肥満を解消することができるかもしれない薬「オゼンピック」の効果とは?

2型糖尿病治療薬「オゼンピック」は、注射することで肥満の解消につながると言われています。オゼンピックがどのように機能するのか、どれくらい効果があるのかについて、YouTubeチャンネルのKurzgesagtがアニメーションで解説しています。
Why We Should Give Ozempic to Everybody - YouTube

アメリカでは成人の40%以上が肥満に分類され、世界全体では年間400万人が肥満の影響で死亡していると言われています。この傾向が続けば、2050年までに地球上の成人の3人に1人が肥満、半数が太りすぎになると予測されています。

肥満の原因やダイエットが続かない理由にはホルモンが関係しており、肥満になると脂肪組織のホルモンバランスが崩れて空腹感が増したり過食が促進されたりします。食後に分泌されてインスリン分泌を促し、食べ物を体内にとどめておくために消化を遅らせ、脳に満腹感をもたらして食欲を抑えるホルモンがグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)です。GLP-1が満腹信号を送ることで食欲を抑えることができますが、肥満や食べ過ぎの人はGLP-1がうまく機能していない可能性があります。

食後に血中へと分泌されたGLP-1は、わずか2分ほどで分解されています。そこで、GLP-1の働きをより強く、より長く機能させるために開発されたのが「GLP-1受容体作動薬」です。GLP-1受容体作動薬には、肥満治療薬「ウゴービ」や2型糖尿病治療薬「オゼンピック」として知られるセマグルチド、2型糖尿病と肥満症の治療に使われるチルゼパチドなどがあります。2005年に糖尿病治療薬として最初に開発されたGLP-1受容体作動薬は、2014年に肥満治療薬として承認されました。その後、極端な副作用なくさらに強力で長持ちするGLP-1受容体作動薬として開発されたのがセマグルチドとチルゼパチドです。

GLP-1受容体作動薬を投薬すると、満腹感や満足感が普段より早く得られたり、食欲が1日中抑えられたりと、常に何かを食べてしまう衝動に悩む人は大きな精神的安らぎを得られます。そのため、食事を我慢するという強い意志は必要なくダイエットをすることができると考えられています。
GLP-1受容体作動薬は3カ月で約10%、半年で15%、1年で20%以上体重を落とすことが可能と言われており、心臓発作や脳卒中、糖尿病の発症リスクを大幅に減少できたり、腎機能や睡眠時無呼吸を改善できたりといった健康効果にも優れています。実際に、調査によればアメリカでは成人の8人に1人がGLP-1受容体作動薬を使用した経験があるとされており、史上初めてアメリカの肥満率が低下したことにGLP-1受容体作動薬が寄与したと主張する研究者もいます。

カリフォルニア大学アーバイン校のネイサン・D・ウォン氏らが2023年に公開した論文では、セマグルチドを用いた肥満治療はどれだけ健康効果があるかについて、人口レベルでシミュレーションした結果を示しています。結果として、アメリカの成人の約38%である9300万人が薬の適応対象となる可能性があると推定され、試験データに基づく体重減少効果を対象の集団に当てはめたモデル推計では、「2年で肥満の約半分が解消」「550万人の早期死亡を防止」「心疾患1300万件予防」「糖尿病2600万件予防」が可能になると推定されています。

GLP-1受容体作動薬の副作用は吐き気や下痢、便秘といった軽度のものが主で、重篤な副作用は5%未満とされています。ただし、急激な減量は筋肉の急な減少にもつながるため、十分なタンパク質摂取と筋力トレーニングが不可欠になります。また、服用をやめると多くの人が体重を戻してしまうとも考えられており、長期または生涯の投与が必要になる可能性があります。

そのほか、GLP-1受容体作動薬を使用したことで、肉類や揚げ物、塩辛い食べ物が嫌いになってしまったという経験が語られることがあります。GLP-1受容体作動薬は食物に対する快楽反応を抑制する報酬経路に関与する脳の領域にあるGLP-1受容体に結合するため、それが原因で食べ物の好みも変化すると研究者らは考えています。別の研究では、GLP-1受容体作動薬によって5つの基本味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を感じる能力が全て低下することや、吐き気を始めとする薬の副作用は味覚や嗅覚が優れている人ほど強いことが示されており、GLP-1受容体作動薬が味覚を鈍くするのか、鋭くするのかについては考えが分かれてろい判明していない点も残されています。
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GLP-1受容体作動薬がより一般的になるまで、供給不足と価格の高騰が課題になりますが、研究が進めば改善される可能性があります。Kurzgesagtは、オゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬は大きな欠点は少ない有用なものと主張しつつも、必ず医師と相談すべきであり、あくまで薬は健康をサポートするものであり健康的な習慣は必要だと述べています。
Kurzgesagtの動画には「動画はオゼンピックの広告のようだ」などGLP-1受容体作動薬に対して懐疑的な意見も数多く集まっており、「『オゼンピックについて我々は間違っていた』というビデオが待ちきれません」というようなコメントも寄せられていました。
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