ChatGPTの使用が感情的な幸福にどのように影響するかに関する初の研究をOpenAIがMITと協力して発表
OpenAIがマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボと協力し、ChatGPTのようなAIチャットボットが人々の社会的・感情的な幸福にどのような影響を与えるかについての研究を行いました。
Early methods for studying affective use and emotional well-being on ChatGPT | OpenAI
https://openai.com/index/affective-use-study/
Investigating Affective Use and Emotional Well-being on ChatGPT
(PDFファイル)https://cdn.openai.com/papers/15987609-5f71-433c-9972-e91131f399a1/openai-affective-use-study.pdf
How AI and Human Behaviors Shape Psychosocial Effects of Chatbot Use: A Longitudinal Controlled Study — MIT Media Lab
https://www.media.mit.edu/publications/how-ai-and-human-behaviors-shape-psychosocial-effects-of-chatbot-use-a-longitudinal-controlled-study/
ChatGPTは人間関係を置き換えたり、模倣したりする目的のために設計された製品ではありませんが、ユーザーの中にはそうした目的で使用する人もいます。人々が安全で健全なやりとりを行えるチャットAIのプラットフォームについて調査するため、OpenAIとMITメディアラボの研究者たちが協力して感情的なやりとりを伴うAIの使用がユーザーの幸福にどのような影響を与えるのかについての研究を行いました。
研究チームは異なるアプローチで2つの研究を並行して行ったとのこと。
◆研究1:プラットフォーム上でAIがどのように使用されているかを観察・分析する研究
OpenAIの研究チームは、約4000万件のChatGPTインタラクションを自動分析するとともに、対象ユーザーの調査を行う事で実際の使用状況に関する洞察を得ました。ユーザーが自己申告したChatGPTに対する感情とユーザーの会話の属性を相関させることで感情的な使用パターンをより深く理解できたとのこと。
◆研究2:ユーザーへの影響を把握するための制御された介入研究
MITメディアラボのチームは約1000人の実験参加者を対象に、4週間にわたってランダム化比較試験(RCT)を実施したとのこと。一定の介入を行う事で、モデルの性格や雰囲気など特定のプラットフォーム機能と使い方が、ユーザーによって自己申告された心理社会的状態とどのような因果関係を持つのかについての洞察が得られました。
◆結果
ChatGPTの実際の使用方法を分析したところ、感情的なやりとりはかなり少ないことが判明しました。ChatGPTを高頻度で使用するヘビーユーザーの中でも感情的な使用を多く行うユーザーは少数ですが、一方でそうした少数のユーザーがChatGPTとの感情的なやりとりの大部分を占めており、「ChatGPTは友人」と考えている割合も高くなりました。
「やりとりを音声と文字のどちらで行うのか」や声の雰囲気は結果にはっきりとした影響を与えませんでしたが、ChatGPTを音声モードで使用した場合、短時間の使用であればユーザーの幸福感が上昇するものの、毎日長時間使用すると幸福感が低下することが判明しています。また、人間関係に愛着を持つ傾向が強い人やAIを私生活に溶け込める友人とみなす人はチャットボットの使用による悪影響を経験する可能性が高いとのこと。
さらに、自分の内面や個人的な経験についてChatGPTと会話すると、孤独感を高める一方、感情的な依存と問題のある利用が低下する傾向があるそう。一方、特定の話題や事実について議論するような非個人的な会話を行うと、特にヘビーユーザーの感情的な依存が高まる傾向があったと述べられています。
研究チームは今回の結果について、「高度なAIモデルが人間の経験と幸福に与える影響を理解するための重要な第一歩」としつつ、「人間とAIシステムの相互作用を浮き彫りにする調査結果の微妙なニュアンスが失われる可能性があるため、今回の結果を一般化するべきではない」と訴えています。一方、2つの研究を同時に行うという方法について「研究方法を組み合わせることで全体像を完全なものに近づけることができた」と述べ、「さらに研究が必要な領域を特定するのに役立った」と伝えました。
2つの研究の詳しい内容については、OpenAIチームの論文とMITメディアラボチームの論文に記載されています。
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