冥王星の表面が実際にはどうなっているのかよくわかる高解像度ムービー&画像をNASAがネットで公開中
惑星から仲間はずれにされた冥王星ですが、あまりにも遠いため、実際にその表面がどうなっているのか?というのは実はよくわかっていませんでした。しかし、NASAがハッブル宇宙望遠鏡から得られた画像イメージを4年かかって20台のコンピューターによって特別なアルゴリズムを使って合成した結果、これまで明らかになっていなかった表面の様子がわかってきたとのことです。
上記画像はその一部で、なんとこのようなマダラ模様になっており、北半球部分の方がより明るく輝いているのは、248年かけて太陽のまわりを楕円軌道でまわっているためであり、1つの季節がなんと120年近く続くのに加え、楕円軌道なので各季節が非対称であり、表面の氷(マイナス230度~マイナス210度)が溶けたり、再凍結したりを繰り返しているためだそうです。
高解像度画像とムービーの再生は以下から。
NASA - New Hubble Maps of Pluto Show Surface Changes
これが冥王星表面の様子。左から順に90度・180度・270度というようにして回転しています。
立体的に見るとどうなっているのかわかりやすくしたのがこれ。
さらに細かい角度で回転させるとこうなります。
ムービーで見ると以下のようになります。
YouTube - 冥王星の表面が実際にはどうなっているのか
表面のまだら模様は白・暗いオレンジ・チャコールブラックといった感じになっており、全面的な色は暗く赤い炭素に富んだ残留物の色になっています。これは冥王星表面に存在するメタンが遠く離れた太陽からの紫外線によって破壊され続けているためにこうなってしまうそうです。
また、実は1994年に同じくハッブルによって撮られた冥王星の写真と、2002年・2003年に撮影された画像の新しいセットと今回のものとを比較すると、北極地方がより明るくなっており、その一方で南半球はより暗くなっているとのこと。
上が1994年、下が2002年・2003年。
これらの変化から考えて、可視の表面に影響する非常に複雑なプロセスが存在していることが暗示されており、冥王星が単に氷と岩のボールではなく、劇的な大気の変更を受ける動的な世界であることを示していると解釈されています。さらに、1998年と2002年を比較すると、大気の量が約2倍になっており、これは冥王星表面の窒素氷が温められて昇華されたために起きたと予想されています。
なお、2015年には新しい探査機「New Horizons」が冥王星に接近し、1つの半球全体をさらに高精細に撮影予定となっており、さらにこの複雑な大気のシステムなどを解明できると期待されています。
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