サイエンス

古代のハチが「死んだ哺乳類の骨のくぼみ」に巣を作っていたことが判明


約2万年前にカリブ海のイスパニョーラ島に生息していたハチが、「死んだ哺乳類の骨のくぼみ」に巣を作っていたことが判明したと、学術誌のRoyal Society Open Scienceに掲載予定の論文で報告されました。これは、ハチが動物の骨の空洞を産卵場所として利用したことを示す、初めての証拠とのことです。

How owl leftovers became the perfect home for ancient baby bees
https://phys.org/news/2025-12-owl-leftovers-home-ancient-baby.html

Ancient burrowing bees made their nests in the tooth cavities and vertebrae of dead rodents, scientists discover | Live Science
https://www.livescience.com/planet-earth/fossils/ancient-burrowing-bees-made-their-nests-in-the-tooth-cavities-and-vertebrae-of-dead-rodents-scientists-discover

イスパニョーラ島には石灰岩の洞窟が数多く点在しており、場所によっては100mごとに洞窟が見つかることもあるそうです。ドミニカ共和国の国立自然史博物館で古生物学の学芸員を務めるフアン・アルモンテ・ミラン氏は、ドミニカ共和国南部の洞窟に大量の化石が埋まっていることを発見しました。

これを受けて、アメリカ・シカゴのフィールド自然史博物館で博士研究員を務めるラサロ・ビニョーラ・ロペス氏らのチームは、研究対象となる標本を探すために洞窟を探検しました。ビニョーラ・ロペス氏は、「洞窟への最初の下りはそれほど深くありません。洞窟の側面にロープを結び、そこからぶら下がって下降します。夜に洞窟へ入ると、中に生息するタランチュラの目が見えます。しかし、ひとたび地下10mのトンネルを歩いていけば、化石が見つかり始めます」と語っています。

今回ビニョーラ・ロペス氏らが探検した洞窟では、化石が何重にも積み重なった層が形成されていました。これらの骨は、約2万年前に洞窟に生息していたフクロウが狩ってきた獲物だとみられ、その多くはキューバやイスパニョーラ島に生息するげっ歯類のフチアでしたが、は虫類や鳥類の骨もあったほか、すでに絶滅してしまったナマケモノの骨もあったとのこと。

フクロウが食べていた哺乳類の骨に興味があったビニョーラ・ロペス氏は、洞窟から回収した化石の掃除に着手しました。その際、歯の根がはまり込む顎骨のくぼみである歯槽に、偶然堆積したものとは思えない滑らかな堆積物がたくさんあることに気が付きました。

ビニョーラ・ロペス氏は、「表面は滑らかで、ほぼ凹状でした。堆積物は通常、このようには埋まりませんが、複数の標本で同じ状態が見られました。『ああ、これは何か変だ』と思いました。私はスズメバチの巣を思い出していました」と述べています。かつてビニョーラ・ロペス氏が学部生だった頃、モンタナ州で化石発掘を体験した際に、古生物学者が「古代のスズメバチの繭の残骸」を見せてくれたことがありました。今回哺乳類の歯槽から見つかった堆積物は、この時見たものによく似ていたそうです。以下の写真の「a」が哺乳類の顎骨で、「b」で着色して示されているのが堆積物です。


一般に「ハチの巣」と聞いて連想するのは、ミツバチやスズメバチのコロニーが作る大きな巣が多いかもしれません。しかし、実際のところ多くのハチは単独で生活しており、小さな空洞に卵を産み付け、そこに幼虫のエサとなる花粉などを残しておくことが一般的です。ハチの中には木や地面に穴を掘ったり、自然物の空洞を巣として利用したりする種がいるほか、ヨーロッパやアフリカにはカタツムリの殻を巣にするハチもいるとのこと。

ビニョーラ・ロペス氏らは歯槽の堆積物をより詳しく調査するため、CTスキャンを行って化石や堆積物を破壊することなく3D画像を作成しました。その結果、堆積物の形状や構造は、今日生息するいくつかのハチが作る泥の巣にそっくりであることが判明。さらにこれらの巣の中には、親が幼虫に食べさせるために詰めたと思われる花粉の粒が入っているものもありました。


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in 無料メンバー,   サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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