リッチバラ発電所の爆破解体で冷却塔が崩れ落ちていくムービー

発電所の象徴である巨大な冷却塔が爆破解体によって次々と崩壊していく様子を鮮明に記録したムービーが次々とYouTubeにアップされています。これは現地時間3月11日にイギリス、ケント州のRichborough(リッチバラ、リッチボロー)で行われた火力発電所の爆破解体の様子で、多くの人がその様子を見学に訪れ、カメラを回していました。

Richborough Power Station - Wikipedia, the free encyclopedia

リッチバラ火力発電所は1950年代にCentral Electricity Generating Board(CEGB)によって建設されました。1962年の稼働当初は、ケントや周辺の炭田からの石炭を燃料とした342MW規模の発電所でしたが、1971年に石油を燃料とする発電所へと転換され、1989年にはさらに水エマルジョン燃料(オリマルジョン)による発電へと切替が行われました。しかし、オリマルジョンの環境効果に対して懸念が高まったことで、1996年に運転を停止することになりました。停止時には360MW規模の発電所でした。

施設は長らく風景の一部としてそのままになっていましたが、2012年3月11日9時に爆破解体が行われました。

かなり近い位置にいたカメラはコレ、爆破の音がほとんどズレなしで聞こえています。

Richborough Power Station Cooling Tower Demolition - YouTube

カウントダウンが0になった次の瞬間、まずは向かって左の冷却塔が沈んでいきます。

続いて中央の冷却塔が姿を消し、右側の冷却塔も崩れていきます。

そして最後に高い煙突が倒れて、解体はおしまい。距離があるため高さが感じられませんが、冷却塔は97m、煙突は127mありました。

こちらは発電所の正面らしき方向から撮影したもの。かなり高画質です。

Richborough Power Station- Cooling Towers Demolition- 1080p HD - YouTube

海を挟んだ場所から、かなり多くの人が見物していたことがわかります。

Demolition of the Cooling Towers at the Richborough Power Station 11th March 2012 - YouTube

これはまた別の方向から撮影したもの、かなり遠方から撮影しているため、音は伝わってきません。
Demolition of Richborough Power Station Cooling towers.m4v - YouTube

潮が引いているのか、砂浜らしいところにも多くの人が出ています。

Demolition of Richborough Power Station cooling towers - YouTube


イギリスでは風力発電の会社が、こういった化石燃料を使う発電所をやめるべきだというキャンペーンを行っていて、そのキャンペーンムービーがまさに発電所の冷却塔を爆破する映像を使ったものとなっています。

Collapsing Cooling Towers - YouTube


優雅にお茶を飲む2基の冷却塔

突然、足元で爆発が起きて……

ウワァァァァァ！

煙突も次々と倒れていきます

アイマスクをして眠っていた冷却塔も、気付いたときには爆破解体が実行されていて……

ヒゲをたくわえたジェントルっぽい煙突も、なすすべがないままに倒されていきます。

冷却塔一家が崩れ去り……

そのあとからにょきっと芽が出てきました

エコな風力発電にしましょう、というキャンペーンCMでした。

2007年にはニュージーランドが火力発電を禁止にするなど、脱火力発電所の動きは確かにあるものの、効率面や低周波の問題など、風力発電で全て置き換え可能かというとまだまだ疑問が残ります。日本では東日本大震災とそれに伴う福島第一原発での事故以来原子力発電所に対する不安が強くあり、今後、発電をどのエネルギーに頼るのかは重要な課題となっています。