海王星は400年前にガリレオによって発見されていたかもしれない
太陽系8番目の惑星である海王星はユルバン・ルヴェリエらの予測をもとに1846年にヨハン・ゴットフリート・ガレにより発見されたとされているのですが、実はその233年前の1613年にガリレオ・ガリレイによって観測されていて、惑星を発見したことにガリレオ自身は気付いていた可能性が高いようです。
「それでも地球はまわっている」と地動説を支持したことや振り子の等時性(一定の周期で揺れる性質)・落体の法則を発見したことで有名なガリレオですが、死後360年以上を経て新たな業績が認められることになるかもしれません。
詳細は以下から。Galileo's Notebooks May Reveal Secrets Of New Planet
太陽に近い方から8番目の惑星、海王星。質量が地球の約17倍の巨大な氷惑星で、表面温度はマイナス218℃です。
メルボルン大学の物理学科長David Jamieson教授は約400年前のガリレオのノートを調査中で、今日では海王星と呼ばれる新惑星をガリレオが観測し、それが惑星であることにガリレオは気付いていたという証拠をこのノートの中に発見したと考えています。この仮説はAustralian Physics誌に発表されました。もし本当なら、古代から知られていた目視できる惑星(水星・金星・火星・木星・土星)以外では、人類により発見された初めての惑星は海王星だったということになります(天王星の発見は1781年)。
ガリレオは1612年から1613年にかけて木星の衛星を観測し、その記録をノートに残しているのですが、その中で数夜にかけて、現在の天体カタログには載っていない星の位置が木星の近くに記録されています。
「数十年前から、ガリレオが観測したこの未知の星が実際には海王星であったということがわかっています。コンピューターによるシミュレーションで、ガリレオの観測の精度が証明されています。そのころの海王星はガリレオが記録したのとほぼ同じ位置に、暗い恒星のように見えたはずです」とJamieson教授。
1613年1月28日のガリレオによる木星と3つの衛星の観測記録。右下に「b」として海王星が記録されています。ガリレオは当初この星を恒星だと考えていたのですが、前夜の位置から移動していることに気付き、書きとめています。
そして、今回Jamieson教授がガリレオが惑星発見を自覚していたことの証拠だと考えているのが、1613年1月6日のノートに記録されている説明のない黒い点です。
海王星があるべき位置に黒い点が記録されています。
Jamieson教授は「この『点』は、ガリレオが以前にも観測したがその時はありふれた恒星のように見えたため気に留めていなかった海王星を、ノートをさかのぼって(1月28日とくらべ)木星に近い位置にを描き加えたものだと判明するのではないかと考えています」と語っています。もし1月6日のノートに記されたこの点が実際には1月28日に書き込まれたものだとすれば、新しい惑星を発見したかもしれないとガリレオ自身が考えていたことの証拠と言えるのではないか、と教授は提唱しています。
以前ガリレオの原稿のインクを分析したことがあるフィレンツェ大学の微量元素専門家たちの技術により、この「点」が描かれた日付まで特定することが可能かもしれず、この分析は今年10月中にも実施されるかもしれないとのことです。
「ガリレオは1613年1月に木星の観測中に視界を横切っていった天体を見て、新しい惑星であるという仮説を立てていたかもしれません」とJamieson教授。「これが本当なら、ガリレオは海王星を公式な発見の234年前に発見していたということになります」
また、ガリレオの手紙やノートにはまだたくさんの興味深い証拠が眠っている可能性があるそうです。「ガリレオは新しい望遠鏡で驚くべき発見をした際には、自分が第一発見者であると後に証明できるように暗号化した文章やアナグラムを同僚に送る習慣がありました。土星の輪や金星の満ち欠けを観測した際にも行っています。もしかするとどこかに、新しい惑星を発見したことを示す暗号を書き記しているかもしれません」と教授は推測しています。
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