サイエンス

ベテルギウスが「超新星爆発」を起こしたら地球は一体どうなるのか?


冬の大三角の一角としてオリオン座に輝くベテルギウスは、巨大で寿命が短い星であり、もうすぐ超新星爆発を起こして一生を終えると考えられています。それが明日になるか1万年後になるかは不明ですが、もしすぐにベテルギウスが劇的な最期を迎えたら地球にはどのような影響が及ぶのかについて、非営利の天文学系ニュースウェブサイトのUniverse Todayが解説しました。

What Will the Betelgeuse Supernova Be Like - And Will It Hurt Us? - Universe Today
https://www.universetoday.com/articles/what-will-the-betelgeuse-supernova-be-like-and-will-it-hurt-us

地球から約500光年と、宇宙の規模からするとかなりの近所にあるベテルギウスは、重さが太陽の15~20倍ほどもある赤色巨星で、もし太陽と同じ位置にあったら火星の軌道を飲み込んでしまうサイズです。


一般的に大質量星は寿命が短く、質量や金属量、自転速度などにもよりますが、その一生は長くても数百万年ほど、短いと数十万年ほどだといわれています。そして、ベテルギウスは明らかにその末期にさしかかっています。

2019年12月、ベテルギウスは明るさがそれまでの半分になる大幅な減光を見せ、超新星爆発を起こす前触れではないかと大きな話題となりました。その後、ベテルギウスは明るさを取り戻していますが、明るさの変動周期に変化が見られるなど、何かが起きているのは間違いないとされています。

オリオンの右肩に輝く赤色超巨星「ベテルギウス」は2019年に暗くなってから明るさの変動周期が変わったという研究結果 - GIGAZINE

by Stuart Rankin

Universe Todayによると、寿命が尽きつつある星は変化がめまぐるしく、安定したかと思えば急に状況が変わる場合もあるとのこと。巨大な星では中心部から外縁部まで距離があるため、内部で起きる変調も複雑になります。

ベテルギウスで何が起きているのかについて、Universe Todayは「ベテルギウスの質量、自転速度、属している星のグループ、表層部の金属量から推定すると、ベテルギウスは今から数十万年後には超新星爆発を起こすと思われますが、ひょっとすると明日かもしれません。なにしろ500光年離れているので、100年前に爆発していたとしてもすぐにはわかりません。既に死んでいる可能性すらあります」と述べました。

もしベテルギウスの超新星爆発が地球から観測できた場合、それは一大スペクタクルとなります。典型的な超新星でも、1000億個以上の星からなる銀河全体を照らし出すほどなので、数百光年の距離にあるベテルギウスの最期は感慨深いものになります。

その輝きはおそらく日中でも見えるほどで、夜になれば満月ほどの明るさになり、星明かりの下で読書さえできると予想されます。もっとも、空に浮かぶ円盤のように見える月とは違い、ベテルギウスの光は針の先ほど大きさなので、直接見ると目が痛くなるとのこと。

あまり風流とは言いがたい光が数カ月間は地球の空に輝きますが、印象的なものではあっても、危険ではないとUniverse Todayは指摘しています。なぜなら、いかにベテルギウスが地球に近いとはいえ500光年離れているため、超新星爆発が放つ放射線のうち地球に届くものはごくわずかだからです。

by NASA Hubble Space Telescope

光源から離れるほどその影響が小さくなる現象は逆2乗の法則と呼ばれ、距離が2倍になれば25%、つまり4分の1となり、距離が10倍なら100分の1となります。したがって、ベテルギウスが制御不能な核爆弾と化し、銀河系全体の星の明るさを圧倒するほどのエネルギーで爆発しても、地球にはさほど影響はないとみられています。

Universe Todayは「私たちから見れば、ベテルギウスは夜空に浮かぶ光の点から、より明るい光の点へと変わりますが、それは純粋に脅威ではないでしょう」と結論付けました。

なお、ベテルギウスがより近い距離で爆発した場合、距離が100光年でもがん患者が急増し海の生き物が大量死すると考えられます。もっと近い場所で超新星爆発が起きた場合、地球の生命や人類の文明はどうなるのかなどの詳細は、以下の記事を読むとよくわかります。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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