赤身だらけのビーフをおいしくしたり、ハム・ベーコンを作るためにピックル液を注入したりする巨大機械「ツカコム560-5H」
市販されているハムの場合、まず豚肉から余分な脂や筋を取り除き、ハム独特の香味を付けて保存性を高めるために食塩やいろいろな香辛料・調味料を混ぜ合わせた「ピックル液」という調味液を肉に染み込ませます。単純に染み込ませるだけだと時間がかかるので、剣山みたいに注射針がたくさん並んだ機械を使って一気に内部まで注入し、ふくらませます。こうして注入したピックル液を全体になじませた後、あのハムの形に整えるためにケーシングを行って巨大なソーセージみたいな形にして、スモークしたり蒸気で蒸したりして加熱して冷却、スライスしてハムが完成する、というわけです(東京都健康安全研究センターの説明がわかりやすい)。
で、さらにこの機械を応用すれば、赤身だらけでかたくて脂肪分の少ないビーフなどに脂分やピックル液っぽいものを注入してやわらかくでき、ファミレスやチェーン店などで安い割にそこそこ柔らかくておいしい牛肉として提供できる、というわけです。今回はその中でも「ツカコム560-5H」を見てきました。
実際に動いている様子は以下から。
これが今回見学したピックルインジェクター「ツカコム560-5H」
あの向こう側に見えている巨大な機械が「ツカコム560-5H」の実物です
上から見ることができるようにタラップがあります。
なんだかパイプオルガンっぽい見た目
結構カッコイイ
展示では水が循環していましたがこれが本当はピックル液となっており、漏れたりあふれたりしたピックル液はこうやって回収されてさらに再循環します。
操作パネル。至ってシンプル。
実際に動いている様子。豚肉に針が刺さって液が注入されると肉がぷくーっとふくれていきます。
肉は向かって右から左へと流れていきます。右の2つで液を注入し、3つめの変わった形のもので肉の筋を切ってやわらかくし、その際に溢れ出てしまった液を最後にもう一度注入して補完する、というわけです。「うちがこのスタイルを最初に考え出したんですけどね、やっぱりなんというかほら、これを真似した機械を作るところもあるのですが、特許とかをうちが持っているので見た目はそっくりでもできあがりが違ってくるんですよね」とのこと。
後ろから見るとこんな感じで液をポンプで吸い上げてブスブスと肉に針を差し込み、均一に注入していくというわけ。
こんな感じの動きで注入するわけです。
YouTube - ツカコム560-5H その1
YouTube - ツカコム560-5H その2
YouTube - ツカコム560-5H その3
YouTube - ツカコム560-5H その4
YouTube - ツカコム560-5H その5
YouTube - ツカコム560-5H その6
バラ肉に注入するとベーコンになるわけですが、その工夫もいろいろと施されています。
赤身だらけの肉にこの機械を使うと、こういうことになります。一般のスーパーなどには法律の関係上、提供して消費者の元に届けるためには加熱したりする必要があり、不可能だそうですが、居酒屋用やファミレス用、チェーン店用にこういう手順で作った肉が提供されているそうです。
いわゆる成形肉とは違っており、食感などはかなりしっかりしており、食べてもまずわからないだろう、とのこと。
こっちはそうやってできあがったハムっぽい何かをケーシングして、よりハムっぽい形にする機械
ハム原木真空充填機という機械です
原料の肉と完成したハム。
このハムはスライスする際に端っこが無駄になるため、大体2メートルぐらいの長さで作ったりして、できるだけ無駄を出さないようにしているとのこと。
普段食べているものはどこかで誰かが作っているわけですが、なんとなくその舞台裏を少しだけ垣間見た気分です。
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