児童保護をインターネットアクセス制御に変えてはならない

Devuanの創設者であるヤロミル氏が、「児童保護をインターネットアクセス制御に変えてはならない」と指摘しています。
Do Not Turn Child Protection Into Internet Access Control
https://news.dyne.org/child-protection-is-not-access-control/

ヨーロッパやアメリカ、イギリス、オーストラリアといった複数の国と地域で、児童保護を名目としてソーシャルメディアやメッセージングアプリ、ゲーム、検索エンジン、その他の主流サービスに対してユーザーの年齢確認を義務付ける、いわゆる「年齢確認法」が推進されています。
これらの法律に準拠するため、一部のソーシャルメディアはすでに年齢確認技術の開発に取り組んでおり、Appleは開発者がユーザーの年齢範囲を確認できるAPIを展開したり、子ども向けに表示されるコンテンツを変更する方法をアップデートしたりしています。
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このような年齢確認システムは、子どもを守るために存在するとされています。これは子どもが有害なコンテンツやレコメンデーションシステム、悪質な行為、強迫的なプラットフォーム設計にさらされているためです。
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しかし、技術的及び政治的な観点から見ると、年齢確認システムは単なる子どもの安全対策に留まらないものであると、ヤロミル氏は指摘。年齢確認システムはアクセス制御アーキテクチャであり、ネットワークのデフォルト状態をオープンアクセスから許可制アクセスへと変更してしまうものです。
年齢確認システムがOSにまで及ぶようになると、変化はより明確になるとヤロミル氏。アメリカで提案されている年齢確認システムの中には、ウェブサイト上で単発的にチェックを行うのではなく、OSによって年齢確認が行われるようなより規模の大きなものも提案されています。もしもこのようなものが義務付けられれば、年齢確認は「限定的な安全対策」ではなく「デバイス全体の包括的なIDレイヤー」に変わってしまうとヤロミル氏は主張しています。
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このような規制について、ヤロミル氏は「コンテンツモデレーションと、(児童)保護を混同している」と指摘。コンテンツモデレーションは分類とフィルタリングに関するもので、特定のコンテンツをブロック、ラベル付け、または異なる方法で処理すべきか否かを判断するというものです。
一方、保護は全く異なるものです。保護は親、教師、学校、その他の信頼できる大人が子どもにとって何が適切か、例外が妥当なものは何か、監督が時間の経過と共にどのように変化すべきかなどを判断する、状況に応じた責任です。「コンテンツモデレーションは部分的に技術的なものですが、保護は関係性、地域性、特定の状況に根差したものです」とヤロミル氏は主張しています。
さらに、「児童保護に関する提案の背景にある不安はよく理解できます。私も子どもの親なので。子どもたちは確かにオンライン上で深刻なリスクに直面していると思います。しかし、それを認識したからといって、提示された解決策を何でも受け入れる義務はありません。ましてや家族や学校、実際に子どもたちをデジタルライフへ導く責任を負っている人から責任を転嫁し、全ての人々のプライバシーを侵害するような解決策など、到底受け入れられるものではありません」と述べ、児童保護を理由に過剰な要求が成されている現状を憂いました。
また、年齢確認システムの回避策は明白であり、VPNや借り物のアカウント、購入した認証情報、偽の認証情報、年齢推定システムに対するトリックなど、挙げ出せばきりがないとヤロミル氏。このように簡単に回避できるのに、導入コストが高い点も問題であると指摘。
この他、年齢確認法は企業のロビー活動によって推進されている点も問題であるとヤロミル氏。実際、Metaが年齢確認法を推進するため、多額の資金を投じていたことが明らかになっています。
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さらに、年齢確認システムが導入されるようになれば、本人確認の増加、メタデータの増加、ログの増加、中間業者の増加、適切なデバイス・書類・デジタルスキルを持たない人にとってさらなる摩擦が生じるようになるとヤロミル氏は指摘しています。これでは児童の安全対策ではなく、ネットワークに対する新しい制御レイヤーを追加するようなものであると指摘しました。
そして一旦この制御レイヤーが形成されてしまえば、それが年齢だけに限定されることはないだろうとヤロミル氏。場所、市民権、法的地位、プラットフォームポリシーなど、次の要求が生まれることは明らかで、これが限定的なチェックを汎用的なゲートへと変貌させてしまう危険性があると指摘しました。
ヤロミル氏は児童がインターネット上で被害にあうことを減らすには、あらゆるインターネットユーザーを特定しようとする方法を止め、地域における統制を強化すべきであると主張しています。
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in メモ, Posted by logu_ii
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