臭さは野球部の靴下の20倍、なぜそんなに臭い食べ物をわざわざ食べるのか

by vargklo

人間、誰しも食べるならまずい食べ物よりもおいしい食べ物を選びます。いい匂いのものと臭いものであればいい匂いを選びます。しかし、世の中には尋常ではないほどに臭い食べ物が存在しています。近年は臭いを数値化する装置もあるので、実際にその臭さを計測した人がいるのですが、中にはなんと野球部が練習を終えた後の靴下の臭いを20倍にしたような臭さの食べ物すらあります。なぜそんなにも臭いものを、わざわざ食べているのでしょうか……。


におい濃度を測定する方法」というのは株式会社若林商店の特許になっています。この発明者に名を連ねている一人、小泉武夫さんは東京農業大学名誉教授(農学博士)で、「くさいはうまい」「不味い!」といった食にまつわる書籍を書いています。

その小泉さんがアラバスターという臭気測定装置で調べたところ、最も臭かった食べ物は、今や多くの人が知っているスウェーデンの「シュールストレミング」で、8070Au(臭さの単位)でした。小泉さんの靴下の臭いが200Auちょっと、練習を終えた後の野球部の靴下は400Auにもなるそうなのですが、それを軽く上回る数値です。

シュールストレミングはニシンの塩漬けを缶詰にしたもので、缶詰になってからも発酵が続くためにだんだんと缶の中にガスが溜まって膨らんできます。そのため、缶を開けようと缶切りを突き刺すと、内部に溜まった発酵液やガスが一気に吹き出してきて辺り一面が臭くなってしまうという、ある種の兵器のような食べ物です。

by Wrote

それでも作り続けられているというだけあって、スウェーデンではけっこう食べられているのですが、日本で食べた人の感想は「酒盗のようで、日本酒に合う」「『塩が効き過ぎた塩辛』と言う感じで、意外にもイケました」「臭い!不味い!辛い!」「塩辛さと筆舌し難いまずさ」と真っ二つ。塩辛いものが得意な人であれば問題ないが、その塩辛さは並大抵ではないので受け入れられない人も多い、というわけです。

韓国料理の「洪魚膾(ホンオフェ)」もまた、臭い食べ物として知られています。こちらの臭さは6230Au、テレビ番組でも幾度か登場し、そのたびに出演者を震え上がらせている料理です。


洪魚(エイ)を膾(なます、細く切ったもの)にして壺の中に入れ発酵させた食べ物なので、臭いが発生する理屈はシュールストレミングと同じ。食べた感想として、韓国の人も「息を吸うと、ゴホゴホとむせ返りそうになりますが、これこそホンオの清涼感です」と書くほどスゴい臭いがしますが、「身はプリプリと弾力があり、軟骨はコリコリとして『噛む味』を大事にする韓国人に幸せな時間をもたらしてくれます」とのこと。他の地域の人間にはわからない、地元だからこそわかる食べ物のようです。

地元だからわかる、というと、日本でも関東のくさや(1267Au)と、関西の鮒寿司(486Au)が代表的な臭い食べ物です。くさやは長年かけて魚の成分が染み出したダシ(くさや液)に干物をつけ込んだもので、一方の鮒寿司は塩漬けにしたフナを発酵させたもの。それぞれお互いの地域で食べることはなく、関西人はくさやのことを「あんなに臭いものをよく食べるな」と思っていて、一方で関東人は鮒寿司を「フナを腐らせたような寿司を食べるなんて」と思っています。これは、東西では味の好みが異なるのでカップうどんもダシや味を変えているのと同じく、臭いの好みの違いの地域差の表れとみられます。

ちなみに、関東人が古くから鮒寿司を嫌っている理由としては、江戸時代に「鮒侍」という悪口があったからです。この悪口は、フナは煮ると全体が柔らかくなり「骨なし」になることからつけられたもの。もはや侍の時代ではないので、食わず嫌いせず食べてみると「フナもなかなか味がある」と好きになるのではないでしょうか。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
唐辛子のにおいが化学兵器テロと勘違いされてロンドンの町が大混乱 - GIGAZINE

飲むまで味を想像できない異色ドリンク、「ドリアンサイダー」「トマトサイダー」試飲レビュー - GIGAZINE

約40時間保温し続けたごはんは本当においしさが保たれているのか食べてみた - GIGAZINE

in , Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.