不当な著作権侵害通知を連打して「幻のPCゲーム」を削除しようとしていた人物からビデオゲーム歴史財団が作品を保護

ゲームの歴史を保護することを目的とした非営利団体のVideo Game History Foundation(VGHF)のチームが、不当な著作権侵害の申し立てを行い続けていた人物から、「幻のPCソフト」と言われる「クッキーズ・バッスル 〜謎のボンボワールド〜」を保護したことを報告しました。VGHFは「これはゲームコミュニティにとって大きな勝利です」と述べています。
We've freed Cookie's Bustle from copyright hell. Here's how. | Video Game History Foundation
https://gamehistory.org/cookies-bustle/

1999年に日本のインディーゲームスタジオがWindowsとMac向けにリリースした「クッキーズ・バッスル 〜謎のボンボワールド〜」は、自分をクマだと思い込んでる少女「クッキー」がエイリアンの生息する島・ボンボワールドを探索してさまざまなミニゲーム等を攻略しつつ島の謎を解き明かしていくアドベンチャーゲームです。マウスのクリックのみで動かして会話やミニゲームなどをこなしていくというゲーム性としてはよくあるものでしたが、かわいらしい雰囲気とは裏腹にダークな設定が見え隠れしたり突然はちゃめちゃな展開が起きたりと独特の魅力があり、国内外のレトロPCゲームファンの中でカルト的な人気があります。
そんな「クッキーズ・バッスル 〜謎のボンボワールド〜」の開発元は2002年に解散しており、ゲームは発売以来20年以上絶版となっていましたが、VGHFは研究目的でゲームのパッケージと資料をアーカイブに保存しました。以下はVGHFが保存したゲームのアーカイブをプレイしている動画で、ボンボワールドに到着した直後にクッキーが乗ろうとしたバスが爆破されるという衝撃的な導入を見ることができます。
PC Longplay - Cookie's Bustle: Mysterious Bombo World - YouTube

そんなVGHFのアーカイブに対し、Gracewareという企業のBrandon Whiteという人物から2022年末から2023年初頭にかけて繰り返しのDMCA削除通知が送られていました。Whiteはゲームを作ったメンバーを名乗っており、VGHFのほかにもさまざまなゲームアーカイブ系の団体やサイト、プレイ動画やファンアート、インターネットアーカイブなどに対し繰り返し削除通知を送っていたことが明らかになっています。過去にこの件を報じたTime Extensionは、「日本でもほとんど無名の古いゲームの痕跡をインターネットから完全に削除しようとする人がいるのはなぜでしょうか。最新システムで再リリースすることを視野に入れているのでしょうか。それとも、誰かが『クッキーズ・バッスル』という名前をどこかで使いたいのでしょうか。それとも、『クッキーズ・バッスル』は非常に難しいことで知られているため、難解なゲームが嫌いな人が単純にゲームを消滅させたいと考えているのでしょうか?」と疑問を語りました。

Whiteによる削除通知で、多くの「クッキーズ・バッスル 〜謎のボンボワールド〜」に関するサイトや動画、少し名前を言及しているだけのページなど、多くのコンテンツが削除されました。VGHFのアーカイブも3件の削除通知が送られ、その中の1つは「VGHFが『クッキーズ・バッスル 〜謎のボンボワールド〜』のコピーを所有している」と記述しているだけのページで、ゲームのスクリーンショットすら掲載されていないにもかかわらず削除対象に含まれていました。VGHFは「VGHFのアーカイブも含めて、削除通知が送られたケースのほとんどは明らかにフェアユースであり、削除の対象となるべきではありませんでした」と述べています。
VGHFが法務チームと調査を実施した結果、Whiteがゲームの権利を有しているという証拠は見つからなかったとのこと。また、Gracewareという会社は何の事業をしているかまったく痕跡がなく、ダミー会社と考えられます。そのほか、2022年にGracewareはアメリカにおいて「Cookie's Bustle」という名称を商標申請していますが、商標が実際に使用されていることは確認できず、商標権としての効力は有効ではありませんでした。VGHFはGracewareに対し、Whiteが著作権を所有していることを明確にするよう求めましたが、WhiteおよびGracewareがその要請に応じることはなかったとのこと。
そこでVGHFは、削除通知を代理で送信していたイギリスのビデオゲーム業界団体であるイギリスインタラクティブエンターテイメント協会(Ukie)に問題を報告し、「クッキーズ・バッスル 〜謎のボンボワールド〜」に関する削除通知の送信を停止させました。VGHF以外に削除通知を受けている人に対しては、Gracewareの代表を名乗る人物から連絡を受けた場合、ライセンスの提示を求めて元の著作権所有者との関係を明らかにするよう依頼するべきとアドバイスしています。

VGHFは「これはゲームコミュニティにとって大きな勝利であり、長年続いてきた権利侵害キャンペーンに終止符を打つことを期待しています。今回の詳細を記録することで、著作権法のさらなる乱用を防ぎ、クリエイターが自らの権利を主張する力となることを願っています」と語りました。
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