Amazonが「Temuでウチより安く物を売るな」と販売者を脅迫していたことが判明
格安オンラインマーケット・Temuを露骨に意識した超低価格帯ストア「Amazon Haul」をリリースするなど、中国発の競合プラットフォーム台頭に焦るAmazonが、Temuの商品に自社サイトよりも安い価格をつけないよう中国の販売業者に要請したことが報じられました。
Amazon asks Chinese sellers not to offer cheaper prices on Temu | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/big-tech/article/3292130/amazon-asks-chinese-sellers-not-offer-cheaper-prices-temu
香港の日刊英字紙・South China Morning Postは2024年12月24日に、「Amazonが中国に設置している現地事務所が最近、一部の売れ筋中国ブランドのマネージャーに対し、Temuで同一商品をより安い価格で出品しないよう通知したと、複数の販売業者が語りました」と報道しました。
AmazonはTemuの商品価格をつぶさに追跡しているとのことで、報復を恐れて匿名で情報を提供したある販売業者は、Amazonで売っている商品にTemuより高い値段を設定すると、Amazonの「おすすめ商品」から除外されてしまうと証言しています。
外部の販売業者がAmazonで商品を売るマーケットプレイスのページには、「Buy Box(日本ではショッピングカートボックス)」というスペースがあり、Buy Boxを獲得した販売業者は「カートに入れる」や「今すぐ買う」の近くに目立つように掲載されます。しかし、おすすめ商品プログラムの対象外になるとBuy Boxは獲得できず、買い物客から選ばれる確率が激減するおそれがあるため、販売業者にとっては死活問題です。
Amazonは、おすすめ商品プログラムの資格を得る条件は「競争力のある価格設定をすること」だとしていますが、それは「Amazon以外の大手小売業者の最低価格以下で売ることを意味しています」と、South China Morning Postは指摘しました。
一方Amazonの代表者は、「販売者は自らの販売戦略に基づき、Amazonストア内での商品価格を自分で設定するものであり、Amazonが販売者に特定の価格設定を求めることはありません。私たちは、競争力のある価格であることに加えて、あらゆる選択肢を詳細に比較した場合に顧客が選ぶと思える商品を目立たせています」と述べました。
Amazonで商品を販売しているというある中国ブランドの従業員は、同社の商品数百点が、Temuの価格からAmazonが算定したと思われる基準価格を上回っているとして3日間でおすすめ商品プログラムから排除されたと話しています。
さらなるペナルティを免れるため、その販売業者はTemuで出品した商品の写真を変更しましたが、それが効果的かどうかは不明です。
Temuの代表者は「当社は、消費者のためになるような公正でオープンな競争を支持しています。売り手がさまざまなプラットフォームで商品を販売し、多様でよりよい選択肢を提供することができれば、それが消費者にとって価値あることです」と話しました。
伝えられるところによると、充電アクセサリーやモバイルバッテリーを手がけるAnkerはTemuから撤退しており、その背景には中国企業に対するAmazonの圧力があるという見方が広がっているとのこと。
Temuのアメリカ版マーケットプレイスでは、Ankerの公式ストアが40点以上の商品を扱っていましたが、2024年12月23日からは何も出品しておらず、最後の購入者レビューの日付は12月22日でした。また、Temuで再生品を販売していた別のアメリカのAnkerストアも閉鎖されました。ただし、その後もAnkerのドイツストアがTemuでの営業を続けており、18点の商品を掲載しています。
South China Morning PostはAnkerにコメントを求めましたが、回答はなかったとのことです。
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