サイエンス

ルビーやサファイアの雨が降る太陽系外惑星の驚くべき大気構造が観察される

by Kevin Gill

地球から約880光年離れたところに存在する太陽系外惑星「WASP-121b」は、球形ではなくラグビーボールに近い形であったり、「金属の雲が浮かび、ルビーやサファイアの雨が降り注ぐ環境」である可能性が示されたりと、SFチックな惑星として知られています。天文学者たちがWASP-121bの大気構造を分析するために観測をしたところ、惑星における天候の仕組みに関する従来の理解を揺るがすような大気構造をしていることが発見されました。

Vertical structure of an exoplanet’s atmospheric jet stream | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-025-08664-1

Scientists just looked inside a truly sci-fi planet | Mashable
https://mashable.com/article/planet-extreme-weather-first-3d-view-of-atmosphere-wasp-121b


WASP-121bは、太陽の1.4倍程度の質量および半径があるとされるWASP-121を公転している太陽系外惑星です。WASP-121bは木星のような巨大ガス惑星で、質量は木星の1.157倍、半径は木星の1.753倍と、かなり大きい惑星だと見られています。

WASP-121bは、地球における月のようにWASP-121を公転しており、常に恒星の側を向く昼半球は最大3000度を超える高温で、常に恒星と逆側を向く夜半球も1500度程度という高温であるため、地球のように水の雲が作られることはなく、鉄やマグネシウムといった金属雲が形成されます。過去の研究では、大気中の酸素が金属群と凝結してルビーやサファイアなどの宝石として降り注いでいる可能性があると示されるなど、WASP-121bについては不思議な観察結果がいくつも報告されています。

880光年離れた巨大惑星は液体のルビーやサファイアが降り注ぐ星だった - GIGAZINE


WASP-121bの大気をさらに分析するために、ヨーロッパ南天天文台の研究者であるジュリア・ビクトリア・ザイデル氏らは、4つの望遠鏡からの合成光でWASP-121bにおける大気の立体構造や循環パターンを観測しました。

結果として、WASP-121bの大気は以下の画像で示されているように3つの層に分かれていることが判明しました。WASP-121bの大気層は上から「水素の風」「ナトリウムのジェット気流」「鉄の空気」となっており、ザイデル氏によるとWASP-121bと同じような大気構造はこれまでどの惑星でも見られなかったものであるとのこと。


特に、中間のナトリウムのジェット気流はかなり強力で、惑星の自転よりも高速に流れています。3000度という高温の昼半球から1500度低い夜半球へ吹き込むジェット気流は大気をかき乱し、太陽系でも見られないほど強い嵐を発生させているとザイデル氏は説明しています。


ザイデル氏は「WASP-121bの大気は、地球だけではなくすべての惑星の天候の仕組みに関する私たちの理解を揺るがすような動きをしています。まるでSFの世界のようです」と発見の驚きを語りました。また、論文の共著者である天体物理学者ビビアナ・プリノス氏は「これほど遠く離れた惑星の化学組成や気象パターンなどの詳細を研究できるというのは、本当に驚くべきことです」と語り、今後より大型の天体望遠鏡が設計される際に、今回の研究結果が生きることを強調しています。

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in サイエンス, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article Amazing atmospheric structure observed o….