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電卓アプリにすら年齢確認を求める法案が登場、アップデート時にも年確必須で未成年は保護者の許可が必要に


2026年1月27日、アメリカのアリゾナ州議会で「恐らくアメリカで最も積極的なアプリストア年齢確認法案」と評される法案「HB2920」が提出されました。HB2920はアプリのダウンロードだけでなく、プリインストールされたソフトウェア、ブラウザ、テキストメッセージアプリ、検索バー、電卓、天気予報といったアプリおよび機能を利用する際にもユーザーの年齢確認を義務付けるというものです。

Arizona Bill Requires Age Verification for All Apps
https://reclaimthenet.org/arizona-bill-would-require-id-checks-to-use-a-weather-app


HB2920はアリゾナ州内のすべてのモバイルデバイスユーザーに適用される監視アーキテクチャを構築するための法案で、記事作成時点では下院科学技術委員会で審議中です。HB2920ではすべてのモバイルデバイスユーザーの年齢層を確認し、そのデータを開発者と共有することが義務付けられます。

HB2920ではユーザーを「13歳未満の子ども」「13~16歳のティーンエイジャー」「16~18歳の青年」「18歳以降の成人」の4つに分け、アリゾナ州でアプリストアのアカウントを作成する場合はいずれかに分類することになります。また、アリゾナ州司法長官は「許容される認証プロセスを確立するための規則を策定する任務」を負うことになるそうです。

18歳未満のユーザーのアカウントは、保護者のアカウントとの関連付けが義務化され、アプリストアで未成年者がアプリのダウンロード・購入・アプリ内課金を行う際は「検証可能な保護者の同意」が必要になります。同意要件はプリインストールアプリにも適用され、ウェブブラウザやメッセージアプリであっても、初回起動時に保護者のアカウントでの同意が求められるようになります。


HB2920は子どものアカウントと親のアカウントの関係が実際どのように確認されるのかについては明確にしていません。アプリストアには商業的に合理的な方法(明確な説明なし)を通じて親子関係を判定する広範な権限が与えられていますが、その判定方法については規制が設けられていません。

また、HB2920ではアプリを初回インストールした際だけでなく、開発者がアプリに「重大な変更」を加えた場合にも、未成年者がアップデート版のアプリにアクセスするのに親アカウントが改めて許可を与える必要があります。

ここでいうところの「重大な変更」には、「プライバシーポリシーの変更」「データ収集カテゴリの変更」「年齢評価の変更」「アプリ内課金要素の追加」「広告の追加」などが含まれるそうです。そのため、独立系メディアのReclaim The Netは「この法案は定期的なソフトウェアアップデートがアクセスブロックの機会となるようなシステムを構築するものです」と評しています。


他にも、HB2920では開発者は重要な変更があった場合、アプリストアに通知することが義務付けられます。また、アプリストアは変更されたバージョンへのアクセスを提供する前に、保護者のアカウントに通知し、再度の同意を得ることが義務付けられます。これに違反した場合、開発者とアプリストアは違反1件につき最大7万5000ドル(約1200万円)の罰金が科されます。一方、保護者と未成年者は違反1件につき1000ドル(約15万5000円)と懲罰的損害賠償を求めて訴訟を起こせる民事訴訟権が認められるそうです。

このシステムを機能させるには、アプリストア運営者は全てのユーザーの年齢層、親子関係、同意状況に関する詳細な記録を収集・管理する必要があります。このデータはユーザーがアプリをダウンロード・購入・起動するたびに開発者と共有されることとなります。


加えて、HB2920はアプリストアに対して「業界標準の暗号化」を義務付け、データの使用をコンプライアンス目的に限定するという条項が含まれていますが、この安全策は広範なデータ収集の要件と並行して実施されます。年齢層データ、親子関係、検証記録、同意履歴などの情報はすべてシステムを機能させるために維持され、関係者間で伝達されなければいけません。

テキサス州では2025年に同様の年齢確認法が検討されており、2026年1月から施行される予定でしたが、連邦判事により法律施行の仮差し止め命令が出されました。仮差し止め命令を出したロバート・ピットマン連邦判事は、この年齢確認法について「違憲である可能性が高い」と語っています。

アプリストアに年齢確認を義務付けるテキサス州法の施行を連邦判事が仮差し止め - GIGAZINE


この種の年齢確認法の目的は、児童の保護です。しかし、その効果は多くの機密性の高いデータを児童から収集するシステムを構築することにつながるとReclaim The Netは指摘。

また、HB2920が施行されれば、開発者は親の承認を得るための確認要件の発動を回避するために、アプリのアップデートを一切行なわなくなる可能性もあるとReclaim The Netは指摘しています。その理由について、Reclaim The Netは「小規模な開発者は、コンプライアンス基盤を構築するよりも、市場から完全に撤退することを選ぶ可能性もあります」と記しました。

身分証明書を提示することなく情報にアクセスできることを重視する人にとって、この法案は根本的な問題を提起します。ニュースを読んだり、天気を確認したり、メッセージを送信したり、電卓を使ったり、これらすべての行為でまずは年齢確認が必要となり、18歳未満の場合は保護者の許可を得る必要すら出てくるためです。

なお、テキサス州の年齢確認法には仮差し止め命令が出ましたが、同様の法律はユタ州、ルイジアナ州、カリフォルニア州で可決されていて、ユタ州とルイジアナ州では2026年後半に発効予定、カリフォルニア州でも2027年に発効予定となっています。

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in ソフトウェア,   スマホ, Posted by logu_ii

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