Google DeepMindの研究者らが遺伝子組み換えなど11種類のゲノムプロセスを予測するAIモデル「AlphaGenome」をオープンソースで公開

Google DeepMindの研究チームは、100万文字に及ぶ長大なDNA配列を一度に解析し、遺伝子発現やスプライシングといった11種類の主要なゲノムプロセスを高い精度で予測できる新しいAIモデル「AlphaGenome」を開発しています。この研究成果が科学誌Natureに2026年1月28日付で掲載され、研究コミュニティに向けてソースコードやモデルの重みが公開されました。AlphaGenomeは、従来モデルであるBorzoiが解析可能だった50万塩基の2倍にあたる100万塩基(1Mb)のコンテキストを処理できる能力を備えています。
Our breakthrough AI model AlphaGenome is helping scientists understand our DNA, predict the molecular impact of genetic changes, and drive new biological discoveries. ????
— Google DeepMind (@GoogleDeepMind) January 28, 2026
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Advancing regulatory variant effect prediction with AlphaGenome | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-025-10014-0
AlphaGenomeの最大の特徴は、膨大なDNA配列を扱いながらも、単一塩基単位という非常に高い解像度で予測を行える点にあります。
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予測の対象となる11種類のプロセスにはRNAシーケンス、CAGE(キャップ分析遺伝子発現)、およびPRO-capといった遺伝子発現のほか、詳細なスプライシングパターン、クロマチンアクセシビリティ、ヒストン修飾、転写因子結合、そしてゲノムの空間的な相互作用を表現するクロマチンコンタクトマップなどが含まれます。

AlphaGenomeのアーキテクチャは、画像解析の分野で高い成果を上げているU-Net構造をゲノム配列の解析に応用した深層学習モデルです。このモデルは100万塩基という広大なDNA配列を一度に処理し、生命の設計図に含まれる複雑な制御情報を読み解くために、情報の凝縮と復元を段階的に行う階層的な設計を採用しています。

エンコーダー(Encoder)では1塩基ごとの非常に細かいDNA情報を、畳み込みを用いて段階的に「要約」していきます。最終的に情報を128塩基単位の解像度まで落とすことで、データの全体的な特徴を効率よく抽出します。
トランスフォーマー部分(Transformer tower)では、要約された情報をもとに、遠く離れたゲノム領域間の関係性をモデル化します。例えば、遺伝子の働きを調節する領域が数万塩基以上離れた場所にあっても、その相互作用を正確に捉えることが可能。
そして、デコーダー(Decoder)で要約された情報を、再び1塩基単位の情報に復元します。要約された情報をもとに、遠く離れたゲノム領域間の関係性をモデル化します 。例えば、遺伝子の働きを調節する領域が数万塩基以上離れた場所にあっても、その相互作用を正確に捉えることができます。

AlphaGenomeはヒトとマウスの両方のゲノムデータを用いて学習されており、特定の細胞タイプにおける遺伝子活動の変化を、Borzoiよりも14.7%正確に識別することに成功しました。また、eQTL(発現量的形質軌跡)の符号予測タスクにおいても、先行モデルであるBorzoiの平均auROCが0.75であったのに対し、AlphaGenomeは0.80へと向上させるなど、Borzoiの性能を多くの評価指標で上回っています。

スプライシングの予測メカニズムにおいても違いが見られ、BorzoiはRNA-seqのカバレッジデータからスプライス部位を暗黙的に推定する手法を採っていましたが、AlphaGenomeはスプライス部位、その利用率、およびスプライスジャンクションを直接かつ明示的に予測できる点で進化しているとGoogle DeepMindはアピールしています。
実用面では、AlphaGenomeは疾患の原因となる遺伝的要因の特定や、新しい治療法の開発を加速させることが期待されています。特に、ゲノムの98%を占めながら理解が困難であった非コード領域の変異が、どのように遺伝子のオン・オフやボリューム調節に干渉するかを解明する強力なツールとなります。例えば、特定の組織でのみ遺伝子を作動させるような新しいDNA配列の設計や、がんを誘発する変異のピンポイントな特定、希少な遺伝性疾患の診断研究への応用が想定されています。
Google DeepMindは、AlphaGenomeを非営利目的の研究用途として、GitHubやKaggle、Hugging Faceを通じて利用可能にしています。モデルの実行にはNVIDIAのH100 GPU以上の環境が推奨されていますが、専用のAPIを介してモデルと対話できる仕組みも提供されています。
google-deepmind/alphagenome_research: Research code accompanying AlphaGenome
https://github.com/google-deepmind/alphagenome_research
AlphaGenome - a google Collection
https://huggingface.co/collections/google/alphagenome
記事作成時点では個人のゲノム予測には課題が残るものの、ゲノムの調節コードを解読して生命の設計図を読み解くための基礎的なステップとして、AlphaGenomeは広範な生物学研究への貢献が期待されています。
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in AI, サイエンス, Posted by log1i_yk
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