全身麻酔中でも脳は周囲の音を聞いていてリアルタイムで言語を処理している可能性

大きな手術の前に全身麻酔を受けた人のほとんどは、気が付いたら手術が終わっており、その間の記憶はまったく残っていません。ところが、そんな全身麻酔中でも人間の脳は周囲の音を聞いており、リアルタイムで言語を処理している可能性があると新たな研究で示されました。
Plasticity and language in the anaesthetized human hippocampus | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-026-10448-0
Researchers discover advanced language processing in the unconscious human brain | BCM
https://www.bcm.edu/news/researchers-discover-advanced-language-processing-in-the-unconscious-human-brain
A Small Part of Your Brain May Still Be Listening Under Anesthesia : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/a-small-part-of-your-brain-may-still-be-listening-under-anesthesia
アメリカのベイラー医科大学で脳神経外科の教授を務めるサミール・シェス氏が主導した研究チームは、てんかんの手術を受ける7人の患者を対象に、全身麻酔で無意識になっている最中の脳の活動を分析しました。
研究チームは、脳のニューロンにおける電気的活動を計測するNeuropixelsプローブという微小電極を用いて、全身麻酔を受けた被験者の海馬の脳活動を分析しました。海馬は学習や記憶に関して重要な役割を担う領域であり、感覚情報が最初に処理される大脳皮質から離れているという点で特徴的です。
まず研究チームは、被験者に繰り返し特定の音を聞かせ、その中に通常とは異なる奇妙な音を時折混ぜました。すると、海馬のニューロンはこれらの音を区別しており、時間経過とともに通常の音と奇妙な音を識別する能力が向上していく様子が観察されました。
以下のグラフは、黒色が通常の音を聞いた時のニューロンの活動を、緑色が奇妙な音を聞いた時のニューロンの活動を示したもの。全身麻酔を受けた状態にもかかわらず、海馬はしっかり2つの音を聴き分けていることがうかがえます。

続いて研究チームは、全身麻酔中の被験者に教育ビデオや物語系ポッドキャストの音声を聴かせて、ニューロンの活動を記録しました。その結果、驚くべきことに被験者の海馬はリアルタイムで言語処理を行っていることが示されました。
被験者のニューロンの活動からは、脳が名詞・動詞・形容詞を分類し、文中の次の単語を予測しようと試みていることが明らかになりました。シェス氏は、「脳は意識的に認識していなくても、物語で次に何が起こるかを予測しているようです。このような予測的な符号化は、私たちが覚醒して注意を払っている状態と関連付けられるものですが、ここでは無意識の状態で起こっているのです」と述べています。
今回の研究結果は、特定の情報処理能力は人間の意識と結びついたものではなく、たとえ本人が覚醒していなくても実行できる可能性を示唆するものです。研究チームは、これは脳が無意識のうちにタスクを実行する仕組みを探る、より広範な研究分野にも関連すると指摘しています。

なお、今回の研究ではいずれの被験者にも麻酔薬としてプロポフォールが投与されていたため、別の麻酔薬を使った時にも同様の結果になるかどうかは不明です。また、睡眠中や麻酔ではない要因による意識不明状態では違う結果になる可能性があります。
将来的には、脳が機能低下している間も音を聴き取ったり言語を処理したりしていることを利用し、脳の一部が機能しなくなった場合に神経回路を再構築する方法などが開発されるかもしれません。
シェス氏は「私たちの研究結果は、脳はこれまで考えられていたよりもはるかに活発で、意識を失っている間も高い能力を発揮していることを示しています。患者が完全に麻酔で意識を失っている時でさえ、脳は周囲の世界を分析し続けているのです」と述べました。
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in サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article Even under general anesthesia, the brain….







