取材

3D立体映画の大本命「アバター」の立体映像っぷりがどのような感じなのか、15分の特別試写レポート&体験してみた感想とかいろいろ


先日、2D版の予告編が公開され、2009年の年末で最大の注目作と言っても過言ではないぐらいに期待されまくっている「アバター」、その15分版特別試写会が19時頃から行われたので、実際に体験してきました。正直、昨日公開された予告編を見てそのあまりのCG使いまくりっぷりに「え?大丈夫なのか……?」と思って不安感が先立っていたわけですが、その不安感を吹っ飛ばすだけの潜在的パワーは十分感じられました。公開されたら見に行きたくなるクオリティですが、こればかりは実際に体験しないとどこがどうすごいのかがなかなか伝わらないかも。感覚的には、2Dでも十分おもしろそうな内容ではあるものの、3Dの方が没入感は一段階上のレベルになるはずだ、というような感じです。

記憶が薄れないうちにレポート&感想などをつらつらと列挙しておきますので、今後の参考にしてください。

詳細は以下から。
これが特典引換券です。


交換して座る座席を指定


試写会の場合は「試写」となるらしい


15分の特別試写会イベントに参加する人でなんと行列が発生。


これが立体映像用メガネ


ちゃんとメガネをかけている人でも、その上からかけることができるようになっています。


内側から見たところ。指紋が付いている場合があるので、上映前にちょっとふいておくと良いかもしれません。


で、19時になって試写会開始。まずキャメロン監督が登場し、「ちゃんとメガネはかけた?」みたいなことを聞いてきます。ちゃんと監督も立体感があるのが妙な感じ。今回の15分バージョンは一切ネタバレなしのダイジェスト版であるという説明が軽くされ、速攻で本編開始。


舞台設定は22世紀、惑星パンドラが舞台。そこの基地っぽいところで顔に大きく傷のある隊長なのか何なのかとにかく偉い軍人っぽいコマンダーみたいな男性が、いかにこの惑星パンドラが危険なところであり、地獄の方がましであるかと言うことをそこに集まっているほかの隊員たちに説明します。いわく、基地の一歩外に出ればあらゆる獣たちが君たちを抹殺するために襲いかかってくるだろう、というような感じ。また、原住民のナヴィという生物もいて、彼らは強靱な肉体を持っているだけでなく、骨を炭素繊維で強化しているため、非常に脅威である、という説明も。そして、この軍人さんみたいない人たちの役割は、みんなを無事に守ることだが、それは不可能だ、ということを断言します。このブリーフィングの最中に主人公が車いすで登場する……というところでこのカットは終了。


暗転して次のシーンでは、主人公の男性が何やらベッド状の検査台のようなもの(リンク装置っぽい、複数ある)の上に自力で這い上がって寝転がるところから始まります。ここでエイリアンシリーズでおなじみの女優シガニー・ウィーバーが科学者役として登場。訓練もなしにリンクしようとするなんて無謀だ、みたいなことを言いながら、台に主人公を寝させ、いつもと同じようにリラックスして寝転がっていれば大丈夫、普段通り何も考えない空っぽの状態でね、みたいなことを言って台のハッチを閉めます。また、シガニー・ウィーバーも同じように別のナヴィとリンクを開始するっぽい描写があります。で、そのままリンクが開始され、値は40%を記録、別の男性科学者が「最高の脳だ」みたいなこと言います。そして別の部屋に寝転がっているナヴィと主人公はリンク、というか憑依状態になり、まさにMMORPGなどで言うところの「アバターを操っている」状態になります。視覚、手の感覚、聴覚の反応、親指と各指をくっつけて神経がちゃんと動作することの確認、といった感じのシーンが続きます。主人公は車いすに乗っていたことからもわかるように足が悪いわけですが、ナヴィに憑依することによって足の感覚を取り戻しており、「まだ慣れていないから立つな」と言われているのにも関わらず興奮してしまい、手術台のような場所から降りて、ふらつきながらも立ち上がります。この時点でナヴィはかなり長身の生物であることがよくわかります。科学者は「鎮静剤を打て!」みたいなことを言うのですが、それらの制止を振り切って主人公はナヴィに憑依した状態のまま「最高だ!」と言ってからドアをぶち開け、そのままずんずん進んで外へ行こうとする……というシーンでカット。昨日公開の予告編にも入っていたものです。


暗転して3番目のシーンではジャングルの中になっており、このシーンがかなり「おお、立体映像すごい!」と素直に感じられてなかなかよかったです。トリケラトプスの頭をシャークヘッド化したような惑星パンドラの巨大獣を前にしてナヴィに憑依したままの主人公がライフル銃っぽいものをかまえて威嚇しているそのうしろから、同じようにナヴィに憑依している二人ぐらいの人が「発砲しないで!落ち着いて!」みたいなことを言っている状態。巨大な獣をはちょっと興奮気味に暴れそうな感じな訳ですが、主人公も負けじと威嚇したところ、突然ぴたっと止まってうしろずさっていくので、主人公はしてやったりみたいな表情をするわけですが、実際には主人公の背後からさらに凶悪な肉食獣っぽいすごいヤツがゆっくりと迫ってきており、それを恐れてほかの獣は逃げただけでした、というよくある感じのシーン。このシーンのすごいところはジャングルの草木の立体っぽさと空気感。特にジャングルならではの演出として、小さな羽虫があちこちぶんぶん飛び回っているわけですが、これが実際に視界の端っこで飛んでいるのかと勘違いするほど。ジャングルのような奥行きがありつつ障害物がいっぱい、みたいな場所は立体映像ではかなり雰囲気が再現できると言うことがわかりました。で、肉食獣が主人公に飛びかかってきて、主人公は竹藪(どうみても竹、竹っぽいというよりも竹そのものにしか見えない)を逃げ回り、巨大な肉食獣が竹や植物を破壊しながら走りまくって追いかけてくるという壮絶なシーン。当然ながら破壊された破片や断片がビュンビュンこっちに飛んできますし、巨大な肉食獣のアタックっぷりが立体映像では非常にすばらしい迫力を生んでいます。このクオリティでジュラシックパークをもう一度してほしい気分。追い詰められた主人公が銃を撃ちまくっているようなシーンでおしまい。この竹藪シーン自体は昨日公開の予告編にも一部入っていました。銃の薬莢がちゃんと立体的になっており、宙を舞いながら地面に落ちていくのが印象的です。


次は夜のジャングル、主人公が猛犬みたいな四足歩行でちょうどジャッカルかそのあたり程度の大きさの獣たちにおそわれているところに、女性のナヴィが弓矢を持って現れ、飛びかかりながらどう猛な獣たちを追い払うというシーン。先日公開の予告編では「なんか飛びかかって弓矢を放つ」シーンだけだったのですが、このシーンの迫力もかなりのもの。夜の雰囲気、走り回る獣たち、それらと戦うナヴィ、さらには火のついた棒を水の中に捨てて明かりを無理矢理消すシーンなど、どれもこれも非常に美麗です。このあと、女性のナヴィ(おそらく人間が憑依したものではなく、原住民としてのナヴィっぽい)に片言の言語で主人公はちょっと説教される、わかりやすく言えばツンデレのツン状態を食らうわけですが、このシーンがまたよくできています。というのも、昨日公開された予告編では「なんだかCGくさいなー、のっぺりしすぎじゃね?」と思っていたナヴィの肌などが実はかなり細かく作り込まれており、その質感が立体映像ではかなりはっきりとわかります。また、モーションキャプチャーを駆使しまくったと思われるその動作、表情などはまさに役者の演技そのものなので、違和感はほとんどありません。というか、立体映像であるがゆえに脳内補完が働くのか、「なんだかリアルだな~」と感じてしまいます。平面の映像ではおそらくわからない感覚で、現実世界と平面映像世界との中間、「2D(これまでの映画)」と「3D(現実)」との間の世界、「2.5D(立体映像)」というような感じです。なお、このシーン自体は今後の恋愛展開を思わせるような「あなたのハートの強さを感じた」みたいなことを言われる場面で終わります。


次のシーンは確か、空飛ぶ竜(予告編に出てくるワイバーンみたいな、飛竜っぽいアレ)のようなものをどうやら一匹、主人公専用に捕獲する儀式みたいなシーン。滝の裏側みたいなところの崖っぷちの上を通って、飛竜が山ほどいる巨大な営巣地みたいなところに潜入します。このシーンは滝の裏を通ってみたらすごいモンスターが山ほどいるよ、わーわーみたいな感じが非常に緊張感があり、それと同時に「おいおい、巨大な獣一匹ですら大苦戦なのにこんなのが一斉に襲ってきたらココでこのお話は終わってしまうぞ……」みたいなちょっとした絶望感も感じられます。いわゆる「試練」っぽい感じで主人公は手に何かムチのようなものを持っており、女性のナヴィに「どうやって選ぶんだ?」と質問。女性型ナヴィは「あなたを殺しに来たのがパートナーを結ぶべき相手、チャンスは一度きり」みたいなことを言います。主人公が飛竜の群れに近づくと威嚇されまくりますが、ほとんどの飛竜はそのまま飛び去ります。が、一匹だけ明らかに凶悪そうな面構えの飛竜がまったく逃げず、主人公を威嚇して攻撃してこようとするため、主人公はこの飛竜を選びます。それをみていた他のナヴィたち(なんというか偏見に充ち満ちた原住民っぽい雰囲気の格好)は「こいつ殺されるぞ!」みたいな感じで笑ってはやしたてていますが、主人公はそんなことはかまわず、逆に飛竜に向かって叫んで威嚇、その隙に飛びかかって肉弾戦、頭突きをされたり、上によじ登ったり、すさまじいバトルっぽいシーンが繰り広げられ、もうちょっと崖から奈落の底へ落とされそうになるものの、そこをよじのぼり、逆に飛竜の頭をがっちり両足でロック、手に持っていたムチのようなものを飛竜の耳っぽい部分から侵入させて支配することに成功します。これで終わりかと思いきや、「互いの絆を早く確保するためにも、すぐに飛ぶのよ、さぁ!」みたいなことを言われ、なんと飛竜にそのまますぐにまたがって崖からいっしょにダイブ。真っ逆さまに落ちながらも体勢を整え、ようやく慣れてきて「よし、左旋回!」みたいなことを言う場面で終わります。このシーンはほとんど予告編ムービーにはなかったもので、滝上のほとんど足場のないところを進むシーン、崖っぷちのところから真っ逆さまに落ちそうになるシーン、飛竜に乗って飛ぶシーンのそれぞれがはっきり言って「高所恐怖症の人は目を閉じるのではないか……」というぐらいの立体感があるため、劇場でみる価値のあるシーンに仕上がっていました。逆に「高いところ大好き!ジェットコースターとか大好き!」という人にとっては最高にいいシーンが連続で続きます。なんというか、この「アバター」の真骨頂です。


あとはその他のシーンをずらずらとつなぎ合わせたようなものがばーっと出てきて、タイトルが出て終了。と思いきや、しばらくしてから今度は先日ネット上で公開されたばかりの予告編がそのまま全部上映されました。事前に穴が開くほど予告編は見ていたので、「ああ、あのシーンが立体になるとこうなるのか!」という感じになり、この予告編の印象ががらっと変わりました。特に後半のパワードスーツみたいなのでどかどか出撃するシーンやガトリングガンをばりばり撃ちまくるシーン、空中戦のシーンの迫力は異常です。また、女性型ナヴィが泣くシーンも非常に立体的になることで雰囲気をうまく作っており、なんでもかんでも立体化させまくっていると言うよりは、「立体映像はあくまでも演出の一環である」という姿勢が垣間見える感じがしました。おそらく、2Dで見てもそれなりに鑑賞には耐えうるはずですが、3Dで見た方がはるかに価値のある映画なのだなという確信を持ちました。ただ、こればかりは実際に映像を見て体感しないと実感がわかないはずなので、そういう意味では魅力をうまく伝えられず、興行的にはもしかすると苦戦するのかもしれない……といういや~な予感も。というのも、昨日公開された2Dの予告編だけを見ていると「なにこのファイナルファンタジー?」みたいな印象を抱いてしまうため。ただ、その懸念は立体映像の実物を見ると消し飛ぶレベルで、むしろこんな感じで徹底的に作り込まないとだめだということもよくわかります。というか、1080pのフルHD予告編以外は公開しない方がよいかもしれません。再生できるほどのハイスペックな環境にない人でも、先日紹介した記事中にあるAppleの予告編サイトから最高解像度のムービーをダウンロードして、ちゃんと質感が作り込まれていることを確認すべきではないかと。また、予告編を見るならできる限り巨大なモニターで、なおかつ最高解像度の映像をじっくり見れば、なんとか立体映像の感覚に近いものを感じ取れるのかも。

ぶっちゃけ、この質感と空気感のクオリティで「エイリアン」とか「インデペンデンスデイ」とか「ブラックホークダウン」を立体映像で見ることができたらすごいだろうな~と感じました。個人的には死ぬまでに一度は見ておいて損はないと思いました。

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in 取材,   映画,   コラム, Posted by darkhorse

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