中世の鎧は銃弾も防げたのか?

中世ヨーロッパの騎士たちが着用したきらびやかな鎧(よろい)は、もともとは剣などの武器から身を守るために作られたものです。そんな鎧で銃弾を防ぐことが可能だったのかについて、サイエンス系ニュースサイトのLive Scienceが複数の専門家に尋ねました。
Was medieval armor bulletproof? | Live Science
https://www.livescience.com/archaeology/was-medieval-armor-bulletproof
「中世」がいつからいつまでを指すのかは場合によりけりですが、Live Scienceは西暦500~1500年を中世としました。この時代区分は大抵ヨーロッパに関連付けられますが、一部の歴史家は中東や中国にも当てはめています。
また、鎧は世界中でさまざまな種類のものが開発されてきましたが、最も有名なのは連結された金属板で全身を覆うプレートアーマーです。メトロポリタン美術館のエッセイによると、プレートアーマーは13世紀にヨーロッパで初めて使用され、15世紀には防具の主流になったとのこと。

次に銃ですが、まず火薬が約1200年前に中国で発明され、火薬を使った武器がユーラシア大陸に広がっていき、これが14世紀ごろにヨーロッパに持ち込まれたことで、鎧と銃が戦場で出会うことになりました。
この時代の騎士が火器に遭遇することはまれで、シカゴ美術館でヨーロッパ専門の学芸員を務めているジョナサン・タバレス氏は「13世紀から15世紀の中世の時代にも確かに銃器が存在しましたが、その後の時代に比べると使用頻度ははるかに低いものでした」と話しています。
もし鎧が銃弾にさらされても、上質な鎧であればある程度の防弾性能を発揮できたと考えられています。銃の歴史に詳しいアーカンソー中央大学のロジャー・ポーリー准教授によると、中世後期の1380年から近世初期の1600年ごろにかけて、ヨーロッパの鎧職人と銃工らは技術戦争を繰り広げたものの、基本的には「より洗練された鎧が開発されてから、それに対抗して銃の初速や威力、射程が改良される」という順番だったとのこと。
ポーリー氏は「鎧と銃のどちらが新しいか、あるいは銃が小型のものかどうかなどによって大きく左右されますが、私の推測では、当時のほとんどの小火器では、一流の鎧を破るのは困難だったでしょう」と話しました。
中世より後の時代の鎧については、たびたび検証されています。例えば、2017年に放送されたテレビ番組「Nova」の「Secrets of the Shining Knight」というエピソードで、16世紀後半の胸当てと当時の銃のレプリカを使った実験を行ったところ、鎧が銃弾を止めるのに成功したという結果が得られました。
Secrets of the Shining Knight (2017) | Full Documentary | NOVA - YouTube

この番組にも出演していたタバレス氏は、Live Scienceに「歩兵用か騎兵用かを問わず、16~17世紀の野戦用の鎧には、黒色火薬を使った兵器の鉛玉を止めるのに成功したと思われるものがたくさんあります」と述べました。
ヨーロッパの鎧職人が銃工と張り合ったのに対し、火薬が発明された中国の鎧職人はそうしませんでした。これは、裕福な騎士が戦場の主役だったヨーロッパとは事情が異なるからだと、専門家は考えています。
ヴァンダービルト大学の歴史学者であるピーター・ロルゲ准教授は「中世中国の鎧は、銃器に対応して変化したようには見えません。当時の中国の軍隊には、民衆から徴発した兵士を大量に組み込む傾向があり、多数の平民で構成された軍隊が銃弾から身を守ることができるような高価な鎧をそろえることはできなかったのでしょう」と述べました。
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in サイエンス, 動画, Posted by log1l_ks
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