OpenAIとMicrosoftが科学研究へ巨額支援、AIがアメリカの国家的な科学インフラになりつつある

OpenAIとMicrosoftがアメリカのエネルギー省が進める国家的な科学研究計画「ジェネシス・ミッション」への支援策を発表しました。Microsoftの6000万ドル(約98億円)の投資パッケージとOpenAIの計700万ドル(約11億円)分の利用支援を合わせると、合計100億円を超える金額の支援となっています。
Advancing the next era of national science | OpenAI
https://openai.com/index/advancing-the-next-era-of-national-science/
Powering America's Genesis Mission: Microsoft's commitment to scientific discovery - The Official Microsoft Blog
https://blogs.microsoft.com/blog/2026/07/22/powering-americas-genesis-mission-microsofts-commitment-to-scientific-discovery/
ジェネシス・ミッションはAIを使って科学的な発見を加速させるアメリカ政府の国家プロジェクトです。エネルギー省の17カ所の国立研究所や大学、企業などが協力し、連邦政府が保有する科学データ、スーパーコンピューター、AI、実験施設を共通の研究基盤として結び付けます。研究者へチャットAIを配るだけではなく、仮説の検証、シミュレーション、実験、結果の分析までを一続きの工程として効率化し、アメリカの研究開発の生産性と影響を10年以内に2倍にすることを目指しています。
科学的発見のためにAI活用を促進するアメリカ政府の「ジェネシス・ミッション」にMicrosoft・Google・NVIDIA・OpenAI・AWS・AMDなど24社が参加 - GIGAZINE

新しい材料を探す研究では膨大な候補をコンピューター上で調べ、有望な候補を実験で検証し、結果をもとに次の候補を選ぶ作業を繰り返します。高性能なAIがあっても研究データや計算機、実験装置が別々に管理されていると研究工程全体を効率化することは困難です。ジェネシス・ミッションは研究に必要な設備や情報を結び付け、AIを研究の一部ではなく研究基盤として利用できるようにする計画です。
OpenAIは国立研究所や大学に所属する研究者約2000人にプログラム作成を支援するAI「Codex」の利用枠として400万ドル(約6億5000万円)分を提供するとのこと。プログラム作成や推論機能を研究者の日常業務で活用できるようにし、研究者が実験や検証に集中しやすくするための支援です。また、大規模な科学研究には300万ドル(約4億9000万円)分のAPI利用枠を提供するほか、参加研究者が250万ドル(約4億1000万円)を支払った場合、最大1000万ドル(約16億円)分のAPIを利用できる制度も用意します。

Microsoftはクラウド基盤「Microsoft Azure」の計算資源の提供と技術支援に総額6000万ドル(約98億円)を投じるとのこと。研究機関へ計算資源を渡すだけでなく、AIシステムの設計、導入、安全管理、継続的な運用まで専門家が支援する計画となっています。研究者がMicrosoft内の複数部門と個別に調整する手間を減らすため、研究案件を取りまとめる窓口「Scientific Partnership Advancing Research & Knowledge(SPARK)」も新設すると発表しています。
さらに研究工程をまとめる基盤として、AIによる予測、コンピューター上のシミュレーション、実際の実験結果を一つの環境で扱うための研究プラットフォーム「Microsoft Discovery」へのアクセスも提供されます。AIが次の実験条件を提案し、得られた結果を分析して新たな実験につなげる使い方も想定されています。
2025年12月にはMicrosoft、OpenAI、Google、NVIDIA、Amazon Web Services、AMDなど24団体がエネルギー省と協定を結び、ジェネシス・ミッションを官民で支える体制が整えられました。こうした枠組みの中でOpenAIは「研究者が問いを定め、手法を選び、AIの出力を検証する役割を引き続き担う必要がある」と説明しています。AIは今後、スーパーコンピューターや実験装置と並ぶ国家規模の研究基盤として組み込まれていくとのことです。
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