ハードウェア

家族の予定・天気・家の状態をひと目で確認できる自作電子ペーパーダッシュボード「Timeframe」を改良してきた10年間の記録


家族の予定や天気予報、家の状態をひと目で確認できる画面があれば便利ですが、スマートフォンやタブレットのような光る画面をあちこちに置きたくないという人は少なくありません。ジョエル・ホークスリー氏はそうした不満を解消するため、家族向けの電子ペーパーダッシュボード「Timeframe」を自作。カレンダー・天気・スマートホーム情報をまとめて見られる仕組みを約10年かけて育ててきた記録を公開しました。

How I built Timeframe, our family e-paper dashboard - Joel Hawksley
https://hawksley.org/2026/02/17/timeframe.html

ホークスリー氏がTimeframeを作り始めたきっかけは、結婚してから家の中でテクノロジーとどう付き合うかを見直したことでした。ホークスリー夫妻は寝室から発光する画面をなくし夜間は別の場所で機器を充電するようにしていましたが、その一方でカレンダーや天気の情報は日常的に確認したかったとのこと。

最初にホークスリー氏が試したのは、既製品の薬品棚と、フレームを取り外した液晶ディスプレイを組み合わせて作った「Magic Mirror」でした。


Magic Mirrorにはカレンダーや天気を表示することができたものの、ホークスリー氏の自宅には自然光がよく入るため、昼間は文字が読みにくかったそうです。夜になると普通のバックライト付きディスプレイと同じように光ってしまい、生活空間の中で存在感が強すぎたとのこと。

そこでホークスリー氏が次に目を付けたのが電子ペーパーでした。ホークスリー氏は制限を解除したKindle端末を使って約1年間にわたり試作を続け、カレンダーと天気を2画面に分けて表示する構成にたどり着きました。Kindleは数秒ごとに画面を書き換える用途には向かず、内容を更新する際に画面が点滅するため、更新は30分ごとにしていたとのこと。


木製ケースは地元図書館のメイカースペースでレーザーカットして自作したそうです。


ホークスリー氏はRuby on Railsを使用してアプリを組み、Google Calendarと、Appleに買収され現在は終了している天気予報サービス「Dark Sky」から情報を取得させていました。Kindleが定期的に起動し、アプリ側でHTMLをPNG画像に変換する「IMGKit」で生成した画像を読み込むという仕組みです。この試作をした段階で、電子ペーパーこそが照明条件に左右されにくく生活空間の中で目立ちすぎない解決策だと確信したそうです。

その後、ホークスリー氏はより安定した構成を求めて有機ELディスプレイも試したものの、電子ペーパーほどの自然さは得られなかったと述べています。


ホークスリー氏が採用することにしたのはVisionect製の電子ペーパーディスプレイです。6インチ・10インチ・13インチ・32インチといったサイズ展開があり、1回の充電で2か月~3か月動作し、10分ごとに更新できるという点が魅力だったとのこと。ただし、32インチ機はコントラストが低く解像度も文字表示には不十分だったため、ホークスリー氏は6インチ・10インチ・13インチを家の各所に配置することにしました。


玄関脇には6インチ、冷蔵庫の側面には13インチ、寝室には10インチを設置したそうです。冷蔵庫の側面に設置した電子ペーパーディスプレイは以下のような感じ。


仕組みとしては、ローカルでバックエンドを動かし、5分ごとに画像を生成してAPI経由で表示を更新するというもの。この構成は非常に安定しており、何か月も故障せずに使える期間が続いたそうです。

しかし、2019年時点で13インチ機の価格は1000ドル(当時のレートで約11万円)に達しており、さらにVisionectがオンプレミス運用にも月額7ドル(当時のレートで約765円)のデバイス利用料を課すようになったため、一般家庭向けに売り出すにはコスト面の壁が大きかったとのことです。

状況が大きく変わったのは2021年後半です。この年に発生したマーシャル火災でホークスリー氏の自宅は失われ、保険による再建期間の2年間で家を一から設計し直すことになりました。


ちょうどその頃、Booxが25.3インチ電子ペーパーディスプレイ「Mira Pro」を発売しました。Mira Proは大型かつ高解像度で、しかもリアルタイム更新に対応していたため、Timeframeの方向性を大きく変える製品になったそうです。


Mira ProはVisionect機と異なりHDMI接続の単なる表示装置なので別途電源や駆動用のハードウェアが必要ですが、その分画面更新の自由度が高く、時計や再生中の音楽、次の1時間の降水予報などをリアルタイムで表示できるようになったとホークスリー氏は説明しています。


この試作結果を受けて、ホークスリー氏は新居のメインフロアにTimeframeを設置するためのスペースを設け、表示を照らすアートライトも組み込みました。


さらに寝室とガレージ脇にも。13インチの電子ペーパーディスプレイ用の電源をあらかじめ引き回したとのこと。


暗い場所で見るとこんな感じです。


また、リアルタイム更新に対応するため、バックエンドもほぼ全面的に作り直したとのこと。従来のVisionect向けの構成では数秒単位の応答速度でも問題ありませんでしたが、2秒ごとのロングポーリングを行うようになるとレスポンスの遅さや構成の複雑さが目立つようになったそうです。そこで画像の生成を減らし、さらにGoogle Calendarや天気、音楽などのデータソースをHome Assistantに集約する方向へ移行。


Home Assistantに集約したことでTimeframeを支えるプログラムの半分以上を削減でき、データベースや、キャッシュ・状態管理に使っていたRedisも不要になったとのことです。さらに、「sensor.timeframe」という共通の名前で始まる項目をHome Assistant側に作ることで、洗濯終了やドアの開閉といった通知を画面に自動表示できるようになったとホークスリー氏は述べています。

ホークスリー氏は、現在のTimeframeで特徴的なのは家の状態表示の考え方だとしています。画面左上にはドアの開閉や施錠状態、家事の進行状況などその瞬間に必要な情報だけが通知されるようにしており、例えば洗濯が終わると以下のように表示されます。


逆に何も表示されていなければ、家には何も注意すべきことが起きていないというわけです。ホークスリー氏はこの「必要なときだけ状態を見せる」というやり方は、スマートホームの全情報を並べた一般的なダッシュボードとは逆の発想だと説明しています。

今後の課題として、ホークスリー氏は長期運用に耐える組み込み機器としての堅牢化や、Home Assistantへの統合を完了させること、そしてハードウェアコストの削減を挙げています。特に25インチ級のBooxディスプレイは優秀である一方で、ディスプレイ単体で約2000ドル(約31万5500円)と高価なため、一般家庭向け製品としてそのまま普及させるのは難しいとホークスリー氏は述べています。

この投稿はソーシャルニュースサイトのHacker Newsでも話題になっており、Hacker Newsユーザーのrolfus氏は、AliExpressで入手した安価な10インチ電子ペーパーディスプレイとESP32、温湿度センサーやRTCモジュールなどを組み合わせ、3Dプリントしたケースに収めた壁掛け表示端末を自作したとしてその画像を投稿しています。

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in ハードウェア,   ソフトウェア,   デザイン, Posted by log1b_ok

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