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Amazonが消費者当局の「マーケットプレイスで第三者が販売した製品のリコールについてもAmazonに責任がある」との判断に対し「法律の拡大解釈」と反論し訴訟を提起


アメリカ消費者製品安全委員会(CPSC)は2021年7月に、Amazonに対し「たとえサードパーティー販売者が取り扱っている製品であってもAmazonには消費者に重傷や死亡の危険をもたらす製品を回収する法的責任がある」として行政訴訟を提起しています。これに対し、Amazonは2025年3月14日に「CPSCはAmazonを物流プロバイダーではなく販売業者だと捉えており、これは消費者安全法を拡大解釈している」と主張してCPSCに対する訴訟を提起しました。

Microsoft Word - 2025.03.14 1.50pm - Amazon v. CPSC Complaint.docx - amazon-v-cpsc.pdf
(PDFファイル)https://s3.documentcloud.org/documents/25590136/amazon-v-cpsc.pdf

Amazon is fighting the government’s efforts to get it to recall hazardous products | The Verge
https://www.theverge.com/news/631435/amazon-cpsc-lawsuit-recall-third-party-products


Amazon defeats shareholder lawsuit over third-party sellers, capacity expansion | Reuters
https://www.reuters.com/legal/amazon-defeats-shareholder-lawsuit-related-third-party-sellers-capacity-2025-03-17/

CPSCはAmazon内で「警報を発しない欠陥のある一酸化炭素検知器2万4000台」「可燃性基準を満たさず着用者にやけどを負わせる可能性のある子ども用寝間着」「感電の危険性があるヘアドライヤー約40万台」などのリコールの必要がある製品が販売されていることを問題視しており、2021年にAmazonに対する行政訴訟を提起しました。訴訟の中でCPSCは、Amazonは「販売業者」であり、たとえサードパーティー販売者が取り扱っている製品であっても一定の責任が存在し、顧客に返品や廃棄を促したり、リコールを実施したりといった最低限の措置を講じる必要があると訴えています。


その後、2024年7月にはCPSCはAmazonに対し、マーケットプレイスをはじめとするサードパーティー販売者が販売した製品についても一定の責任を負うべきだとして、是正命令を発行しており、Amazonは危険な製品について消費者に通知する義務を負うことになっています。

Amazonが「感電死のリスクがあるドライヤー」などのリコール情報をユーザーに通知していなかった件に対してアメリカの消費者当局が是正命令を発行 - GIGAZINE


これに対し、Amazonは当初から自らを「販売業者ではない」と訴え、公衆を保護する措置を講じる必要はないと主張していました。そしてAmazonは2025年3月14日に、裁判所に対してCPSCへの訴訟を提起しました。

Amazonは「あくまでAmazonは物流プロバイダーであり、マーケットプレイスで販売されるサードパーティー製品は、Amazonが製造・保管・販売するものではない」「CPSCにはAmazonにリコールに関する是正命令を発行する権限はないはず」「Amazonに対する一連のCPSCの行動は違憲である」と主張しています。

一方で、非営利の超党派団体であるConsumer Reportの安全擁護担当ディレクターであるウィリアム・ウォレス氏は「今回の訴訟では、Amazonが『販売業者』に該当し、リコールを実施しなければならないことは法律で明らかです。リコール対象の製品がサードパーティー販売者からマーケットプレイス経由で出荷された場合に、『物流プロバイダーだから』という理由でAmazonがその製品のリコールを怠っていいと提案することは不適切です。Amazonの主張が通るようなことになれば、危険な製品が人々を負傷させたり、死亡させたりする可能性があるにもかかわらず、適切なリコールが行われないことにつながります」と批判しました。


なお、Amazonは2023年に、購入者向けにリコールと商品の安全性に関する警告を発信するページを開設しています。

また、Amazonをめぐっては、「自社ブランド製品をマーケットプレイス製品よりも優遇している」「インフラとフルフィルメントネットワークの過剰な拡大を隠ぺいした結果成長を減速させ、株価が大きく下落した」として株主による集団訴訟が提起されています。しかし、2025年3月17日に連邦地方裁判所のジョン・チュン判事は「Amazonがサードパーティー製品よりも自社ブランド製品を優遇しているという事実を隠ぺいしていたことなどを示唆する説得力のある具体的な事実は見つからなかった」として株主側の訴訟を棄却しました。

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in メモ, Posted by log1r_ut

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