジャクの尻尾の1本1本までがクッキリと見えています。


画面の50分の1くらいの大きさまでズームして写真を撮影しても稲穂や地面のぬかるみなどがハッキリと見えています。


◆撮像素子

NHK技研公開2012 (5/24-27) | 展示項目

ハイエンドデジタル一眼レフカメラ並みの3300万画素と、一般的な家庭用ビデオカメラの2倍となる120Hzのフレームレートを実現したセンサーが展示されています。


サイズは意外とコンパクト。


実際のカメラには上記のセンサーが赤・青・緑用に3台搭載されているそうです。


出力用ケーブルの数がとんでもないことになっています。


スペックは以下の通り。旧来のセンサーよりフレーム数がアップしてスポーツなど動きの速い映像を格段に滑らかに撮影できるようになっています。


◆カメラの小型化

NHK技研公開2012 (5/24-27) | 展示項目

1人の人間では運ぶのすら難しいほど巨大だったスーパーハイビジョン撮影用カメラを小型化して機動力のある撮影を実現しよう、という目的の研究は以下の通り。


旧型のカメラはこれくらいの大きさ。


一方、新型は肩にのせて持ち歩けるレベルまでコンパクトになっています。


◆地上波放送

NHK技研公開2012 (5/24-27) | 展示項目

高画質化に伴ってデータ量が増えたスーパーハイビジョンを電波で届けるための研究も進行中。以下はUHF帯の2チャンネルを使って184Mbps伝送容量を実現したバルク伝送についての展示です。


受信アンテナはこんな感じ。


ダウンコンバーターはラックマウント型。


デコーダーも巨大。


◆衛星放送

NHK技研公開2012 (5/24-27) | 展示項目

地上波だけでなく、人工衛星からの電波でスーパーハイビジョンを放送するための研究はこんな感じ。


受信用パラボラアンテナのエンジニアリングモデルは以下の通り。


技研公開2012」は5月27日(日)まで行われているので、映像・放送関連の先端技術に興味のある人は足を運んでみてください。

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in 取材, Posted by darkhorse_log

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