サイエンス

ブラックホールが恒星をバラバラにする「潮汐破壊」を観測したとNASAが発表


2018年に打ち上げられたトランジット系外惑星探索衛星(TESS)が、ブラックホールが恒星をバラバラにする「潮汐破壊」という現象を観測したとNASAが発表しました。今回観測した潮汐破壊を引き起こしたブラックホールは太陽の約600万倍の質量で、破壊された恒星は太陽と同じ大きさだった可能性があるとのことです。

Discovery and Early Evolution of ASASSN-19bt, the First TDE Detected by TESS - IOPscience
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab3c66

TESS Spots Its 1st Star-shredding Black Hole | NASA
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/nasa-s-tess-mission-spots-its-1st-star-shredding-black-hole

ブラックホールは光さえ脱出できないほどの超強力な重力を有している天体です。他の天体がブラックホールの近傍を通過するとき、天体はブラックホールが持つ重力に耐えられずに崩壊します。その現象が「潮汐破壊」と名付けられています。

潮汐破壊は以前にも観測されてきましたが、TESSが潮汐破壊を観測するのは初めて。NASAはTESSが収集したデータにより、潮汐破壊が生み出す一連の現象のデータを詳しく収集することができたと発表しています。また、NASAは一連の現象を解説するアニメーションムービーを公開しています。

TESS Catches its First Star-destroying Black Hole - YouTube


宇宙空間を移動している恒星は……


ブラックホールの近傍にまで近づくと、ブラックホールの重力によって、球形ではなくラグビーボールのような楕円(だえん)形に変形します。


さらにブラックホールに吸い寄せられると、楕円形すら維持できなくなり、細かく分かれて川のような形状になります。この現象のことを、潮汐破壊というわけです。


ガス状になった恒星はブラックホールの周りを旋回して、「円盤」のようなものを形作ります。この円盤は、ガスやちりがブラックホールや中性子星などの高密度天体の周囲に形作る「降着円盤」と呼ばれるもの。


TESSによって観測された今回の潮汐破壊は「ASSASN-19bt」と名付けられました。ASSASN-19btを引き起こしたブラックホールは太陽の約600万倍の質量を持っており、破壊された星は太陽と同じ大きさだった可能性があるとのこと。

TESSはASSASN-19btによって生じた光を検知。「光の増加量が非常に緩やかだったため、超新星とは異なる現象だ」とNASAは記しています。


さらに、ASSASN-19btによる温度がわずか数日のうちに約半分になったと報告しました。この急激な温度の減少率は以前までの潮汐破壊では見られなかったものだったそうです。


NASAは、「潮汐破壊は我々の属する銀河では1万年から10万年に一度しか生じない非常に珍しい現象だ」と述べています。

また、NASAは光を吸い込んでしまうために見ることができないブラックホールをシミュレーションにより可視化したイメージ画像も公開しています。

NASA Visualization Shows a Black Hole’s Warped World | NASA
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/nasa-visualization-shows-a-black-hole-s-warped-world

公開されたイメージ画像が以下。クリックすると元のgif画像を見ることが可能で、ブラックホールの周囲をオレンジ色で表された降着円盤がぐるぐると周回している様子がわかります。

By NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

このイメージ画像は、やや上側から見下ろす角度で反時計回りに回転する降着円盤を写しています。しかし、ブラックホールの後ろに回り込むはずの降着円盤は、以下の赤枠部分のようにブラックホールの上部に位置しています。


これは、ブラックホールによって光の進行方向が曲げられるので、裏側にあるはずの降着円盤がこのように見えるということを表現しているとのこと。同様に、ブラックホールの下側に見えている降着円盤は、ブラックホールの後ろの降着円盤の下面部分。光によって進行方向が曲げられるので、ブラックホールの後ろ側の降着円盤は、表部分と裏部分が同時に目視できるということになります。

そんな降着円盤も、真上から見ると普通の円盤のように見えます。


NASAは、降着円盤の形状が見る角度によって変化することが一目でわかるGIF画像を公開しており、以下のリンクから見ることができます。

BH_AccretionDisk_Sim_360_Continuous.gif
https://svs.gsfc.nasa.gov/vis/a010000/a013300/a013326/BH_AccretionDisk_Sim_360_Continuous.gif

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ブラックホールが星を飲み込むときに何が起こっているか判明してNASAがレンダリング映像を公開 - GIGAZINE

銀河が衝突しブラックホールが急成長する瞬間の様子が捉えられる - GIGAZINE

ブラックホールの誕生から消滅までをムービーで分かりやすく説明する「Black Holes Explained – From Birth to Death」 - GIGAZINE

ブラックホールがわずか2時間で75倍も明るく輝き天文学者も「前代未聞」と驚嘆 - GIGAZINE

「回転するブラックホール」が超空間旅行の役に立つかもしれない - GIGAZINE

ブラックホールに吸い込まれると人間はどうなってしまうのか? - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1k_iy

You can read the machine translated English article here.