AMDがAIモデルの「重み」を直接半導体に組み込むTaalasを買収へ、AI推論の高速化を狙う

AMDが2026年8月6日、AIの推論処理に特化した半導体を開発するカナダのスタートアップ「Taalas」を買収する最終契約を締結したと発表しました。TaalasはAIモデルの構造や「重み」と呼ばれるパラメーターを半導体に直接組み込む技術を開発しており、AMDはTaalasの技術をAIアクセラレーターの開発に取り込む計画です。
AMD Acquires Taalas to Advance Compute Solutions for Rapidly Growing AI Inference Market :: Advanced Micro Devices, Inc. (AMD)
https://ir.amd.com/news-events/press-releases/detail/1296/amd-acquires-taalas-to-advance-compute-solutions-for-rapidly-growing-ai-inference-market

生成AIではモデルを作る「学習」だけでなく、完成したモデルから回答を生成する「推論」にも大量の計算資源が必要です。特に大規模なAIモデルでは重みをメモリから演算装置へ繰り返し転送する必要があり、処理速度や消費電力を左右する要因となっています。
TaalasはAIモデルを専用半導体に変換する技術を開発しており、完成した半導体を「Hardcore Models」と呼んでいます。メモリから重みを大量に読み出す処理を減らすことで、AI推論を高速化しながら消費電力やハードウェアコストを抑えることが可能です。Taalasによると、AIモデルを受け取ってから約2カ月で専用シリコンに変換できるとのこと。

2026年2月に公開された第1世代の「HC1 Technology Demonstrator」にはMetaのAIモデル「Llama 3.1 8B」が組み込まれています。TaalasによるとHC1はユーザー1人当たり毎秒約1万7000トークンを生成でき、ハードウェアの構築コストは従来手法の20分の1、消費電力は10分の1になるとのこと。

モデルを半導体へ組み込む方式では別のモデルへ簡単に切り替えにくいという制約がありますが、Taalasは追加パラメーターを使ってモデルを調整する「LoRA」に対応しています。第1世代では3ビットと6ビットのパラメーターを組み合わせた量子化によってGPUで実行した場合と比べて品質が低下する場合がありますが、第2世代では標準的な4ビット浮動小数点形式を採用して問題に対処するとのこと。
AMDはTaalasの技術が、AMD Instinct GPUやAMD EPYC CPU、AI向けソフトウェアのAMD ROCmなどで構成されるAMDのAIプラットフォームを補完すると述べています。AMDはTaalasの技術をアクセラレーターの開発ロードマップに取り込み、AMD Instinct GPUと組み合わせたシステムレベルのソリューションを開発する計画です。
AMDの人工知能グループ上級副社長のヴァムシ・ボッパナ氏は、さまざまなAIワークロードに適した計算手段を選択できるフルスタックのAIプラットフォームを構築していると説明しています。今後、買収を完了するには通常の買収完了条件を満たした上で、規制当局の承認を得る必要があるとのことです。
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