EUは職員がAI生成画像を使うことを禁止している、AI生成コンテンツを投稿しまくるアメリカのトランプ大統領とは対照的

欧州連合(EU)の主要組織である欧州委員会・欧州議会・欧州連合理事会は、職員が公式の文書や発信でAI生成画像やAI生成動画を使用することを禁止していると、ニュースメディアのPOLITICOが報じました。
EU staff banned from using AI-generated content in official communications – POLITICO
https://www.politico.eu/article/brussels-eu-ban-deepfakes-ai-generation-official-messages/
欧州委員会・欧州議会・欧州連合理事会などはPOLITICOに対し、AIやディープフェイクなどをオンラインで利用することへの監視が強まる中、職員や広報チームがAI生成コンテンツを使用することを禁じる方針を定めていると語りました。近年、オンライン上にAI生成の粗悪だったり誤解を招いたりするコンテンツが氾濫する中で、EUは公的なメッセージの信頼性を守る方針を示したといえます。
イギリスに拠点を置くAI動画生成企業・Synthesiaのポリシー責任者であるアレクサンドル・ヴォイカ氏は、「EUはまず第一にリスクを考慮するのは当然です。リスクとはすなわち、そのコンテンツが欺瞞(ぎまん)的または有害だと受け取られる可能性がないか、現実を装っていないか、そして明確な説明責任と情報開示が可能かどうかといった点です」と述べています。
その一方で、地政学的危機が高まる昨今では公的機関がオンライン上で存在感を示すことの重要性も増しており、AI生成コンテンツの全面的な禁止が最も理にかなった選択かどうかには疑問の声も上がっています。
ベルギーの広報代理店・Exposureを経営しており、複数の政党に助言を行ってきたルノー・ヴァン・ザンディッケ氏は、たとえディープフェイクが信頼を損なうリスクがあるからといって、公的機関がまったく生成AIを使わないことにもデメリットがあると主張。また、ケンブリッジ大学でAI生成コンテンツの研究を行っており、経済協力開発機構(OECD)のアドバイザーを務めているウォルター・パスクァレッリ氏は、「責任ある使用は完全な禁止よりも優れています」と指摘しました。

一部の推計によると、AIが生成したコンテンツの量はすでに人間が作った量を超えており、2025年は800万件ものディープフェイクがオンラインで共有されたとのこと。政治的なコミュニケーションも例外ではなく、オランダやアイルランドではディープフェイクが選挙運動に影響を与えているほか、公的な発信にAI生成コンテンツを活用する政治家も増えています。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は就任以来、さまざまなAI生成画像や動画を投稿してきました。自身が立ち上げたSNSのTruth Socialには、「王冠をかぶったトランプ大統領がジェット機を操縦する動画」「剣を抜いたトランプ大統領の前に民主党の指導者がひざまずく動画」「ガザ地区をリゾート化する動画」などが投稿されており、2025年10月の時点で36件のAI生成コンテンツを投稿していたと報告されています。
また、SNS上でトランプ大統領への強い支持を表明し、人々の愛国心をあおっていた「ジェシカ・フォスター」というアメリカ陸軍女性兵士が、100%AI生成の実在しない人物だったことも報じられました。
トランプ大統領を支持する美しい金髪の陸軍女性兵士ジェシカ・フォスターは実在しないニセモノだった、SNS上で愛国ポルノを煽るために100%AI製 - GIGAZINE

EUが取っているアプローチはアメリカのトランプ政権と対照的です。欧州委員会のトーマス・レニエ報道官はPOLITICOに対し、「私たちがジャーナリストの利用や公式情報提供のために使用・公開している画像や映像には、AIが生成したコンテンツは含まれていません」とコメントしています。
欧州委員会は市民の信頼を育むことを目指しており、そのためには発信するコンテンツの信ぴょう性がコミュニケーションにおける最優先事項であるとの見解をレニエ氏は示しています。なお、画像品質の向上といった最適化のためにAIを使用することは認めているとレニエ氏は補足しました。
しかしPOLITICOは「AIが生成したコンテンツを軽視することで、欧州委員会は外交がますますオンラインで行われる時代において、後れを取るリスクも抱えている」と指摘。Synthesiaのヴォイカ氏も、「どれだけ迅速かつ効果的に対応できるかが、これまで以上に重要になってきています」と述べています。
また、AI生成コンテンツを一律で禁止することにより、人々に対するAI生成コンテンツの教育機会を逸したという見方もあります。ケンブリッジ大学のパスクァレッリ氏は、「欧州委員会はAIとの関わりを一切拒否することで、政治コミュニケーションにおける責任と透明性のあるAIの利用がどのようなものか実証する、リーダーシップの機会を逃しているのです」と指摘しました。
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in AI, Posted by log1h_ik
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