Apple初の5Gモデムチップ「C1」が複数のベンチマークでQualcomm製5Gモデムのパフォーマンスを上回る

Appleが2025年2月下旬にリリースした「iPhone 16e」には、同社初の独自開発5Gモデムチップである「C1」が搭載されています。このC1とQualcomm製5Gモデムのパフォーマンスをインターネット通信速度を測定するウェブサービス・Speedtestの開発元であるOoklaが比較しており、C1のパフォーマンスの高さが明らかになりました。
A First Look at How Apple’s C1 Modem Performs With Early Adopters | Ookla®
https://www.ookla.com/articles/apples-c1-modem-early-adopters

Apple’s C1 outperforms iPhone 16 with Qualcomm in most benchmarks - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2025/03/19/apples-c1-outperforms-iphone-16-with-qualcomm-in-most-benchmarks/
2024年10月に発売されたiPhone 16/16 Plus/16 Pro/16 Pro Maxには、従来通りQualcomm製の5Gモデムチップが搭載されていますが、2025年2月に登場したiPhone 16eでは、Apple初の独自開発の5GモデムチップであるC1が搭載されています。C1とQualcomm製5Gモデムチップの違いは、「C1はミリ波をサポートしていない」という点です。

Ooklaは2025年3月1日から12日までの12日間、iPhone 16eとiPhone 16のモバイル通信性能を比較し、C1とQualcomm製5Gモデムチップのパフォーマンスを比較しました。なお、iPhone 16eとiPhone 16はどちらもSoCはA18です。
Ooklaはモバイル通信パフォーマンスデータの分析情報を提供するSpeedtest Intelligenceから、iPhone 16とiPhone 16eユーザーのうちアメリカの大手通信キャリアであるAT&T、Verizon、T-Mobileの回線を利用しているユーザーのデータを分析しました。
分析対象になるユーザーのうち、上位90パーセンタイル(最高のパフォーマンスを体験したユーザー)のデータを比較すると、ダウンロード速度はiPhone 16が756.13Mbpsであるのに対して、iPhone 16eは560.4Mbpsでした。しかし、上位10パーセンタイル(最低のパフォーマンスを体験したユーザー)では、iPhone 16e(27.35Mbps)の方がiPhone 16(16.66Mbps)よりも優れたダウンロード速度を記録しています。また、ダウンロード速度の中央値もiPhone 16e(217.64Mbps)がiPhone 16(210.55Mbps)を上回っていました。

キャリア別の平均ダウンロード速度を比較すると以下の通り。iPhone 16eはミリ波をサポートしていないにもかかわらず、AT&TとVerizonの両方のネットワークでiPhone16よりも速い平均ダウンロード速度を記録しています。一方で、T-MobileのネットワークではiPhone 16eユーザーが著しく遅いダウンロード速度を記録しています。iPhone 16eユーザーがT-Mobileを利用している場合の平均ダウンロード速度は264.71Mbps、Verizonを利用している場合の平均ダウンロード速度は140.77Mbps、AT&Tを利用している場合の平均ダウンロード速度は226.90Mbpsです。iPhone 16eを使用するT-Mobileユーザーの平均ダウンロード速度(264.71Mbps)とiPhone 16を使用するT-Mobileユーザーの平均ダウンロード速度(357.47Mbps)を比較すると、iPhone 16はiPhone 16eよりも24%も高速でした。

なお、T-Mobileのネットワーク上でのみiPhone 16eの平均ダウンロード速度がiPhone 16に比べて劣っている理由について、Ooklaは「T-Mobileがアメリカで唯一、全国規模で商用化された5Gスタンドアロンネットワーク(SA)を持つ通信事業者であり、新しい5Gアーキテクチャ上でかなりのスペクトル深度とキャリアアグリゲーションなどの高度な機能を展開している世界でも数少ない通信事業者の1つである可能性が高いです。iPhone 16のQualcommモデムと比較して、5G SAネットワークにおけるC1モデムの機能が制限されていることが、今回の分析でT-Mobileのネットワークで大きなパフォーマンスギャップが観測された主な要因である可能性があります」と説明しています。
さらに、キャリア別にダウンロード速度のうち10パーセンタイル(最低のパフォーマンスを体験したユーザー)の平均をまとめたグラフが以下。3つのキャリアすべてでiPhone 16eがiPhone 16を上回る平均ダウンロード速度を記録しています。

逆に、キャリア別にダウンロード速度のうち90パーセンタイル(最高のパフォーマンスを体験したユーザー)の平均をまとめたのが以下のグラフ。高速通信を体験できているユーザーの場合、すべてのキャリアでiPhone 16がより高速な平均ダウンロード速度を記録しています。

Ooklaは「10パーセンタイルのパフォーマンスは、90パーセンタイルのパフォーマンスよりも全体的な通信体験をより正確に反映することがよくあります。90パーセンタイルのパフォーマンスは、ミリ波がカバーする場所での展開によって歪められている可能性があります」と指摘しました。
Apple関連メディアの9to5Macは「Ooklaの分析データは、AppleのC1モデムが市場リーダーであるQualcommのモデムチップと互角に渡り合える、あるいはそれを凌駕することを示しています」と指摘しました。
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in モバイル, ハードウェア, Posted by logu_ii
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