サイエンス

機械に痛みを感じさせられる人工痛覚センサーが誕生


動物の体が感じる痛みを模倣するセンサーを、中国にある東北師範大学の研究者らが開発しました。単なる刺激の有無だけでなく、痛みの強さを表現できることが特徴です。

Bioinspired Artificial Nociceptor Based on Quantized Conductance Memristor With Pain Rating, Self‐Healing, and Neuromodulation Capabilities - Shan - Advanced Functional Materials - Wiley Online Library
https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.202528900


Scientists design artificial pain receptor that senses pain intensity and self-heals
https://phys.org/news/2026-01-scientists-artificial-pain-receptor-intensity.html

Chinese scientists have developed an artificial nerve that could teach robots to “feel” pain.
https://thechinaacademy.org/warning-robots-may-be-starting-to-hold-grudges/

動物には痛みを感じる受容器があり、潜在的に有害な刺激を検知して脳や脊髄に警告信号を送る役割を担っています。これにより動物は損傷や組織破壊から身を守ることができます。科学者たちは数十年にわたり、このシステムを電子デバイスで再現しようと試みてきました。


新たに、東北師範大学の研究チームがゼリー状の痛覚センサーを開発しました。この装置の中核をなすのは「メムリスタ」と呼ばれる微小な電子部品です。

これまで、科学者たちは従来の半導体技術を用いて人工痛覚センサーの構築を試みてきましたが、回路が極めて複雑でかさばるため、人間が感じるような痛みの微妙な段階を再現することは困難でした。ところが、電流の流れを制御するだけでなく通過した電荷量を「記憶」することもできるメムリスタが登場して状況は一変。研究チームは、電流を滑らかな連続した流れではなく離散的な階段状のレベルで流れるようにし、単純な刺激の有無だけでなく痛みの強さを調整できるように設計しました。

この精密な検知を実現するため、研究者らは濃度が異なる2種類のゼラチンフィルムを用いました。圧力センサーには10重量%のゼラチンフィルムを、メムリスタには1重量%のゼラチンフィルムを採用。これら2つの部品を直列接続することで人工神経を構築しました。


実験では、9~45kPaの範囲の圧力を加えた際、システムは人間の痛みの尺度(痛みなし、軽い痛み、中程度の痛み、激しい痛み)に応じた4段階を区別できたそうです。

このセンサーを麻酔をかけたマウスの神経に接続したところ、センサーに加えた刺激でマウスの筋肉収縮を誘発することに成功したとのこと。これは、マウスが痛みを感じていることを示唆しています。

もう1つ特徴的なのが、センサーに自己修復能力が備わっているという点です。研究チームがゼラチンに最大50.7マイクロメートル幅の傷を刻んだ後、60℃で20分間加熱処理したところ、傷が完全に消失し、材料の電気伝導性が元の状態に回復しました。従来の痛覚センサーの課題だった損傷への回復能力を示したことで、より実用的な用途に用いることができる可能性が示されました。

このようなセンサーを機械に用いることで、義肢などの人間と機械を間接的につなぐ材料の限界を押し広げられると期待されています。また、痛覚の模倣は単に機械に痛みを感じさせるだけでなく、知能を持った機会に現実的な感覚能力と強力な自己保護メカニズムを装備させるという意義もあると指摘されています。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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