サイエンス

生命生存可能領域の惑星「K2-18 b」の大気中でメタンと二酸化硫黄が発見され海の存在可能性が濃厚に、地球では生物由来のものしか存在しない硫化ジメチルも検出される


生命が生存可能なハビタブルゾーンに存在する惑星「K2-18 b」では、2019年に水蒸気の存在が確認されています。新たに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の分光計を用いて「K2-18 b」の大気組成を分析した結果、メタンや二酸化炭素が豊富に含まれていることが明らかになりました。

Webb Discovers Methane, Carbon Dioxide in Atmosphere of K2-18 b | NASA
https://www.nasa.gov/goddard/2023/webb-discovers-methane-carbon-dioxide-in-atmosphere-of-k2-18b


Webb discovers methane, carbon dioxide in atmosphere of K2-18 b | ESA/Webb
https://esawebb.org/news/weic2321/

Methane and carbon dioxide found in atmosphere of habitable-zone exoplanet
https://www.cam.ac.uk/stories/carbon-found-in-habitable-zone-exoplanet?ucam-ref=home-hero

生物が生存するには水の存在が非常に重要です。惑星に水が存在できるか否かは恒星からの距離や大気圧に依存しており、適切な大気圧がある場合に水が存在できる領域はハビタブルゾーンと呼ばれています。例えば、太陽系のハビタブルゾーンは太陽から0.97au~1.39au(太陽と地球の距離が1au)の範囲とされています。


ハビタブルゾーン内に存在する惑星は他の惑星と比べて生物が存在する可能性が高いため、地球外生命体を探索する研究者らはハビタブルゾーン内の惑星を重点的に分析しています。「K2-18 b」は地球から120光年離れた位置に存在する恒星「K2-18」のハビタブルゾーン内に存在する惑星で、2019年にはハッブル宇宙望遠鏡で記録したデータの分析によって水蒸気の存在が確認されていました。

太陽系外の巨大地球型惑星に初めて水の存在が確認される - GIGAZINE


新たに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の分光計を用いて「K2-18 b」の大気組成を分析した結果、「K2-18 b」の大気中にはメタンと二酸化炭素が豊富に存在し、アンモニアがわずかしか存在しないことが明らかになりました。研究チームによると、「メタンと二酸化炭素が豊富でアンモニアが少ない」という大気組成は「K2-18 b」に海が存在していることを示唆しているとのこと。また、研究チームは太陽系外のハビタブルゾーン内に存在する惑星で炭素を含む分子が検出されたのは初めてだと述べています。


さらに、「K2-18 b」の大気中には、硫化ジメチル(DMS)が存在する可能性も示唆されました。硫化ジメチルは、地球上では生物由来のものしか存在していません。研究チームは「今回の研究成果は、地球外生命体の探索において多様な居住環境を想定することの重要性を示しています。一般的に、地球外生命体の探索は小型の岩石惑星(地球型惑星)を対象に実施されてきましたが、(『K2-18 b』のような)大型の惑星は大気組成の分析に適しています」と述べています。

なお、研究チームによると、今回の分析に用いたデータはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による2回の観測で得られたものとのこと。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡では観測1回ごとにハッブル宇宙望遠鏡による観測8回分に相当するデータを得られるとのことで、今後の研究加速に期待が寄せられています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で撮影した写真を比較するとこんな感じ - GIGAZINE

人類はすでに「火星の生物」を発見していたが偶然にもその生物を殺してしまった可能性 - GIGAZINE

ボイジャー探査機に搭載された宇宙人へのメッセージ「ゴールデンレコード」のマスターテープがオークションに出品される - GIGAZINE

アメリカ国防省がUFO情報まとめサイトを開設、正体不明の飛行物体を記録した動画が多数あり - GIGAZINE

2020年に発見された地球外生命体の存在をにおわせる10個の証拠 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1o_hf

You can read the machine translated English article here.